今年はじめて見た蝉の話
開け放した窓から、前日までは聞こえなかった蝉の声がかすかに、しかし確実に聞こえた。
7月3日土曜日。梅雨の合間の、いよいよ夏が来たなと思った日だった。
小1息子と出かけようとしていたときのことだ。
マンション前に自転車を停めて用意をしていたら、アスファルトの上に何かいるのに気づいた。
蝉の抜け殻だ。
どこかから飛ばされてきたのか……と思い見ていたらそいつが動いた。
抜け殻じゃない!これから羽化するやつだーーー!!
時刻は午後4時半ごろ。
羽化のために地中から出てくるにはちょっと早い。
そして、木はおろか土からも離れた路上で力なく足を動かしている。
そもそもどこから出てきたんだろう。
慌てて拾い上げ、近くの木につかまらせようとするが、うまくつかまってくれない。
息子とあたりを見回したところ、うまいこと斜めになっている枝があったのでそこに乗せた。
蝉はしばらくモゾモゾ動いていたが、やがてぽとりと落ちてしまった。
もうあまり力がないのかもしれない。
とりあえず登りやすいように木の根元に置いてやり、その場を離れた。
約3時間後に帰宅したので見てみたら、蝉はさっき置いてやった木の根元でひっくり返って息絶えていた。
どういう経緯で昼間にアスファルトの上にいたかは分からないが、何年も土の中にいて、いよいよというタイミングで力尽きるのは残念だったろうねと息子と話した。
彼は蝉の生態については図鑑で見て知っていたが、抜け殻になる前の状態を見るのは初めてだったので不思議そうにしていた。
この夏は羽化の観察をしようと思う。
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