見出し画像

こんにちは。マジで病ァ〜流行り続けてますね。開幕から気の落ちる話ですみません。
でももう書けることがこれしかないんですよね(三週目なのに……。)

この前ひっさびさに地元の友達に会ったんですけど、ガラッと変わっててびっくりしました。昔は清楚の塊というか、クセがありつつ一応品行方正タイプだった子なんですけど、見事に闇堕ちしてました。あれだけ清潔感のある白い服を好んでいた子がすっかり黒くなっているものだからマジで一瞬誰かと思いました。香水なんかもつけていたのかもしれませんが、気づけなかったな……
流行は恐ろしいですね……これで「もう死にたい」とか「いっそ殺して」とか呟くんだから、やるせなくて悲しい。
こうなってしまっては仕方がないけど、やっぱり懐古厨かつ医療関係者としてはもとの彼女を返してほしいと思います。わたしの身につけている白いマスクを見習え〜!!
いや黒いマスクもかっこいいと思います。でもカラスみたいで不吉な気がするんですよね……。
まあそんな感じで悪態をつきつつ、悪い子ではなかったよな……と横たわる彼女の手を手袋越しに取りました。
まるで炭のように黒く懐死した手先。
じっとりと高い体温!

1347年、ジェノヴァの貿易商が黒海からコンスタンティノープルに到来して三週間が経ちます。
黒死病にかかってもうみんな死にました。
書けることがこれしかないんです。
もしこの手記が燃やされずに残っているなら、これを読んだ人は手を洗ってください。飲める水があればこまめに飲んでください。瀉血はペスト医者に任せて、わからないことは人に教えないでください。
占星術のせいで黒死病が引き起こされていると主張する者もいますが、私はそうは思いません。
医師である私が残せるのは、衛生は命であるということと、彼女を含むすべての悲しい願いが叶わないことを祈っているということです。