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#本屋になるまで日記0816 子供のころに読みたかった本

ムーミンバレーパークに少し前遊びに行きました。
残念ながら私はこどもの頃にムーミンを読んでいないので、
(親の世代的にアニメ作品だから、本として与える選択肢になかったそう)
バレーパークのミュージアムで初めてキャラクターを知り、本を読みました。

フィリフヨンカというキャラクターが
私に似ている気がして好きです


さて、日本版ムーミンと言われたのが「こそあどの森」シリーズ。
小学1年生の誕生日から、毎年クリスマスにプレゼントしてもらっていました。
私にとって幼い頃に冒険をした場所は谷ではなく森です。

この森でもなければその森でもない、あの森でもなければどの森でもない。こそあどの森に住む住民は一概に陽気で愉快なメンバー…ではないけれど、斜に構えて謎かけが大好きで、日々を平穏に暮らしています。

主人公のスキッパーは本の虫。ウニマルという船型の家から出てきません。親代わりのバーバさんはいつも仕事で旅に出ていますが、
ある日スキッパーに見たこともない不思議な木の実を贈ってくれます。

どうやって食べるんだろう?でも手紙は濡れてしまっていて読めません。
スキッパーは渋々家から出て、この不思議な木の実の調理法を調べにまわるのでした。

シニカルで哲学的で、最初はなんだかよそよそしい住民と交流を重ねる中で、季節と共にスキッパーと私も大人になっていきます。


こどもの想像力は果てしないものです。
確かに私はこそあどの森の落ち葉と土のやわらかさを足の裏で感じ、
水の冷たさを手のひらで知り、森を駆け抜けていたのです。

同じようにムーミンと冒険ができなかったことが悔やまれます。
私なら彗星を見つめ、冬の谷で彼らの目覚めを待っていたのに。

私はもう大人になってしまい、
活字を目で追うことはできますが、ムーミンと冒険の旅には出られません。

今を生きる子供たちが、本という大海に出られる体験のお手伝いが出来たら嬉しいと思う限りです。
それはその子たちのためというよりも、幼かった私のためのような気がします。

※2020年2月の月刊シネコヤコラムを加筆しました。

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