「香り」

WEDNESDAY PRESS 022

味の記憶は「香り」である。
焼きたてにパンの香りを感じた瞬間、若い頃に彼女と河原でパンを食べた思い出が蘇ってきたりすることがある。
音楽もそうなのだが、音や香りは一瞬にして時空間を超えることができる。

料理とワイン。マリアージュを尊ぶ。
ソムリエはシェフが作った料理に、どのような味と香りのワインが合うのかを考える。大阪のあるイタリア料理店のシェフは、料理を作りワインを選ぶ。
このマリアージュが素晴らしかった。
彼は「僕は料理を作り、そこに足りない味や香りをワインでプラスしていますので、ソムリエのアプローチとは異なるのです」と説明した。はたと膝を打ったのである。

赤井勝さんという花人がいる。
花人はレストランで花と料理のコラボレーションをする。
この季節なら店内を桜の花を飾り、その雰囲気の中で食事を楽しむ。
圧巻である。
「今度は料理一皿ひとさらに花を合わせてみようと思います」と花人が話してくれた。

そこで僕は、料理人と相談をしながら、眼でも料理と合わせ、その料理に足りない香りを花でプラスする という試みはこれまでにないアプローチです、と提案すると「それは面白い。一度やってみましょう!」と。

これからこの提案を楽しんでくれるシェフを探そうと思う。

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hana

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