人間社会と日本:転-13

ー 人間社会と日本:転-13

記述してきたことを前提に日本経済の今後を考えるならば、歴史観や国家観に従い日本に軸足がある政治家を盛り立てて、同型の価値観をもつ諸国と新たな自立可能な「経済圏」を構築し、経済の在り様の質的転換(新技術体系を積極的に導入し新たな実体価値の創出と規模の拡大)を行うことである。これまでの「逆転(国内回帰)」という単純なものではなく、日英加豪新+米という「経済圏」を確立して支那(中共)他とは「分離(ディカップリング)」してゆくことである。何故ならユーラシア大陸の大陸性向の各国は、その歴史(近現代史も含めて)が示しているように何時まで経っても「近代化」を達成出来ないからであり、恐らくその気も無いであろうと思われる。特に、支那(中共)はその歴史的な精神文化を「文化大革命」により破壊して後退(先史時代からあると想定される「宗族と械闘」の水準より劣化しているであろう)しているからである。其の事を人間社会は今やっと「認識」し始めていると言えるのではないか。これを許し付き合うなら同じ水準に劣化しなければならないことになる。それでは先進諸国は自らの歴史を否定することになり「受け入れ難いもの」である。

開発途上国の位置付けから成長して先進国へ変わること、換言すれば「民主化への移行」を条件に、WTOへの加盟を許し時間的猶予を与えられたが、その「約束」を果たさないだけでなく自己有利に悪用する支那(中共)との「共存共栄」はあり得ないことが明確であろう。嘗て、核兵器の登場により戦争回避の「核抑止論」より米ソ冷戦構造(自由主義世界と共産主義世界で最初から分離状況にあった政治経済構造)が存在したように、支那(中共)と「戦争(超限戦という手段を択ばず何でもありの手法で「支配」をしようとする中共と対立)」を起こさないためには、全ての分野で「分離(ディカップリング)」が俎上に上るであろう。しかし、支那(中共)の「経済」は既に人間社会に浸透していることより、米ソ冷戦構造の生成過程とは異なり極めて複雑となる「分離する作業」が必要である。現在、米国(特に議会勢力が中心になって各種の支那(中共)を分離する法律を成立させている)の動きがあり、これにより支那(中共)は「苦境」に直面させられており、似て非なる各種の支那的法律を作り自国企業だけでなく外資企業にも適用を進めてきている。このことより外資の支那からの撤退に拍車が掛かる状況が生まれてきている。支那(中共)は自ら「孤立化」の道を歩み始めていると捉えることが出来る。そうした方向へ舵を切る支那(中共)は、やはり「王道」を歩めない者達であることを示している。過大評価も過小評価も禁物であるが、またソ連とは様相が異なり時間を要するであろうが、ここからは「易姓革命」に倣い自滅する方向へ進むと捉えられるであろう。やはり無闇な衝突を避けることや「自滅」の速度が増すことを志向するべきであり、支那人民や周辺民族の苦境が速やかに解消されるように注意を払い、先進諸国をはじめ外部勢力は関係を断つ動きを促進することである。

此処までの観点とは異なる観点についても考察してみる。現在進行している技術革新において主要なものでは以下であろう。ほぼ生活基盤に関わる分野の全てに影響が及ぶと言える。

〇エネルギー&電動化
〇ナノテクノロジー
〇ⅠCT&AI
〇IPS&バイオテクノロジー

現在、人間が扱えるものとしてはマクロ(力学的な要素が強いもの)からミクロ(分子・原子の水準)に比重が移りつつあると言える。これまでの技術体系とは異なり、人間の「認知操作能力」を越えるものを扱うことが可能に成りつつある水準に本格的に変異し始めていると捉えられるであろう。この変異では電気エネルギーが主体であるが、古くから利用してきた熱エネルギーを「燃焼」だけでなく「蓄積」が可能になる技術が登場(研究開発)しつつあるようだ。この技術により、電気エネルギーと同様に熱エネルギーが蓄熱と放熱が出来るようになれば、これに加えて熱電変換素子が開発(実用化はまだ先)されたことより、近い将来においてこれまでとは比較にならない応用範囲が出現すると想定される。既に実用化が近づいてきている核融合反応を利用した熱エネルギーの取り出しにも新たな観点で応用ができるのではないか。この先の10年で「適切な国策水準の投資」を行えば、エネルギーの基礎的な分野で大きく変化させる方向が見えてくるのではないかと思量する。

