「素直」の呪縛
美しい紫陽花の花。
濃いピンクの紫陽花の花束。
紫陽花の花言葉は「移り気」「浮気」「無常」。
ピンクの紫陽花は「元気な女性」「強い愛情」。
彼女いわく、私のイメージはピンク色なのだそうだ。
「本当は、もっと薄いピンクのイメージなのだけれど…この紫陽花が、あまりにも綺麗だったから。」
と、申し訳なさそうに差し出された花束からは、水が滴っていた。
今日は晴れていたけれど、梅雨の近いことを暗示しているようだった。
小さな頃から、好きな色を聞かれると、ずっと「ピンク!」と答えていた。
ピンクのリボン、
ピンクのワンピース、
ピンクのバッグ、
ピンクの靴…
ピンクは私の専売特許、とばかりに全身ピンクで街を闊歩していた日々も、遠い昔になってしまった。
私は今、好きな色を聞かれたら、迷わず「青」と答える。
いつからそうなったのか…?
思い当たる転機は、確かにある。
それは、私が一つの呪縛から逃れた日。
そして、ある意味新たな呪縛に囚われた日、かもしれない。
私はピンクを捨てたと思っていた。
ピンク色の私は、素直で従順。
素直であることを何よりの美徳と教え込まれ、ふわふわとしたピンク色の夢を見続けていた。
けれど…
ある時、あることによって青色に染まった私は、自分自身を指針に生きる(ことを切に望む)。
とはいえ、ピンクもブルーも、きっとどちらの色も、私自身、なのだろう。
在りたい姿は、強く優しく。
器用には生きられなくても。
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