11年目(裏カ)

 引っ越して3年が経つ、もうすぐ4年目ってところ。
 最初は家を出て生きていけるのか人間ちからがそれだけあるのか自分で不安だったけど、意外となんとかなるもんである。でかい病気もやってないし事故ってもない、火事も起こしてないし鍵を閉め忘れたのは一回だけ。まぁ偉い。

 引っ越した先は、引っ越す前からよく通る道沿いだったので土地勘があったのは幸いだ。実家からはかなり遠いが、行けない距離ではない。ケツを痛めればチャリンコで30分超ぐらい。まぁ実家好きじゃないから帰らないんだが。でも、その距離感は実家と文字通りちょうどいい距離感で、同じ家で暮らしていると嫌いになりそうな親父とも、いい関係を築けていると思う。意外にも内弁慶カスの親父がぼくの外暮らしに好意的だったのが印象的だった。親父、一人暮らししたことないらしいから本当になんなのかわからない。

 飯は意外となんとかなる。自炊やる気勢だったこともあり料理のスキルは全く上がらなかったが美味いもんが食えている。意外と包丁の扱いってすぐ上手くなるとかじゃないんだな。全然へたっぴだ。

 洗濯も風呂もちゃんとできてる。家を出る前は「てめー洗濯自分でできんのか?」と姉に煽られたがなんとかやっている。普通に洗濯物溜め込むと部屋が圧壊して死ぬことがわかっているのもある。人は洗濯をしないと死ぬのだ。

 毎日はできていないが定期的に掃除もしている。どうせ人間がフタチのたうち回っているだけなのだから週一ぐらいの掃除でちょうどいい。えらいぞ。ゴミ出しも、毎日出社人類がいたから助かった。リモートワークマンだった頃のぼく一人では朝起きれなくて死んでいたと思う。

 そう、リモートワークを辞めてから不規則な睡眠時間がなくなった。どうせ徹夜して終わらせて昼間寝てて〜って仕事のサイクルでできてしまってたので、それが綺麗に整ったのはサラリーマンを始めてよかったことだ。通勤はしんどいが、骨伝導イヤホンでハイな曲をぶち鳴らしていけば気にならない。それに、家に一人でいる方がしんどい。あと電気代かかるんだよ、リモートワーク。

 ぼくはこの3年、かけがえのない妖精さんである才女と同棲してきたが、ゴミ捨てだったり掃除だったり洗濯だったり飯だったり、結局一人なら適当に済ませちゃうところを「まぁ他に人間がいるしまともなもん用意してやるか」と頑張れていた節がある。尽くす相手がいたから、というとニュアンスが変わってくるが、誰かが一緒だとやらざるを得ない状況になるのも真実だ。俺の都合で他人に皺寄せをくれてやるのは気分が良くないし。もちろんふたりで一緒に「今日の家事やーめた!」みたいなことはある。そういうのも大事だ。そういう価値観が同じなことが大事だ。

 才女はぼくに負けずだらしない人間だが、ここ3年でかなりぼくに合わせてくれているのを感じる。ぼくの3年間の生き方は才女にとって苦しかったかもしれないが、部屋も綺麗に保つようになったし、家事も手伝ってくれる気の利かせ方が良くなった。えらい。褒美にパンケーキを焼いてやるのが週末の楽しみである。

 引っ越してすぐはチャーシューを毎週仕込んだりラーメンを仕込んだりと飯に凝っていたが、それはリモートワークが許していたこと。いざサラリーマンを始めるとなかなか週一でも難しい。あと意外と食費がかかるんだよな。リモートの時は家でうどん食ってればよかったんだけどお弁当とか用意したり買い食いとかするとあっという間にな〜。

 実家を出ると家賃の兼ね合いで全然金が貯まらない。びっくりするわ。実家にいる時にも生活費は家族に渡していたけど、あれじゃすまない。家族って優しいな〜っってそれは思った。毎月趣味に使えるお金をここまで!って決めてやりくりしている。カードゲームは金がかかる。

 家を出てTRPGを遊びやすくなったが、同棲したせいで同棲相手とTRPGが一緒にしにくくなるバグが発生する。もう少し広い家に住めばマイクが声拾っちゃう問題とか解決するのだろうが、我々のお給料では、なかなか難しい。

 実家の爺様が死んで、婆様もかなり老い先短くなってきた今日この頃。長男でもあるぼくは実家の面倒を見ないといけないこともあり、それらも考えなくてはいけない。親戚付き合いだったり、相続だったり、まだまだ積み重なった問題は多いが、生まれの不幸を呪うがよい。君のお父上がいけないのだよ。



X:KRnN_life