人間の歴史を振り返れば、これまで人間は自分の「外部化」を図ってきていると理解出来るであろう。エネルギーを利用することは、それとは異なるもので「生きる環境をより効果的なものに変える」ためのものであると言える。ⅠCT&AIは真に人間自身の外部化そのものであると理解できる。これらの技術体系は、離散的で物理的な道具を連続的で情報的な神経系を有する融合した体系(システム)に組み上げることを可能にして、より高度に人間自身が使いこなして行くことを実現している。その結果、情報化社会が誕生して実人間社会と「複雑に融合」した状況を生み出している。IPS&バイオテクノロジーは、生物の基本である「遺伝子」を扱えるようになり、真に自分の外部化に向かって大きく前進している。しかし、中共ウイルスに見られるように遺伝子操作は「非常にリスク」の高い技術であることを自覚する必要がある。扱うためには「高い水準の倫理的規律」が要請されることは必定である。人類に滅びる危機が訪れること避ける為には、自ら生み出した技術をその発達に連れて「より高い基準の規律」で扱えることを可能にする「集合精神」の確立ができるかどうかに掛かっているであろうと推察する。

この観点から、「支那精神文化」は欧米日先進諸国が確立してきている「近代性・公共性・透明性」を的確に受容し共有出来ていないことが公然化しており「集合精神」としての危険性を示していると言えるであろう。放置すれば政治・軍事・経済の各現象面においてだけでなく、その本質において「人類滅亡」に繋がりかねないリスク(自ら研究開発の努力を行い獲得したわけではないのでその危険性を的確に認識できないか拙速でも使うという危険性無視の在り様か)を孕んでいると言えるであろう。先進諸国は支那(中共)を増長させる事の「危機性」を共有しなければならない。

現在の人間社会は、先進諸国である近代国民国家(近代性・公共性・透明性)群とユーラシア大陸のハートランドに位置する前近代又は非近代の全体主義諸国(筆頭は支那(中共)である)群との「複雑な冷戦構造」に移行しつつあるであろう。支那(中共)の歪な台頭が直近の30年程で形成されてきた経緯を踏まえればここからの「複雑な新冷戦構造」が消滅するには最低でも半世紀程を想定する必要があるであろう。この枠組みで経済を捉えた場合に、其々の勢力にとって「自立自存出来る経済ブロック」が必須になるであろう。世界大恐慌後のブロック化と似て非なるものとなるであろう。前回とは異なり日本は米・英・豪とブロックの素地の形成を進めることになる。ここまで左傾化が著しい加・新が現在の情勢を踏まえて英連邦への「回帰」が想定されこれに加わるであろう。拡大した「AUKUS+J」で自立自存できる政治経済ブロックを構築することであろう。

東アジアでは、CPTPPをベースに近代国民国家連合への参加に篩を掛けてゆくことになる。台湾は、歴史的経緯より支那(中共)の影響力が国民党(嘗ての中共の敵)を通じて工作されている。現在は近代国民国家の体裁の水準を上げ民進党が統治しており「台湾意識」が確立してきている。半導体生産基地としても現時点では重要な位置にある。CPTPPへの参加を推進し近代国民国家連合への参加を促してゆくことになる。朝鮮(北朝鮮及び韓国)はその精神文化が日本統治を経ても尚「小中華」であり「李氏朝鮮状態(北朝鮮は軍で韓国は財閥が李氏朝鮮時代の両班に相当)」に回帰しており非近代に後退している。歴史的経緯を自ら克服できない朝鮮はやはり支那(中共)側であると認識せざるを得ない。

ここで一端は考察の流れを止める。ここまでの思考を再度改めて再考する。その上で、「全体を整理して」で再認識して方向性を考えてみる。


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