ハンバーグ

WEDNESDAY PRESS 018

山本嘉次郎著の「日本三大洋食考」という著作がある。
装幀は伊丹十三である。細密なイラストレーションが印象的。
トンカツ、コロッケ、ライスカレーを指して山本嘉次郎は三大洋食とした。
そこに是非ともハンバーグを加え、日本洋食四天王としたい、と思うのは僕だけではないと考える。もともとこの定義は大正年間であり、昭和、平成、令和となれば事情も変わってくるはずだ。

そのハンバーグ。
牛肉100パーセントか豚肉のミンチを混ぜるのか、また混ぜるとすればその割合はどうるのか・・などなど、課題というか考え方は、それを作る料理人の数だけ正解がある。

京都に「洋食おがた」という洋食屋がある。
シェフの緒方博行さんは、探究心の塊のような人物。
魚は静岡県焼津の「サスエ前田魚店」から緒方さんの調理にあった魚が届く。
豚肉は九州鹿屋市の「ふくどめ小牧場」のサドルバック種や幸福豚がやってくる。
そして牛肉である。
縁があり滋賀県南草津の「サカエヤ」の新保さんと繋がった。
まず新保さんが緒方さんの料理を食べた。
そこで緒方さんは「サカエヤ」に出かけ、じっくり話を聞く。
双方惹かれるものがあり、緒方さんは熊本の出身。
「じゃ、熊本の赤うしをお分けしましょう」ということになった。

緒方さんの凄いのは、なんと半頭分(様々な部位)を購入した。
そこから新保さんの手当てが始まる。
全て揃うまでは3ヶ月ぐらいの時間が必要である。

サンプルとして赤うしのミンチ(バラ)を預かった。
緒方さんはそれを使ってハンバーグを作った。
「想像を絶するうまさです」と緒方さんから連絡があり、
ありがたいことに試食させてもらうことになった。
牛と豚は同量。豚は幸福豚とサドルバックの余剰。

現状のハンバーグも十分味わい深い。
だが、それを凌駕するハンバーグが誕生した。
しかし、これで完成ではない。
ここから緒方さんの試行錯誤が始まる。
赤うしの部位はどこが敵しているのか?
部位の選択、挽き方、油脂のボリュームなど。

おそらくこれも3ヶ月後には一つの答えがであるはず。
これを待つ。楽しみはこれからだ!


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