地元・愛

あんまり好きじゃない地元を離れて5年になる。いまのところ、故郷に帰るつもりはさらさらない。親の介護や家業次第では帰らざるを得なくなることもあるのだろうが、考えただけで陰鬱な気分になる。
第2の住処として私が流れ着いたのが福岡県だが、ここでももちろん場所に対する愛着は沸かなかった。そもそもの性質として、土地に対して感情を抱くことができないのかもしれない。毎日のように通った学校のある地区も、バイトで毎日通った道も、明日再開発でなくなりますよ〜と言われても、そうか〜と思うだけな気がする。自分がこんななので、郷土愛の強すぎる人と出会うとちょっぴり引いてしまう。ちょっぴりね。5年間に私が出会った博多弁を話す人々、つまり福岡生まれ福岡育ち福岡在住の人は、大なり小なり郷土愛に満ちた、素敵な方々だった。生まれ育った土地から早く離れたくて仕方のなかった私には、自分がいるこの土地が一番で、それを誇りにして生きるという感情が理解できない。じゃあどの土地だったら愛着がわくんだよという感じだけど、「土地」に感情が湧くことはこの先ないんじゃないかなと思う。今まで住んだことのある福岡もバンコクも台北もとってもいい場所だと思うけど、2度と離れたくない場所かと言われると、いやべつに…と思う。そう思うと、私が唯一「好きじゃない」という感情を抱いている地元は、やっぱり私にとって特別な場所なのかもしれない。

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