成人式の日の夜に-1

「昔はこうやってあそんだよね」

気が付くと、私は手足を拘束されていた。あれ。私は…友達の家に遊びに来て…

今日は成人式

今日は成人の日。ついに私も成人式を迎えて大人の仲間入りを迎えることが出来た。・・・といってもまだ誕生日迎えてないから正確には成人しては無いんだけどね。

中々昔の友達とも会えてなかったし、成人式で会えるのも楽しみ。仕立ててもらった晴れ着も綺麗だし、会場に行くのが楽しみだった。

会場に着くとさっそく中学や高校時代の同級生などとも再会できて、思い出話に盛り上がりあっという間に楽しい成人式も終わってしまいました。

ふと高校時代の友達のゆきがこんなことを言い出した。「ねぇねぇしほ。後であの約束しよ?みんなも呼んでくるから~!」

約束ってなんだろう。正直全く覚えていないけど。そんなことを考えていたらふとLINEが鳴った。だれだろうと見てみるとゆきからだった。

「今夜7時にゆきの家にきて!」なんだろうとおもいつつ、特に予定も無いので行くことに。

「約束」って?

約束された時間にゆきの家に行くと、高校時代の友達が出迎えてくれた。

「しほ約束覚えてる?高校時代のいつぞやのお昼休みにした約束!」

正直全然覚えていないんだけども、なんだろうと思っていたらいきなり部屋に押し込められた。

「きゃ!なにするのねえゆき!」叫んでも聞こえてないようで無理やりに押さえつけられてしまった。

「少し黙ってて!」誰だろう、誰かに口を押さえつけられた。

気がつくと、私は一時期流行ったぶら下がり健康機のようなものに手足を拘束されていた。

そして目の前にはゆきと、同じ高校の友達が立っていた。

思わず私は叫んだ「ねえ!!私をどうするつもり!早く離してよ!」

するとゆきがニヤッと笑い、こんなことを言い出した。

「あれ?しほと約束したじゃん。'また遊ぼうね'って覚えてないの?良くやってたじゃん」

ゆきに再度言われても思い当たるふしが…あった。高校時代、良く何かする度に罰ゲームで同じように拘束されてってことがあった。まさか…?

正直拘束されて何をされたかまではハッキリ覚えていなかった。「思い出したー?」ゆきが満面の笑みで問いかけてきた。

「知らない…!とにかくこれ外してよ!」外そうと手足を動かすが、しっかり拘束されている手足はバタバタするだけで外れそうにもない。

「忘れちゃったなら思い出させてあげる!ほらみんなも久しぶりに楽しもう!」

私は恐怖に襲われた。何をされるのだろう・・・まさかリンチとか・・・。

みんなが徐々に近づいてくる。いや・・・来ないで!!と叫んでもまるで聞こえていないようだった。

ついに目の前まで迫ってきた。いよいよ覚悟を決めなくてはいけないようだ。ぐっと歯を食いしばって目をつぶった。

「約束」の正体

「最初はやさしくしてあげてね」ゆきが周囲にそう伝えていた。

やさしく・・・?なんのことだろうと思っていたらお腹にスッと感触を感じた。お腹をさする何本もの指。「ふきゃきゃきゃきゃ」変な声が出てしまった。

「しほ、覚えてる?高校時代にゆきがもしテストの点数でしほに勝ったらなんでも好きなことして良いよって言ってたよね。最後のテスト、しほより1点上だったの忘れてないよ」

「だから今それをしてるの。大丈夫。痛いことはしないよ。ただくすぐるだけ」

実を言うと、私はくすぐりに弱い。高校時代にも時々ゆきとか周囲の人にいたずらでくすぐられたりなどをされたこともあるけど、すぐに大声を出してしまう。

「私ね、しほの反応が楽しくて、高校卒業してできなくなっちゃって寂しく思ってたんだ~。だから絶好のチャンスだと思ってね。大丈夫、最初はやさしくするからね」

内心暴力などを振るわれるようなことは無さそうとほっとしていた。でも逆に一体どうなってしまうのだろうかという不安に襲われた。

目の前には4人。合わせて8本の手がじりじりと近づいてくる。まだ触れられていないにも関わらず体がゾクゾク震えるのを感じた。

お腹の辺りを8本の手が擦るように動いているマッサージされているようなくすぐられているような不思議な感覚。でもくすぐったくて思わず声が出てしまう。

さわさわ攻撃は止まらない。「ひゃっやめくすぐった・・・やめきゃくすぐったひゃああはははやだ!やめきゃはははあはあ・・・」

「あれー?しほどうしたの??そんなに息を切らして。まだまだこれからなのに大丈夫??」

今度は手が全身に向かってきた。服の上から一斉に体をくすぐりだした。必死でもがいて逃げようとしても余計に疲れるだけだった。

「しほ苦しそうだね・・・私はそれを見たかったの。もっと私を楽しませてね?」

「きゃはははくすぐったいぎゃあははあははもうやめてきゃはあははは」全身をくまなくくすぐられて、笑う以外に何もできなくなっていた。

「しほ可愛い。ねえみんなももっと見たいでしょ?次の段階しようかな」

ゆきが不吉な笑みを浮かべていた。それはしほにとって地獄の入り口でしかなかった。

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