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【企業分析】ServiceNow

NOW (NYSE)
時価総額: 880億ドル
株価:438ドル
売上高: 59億ドル
営業利益: 2.6億ドル
(2021年)

事業内容: ワークフローのデジタル化支援
設立年:2003年、2012年上場
本社: アメリカ🇺🇸カリフォルニア州
代表者: Bill McDermott (CEO)、
(創業者)Fred Luddy、David Loo、Don Goodliffe、Bow Ruggeri
従業員数: 16,881人

概要

ServiceNowは、カリフォルニア州サンタクララに本社を置く米国のソフトウェア企業。
ITオペレーションやカスタマーサービス、人事関連業務の自動化など、従事者の業務効率化を、サブスクリプション形態を中心にクラウド上で提供する企業です。

Servicenow本社

業界、大学、政府を問わず、グローバル企業のワークフローをデジタル化する支援を行う。技術プラットフォームであるNow Platformは、システム、サイロ、部門、プロセスをデジタルワークフローで接続することを可能にする。

提供するワークフローは、情報技術(IT)、従業員、顧客、クリエイターなど4つの主要分野に分類される。ITワークフローは、IT部門にITライフサイクル全般にわたる計画、構築、運用、サービスを提供する能力を与える。

従業員ワークフローは、従業員が必要なサービスを受ける方法を簡素化し、従業員が自宅、職場、現場などどこにいても、消費者のように身近に仕事をこなせるようにするもので、顧客を支援する。カスタマーワークフローは、企業がカスタマーエクスペリエンスを再構築し、顧客ロイヤリティを向上させることを支援する。

クリエイターワークフローは、顧客がNow Platform上で独自のアプリケーションを作成、テスト、展開することを可能にする。

プロダクト・ビジネスモデル

ServiceNowは、「Fortune 500」の約80%を含む、世界の大規模企業の戦略的デジタルトランスフォーメーションパートナーです。

これらの企業は、Now Platformを「プラットフォームのプラットフォーム」として活用しており組織全体でサイロ化されたレガシー・システムを統合し、複雑なワークフローとプロセスをデジタル化することで、業務の合理化を図っています。

Adobe、Deloitte、Equinix、Red Hat、Nutanix、UnitedLex、whyaye!、Acorio、Autotestpro、HighmetricではNow Platformを使用して企業内のデジタルトランスフォーメーションを強化しています。

ServiceNowの最高製品責任者 (Chief Product Officer)のチランタン・CJ・デサイ(Chirantan “CJ” Desai)は、次のように述べています。

「人々は、今日のソフトウェアが求めるようなやり方ではなく、自分の望むやり方で仕事ができるようになるべきです。強力な新しいAIとアナリティクス機能を提供するNow Platform の最新バージョンOrlandoによって、人々が仕事をよりスマートかつ迅速に処理できるようになります。

この追加されたインテリジェンス機能は、インサイトやレコメンデーションを介して問題を予測しながらビジネス上や顧客の問題を予め解決し、最終的により良いビジネス上の意思決定ができるようになります。Now Platformに搭載されたNow Intelligenceはワークフローをスマートにして優れたユーザー体験とより多くの生産性を従業員と顧客の双方にもたらします。」

Orlando公開により、ServiceNowは企業全体で引き続き顧客向けのモバイル体験を提供します。そしてNow IntelligenceではNow Platformが素晴らしい体験を提供します。その機能は以下の通りです。

作業のスマート化と迅速化:チームがその場で行動できるように、コンテキストに応じた推奨や予測、洞察を自動的に提示します。

·より優れたセルフサービス機能:あらゆるチャネルで常に利用可能なインテリジェントな仮想エージェントにより、顧客と従業員は必要なものを迅速に入手し、行動を起こせるようになります。

· 高度な問題予測およびアクション自動化機能:Now Platformに完全に組み込まれた仮想エージェントにより、顧客と従業員は、時間や場所を問わず、迅速な解決を求められるリクエストを自動化することで、動的な対話を通じてワークフローを開始し、解決策を得ることができます。

· ビジネス上の意思決定のサポート:組織のすべてのレベルで透明性と整合性を高め、チームとプロセス・オーナーに、リアルタイムのパターン(傾向)とトレンドに関する意義ある情報を提供します。その結果、より多くの情報に基づいた意思決定が可能になり、改善すべき分野を迅速に特定することができます。

Now Platform の最新バージョンOrlandoは、ServiceNowのIT担当者、従業員、および顧客のワークフローにアナリティクスを提供し、インテリジェンスとモビリティのソリューションを高めます。その中でも重要なイノベーションは、以下となります。   

アナリティクス・ソリューションズ

·  クラウド・インサイト:業務時間内のクラウド利用状況の管理、適切なリソースの選択、利用ポリシーの適用に関するインテリジェントな推奨を提示することで、ITチームのクラウド資産のコストを最適化できます。

·  先進のリスクアセスメント(リスク評価):第一線に立つ組織のチームは日常業務のさまざまなリスクを容易に評価できるようになるため、他のチームはビジネス全体にわたる運用上のリスクやその他のリスクを分析および管理する際に、変化に効果的に対応できるようになります。

· ソフトウェア脆弱性評価:セキュリティチームとITチームは、脆弱性のあるソフトウェアと関連デバイスおよびサーバを即座に特定し、標準的なITワークフローを通じて迅速に変更を加えることで、ゼロデイ脆弱性の潜在的な影響を最小限に抑えることができます。

インテリジェンス・ソリューションズ

· 作業割当におけるエージェント親和性:カスタマーサービス・チームは、インテリジェントなコンテキストを使用して最適なエージェントに作業を割り当てることができ、顧客満足度を向上させることができます。作業を割り当てることができるエージェントには、常に特定の顧客にサービスを提供する特定のチーム、以前にその顧客にサービスを提供したことのあるエージェント、または関連タスクの経験があるエージェントが含まれます。

· 自然言語を理解する仮想エージェント:Now Platform の「Madrid」バージョンと「New Yorkバージョン」で発表されたイノベーションを継続的に進化させ、自然言語理解(NLU)モデルの作成と保守を容易にします。

·CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー):選択的コミットや衝突回避による開発者コラボレーションの強化や、開発期間を短縮する簡潔なデプロイメント・プロセスなど、チームによる標準DevOpsツールを使ったオン・プラットフォームの大規模な開発をサポートします。

モビリティー・ソリューションズ

· モバイル・エージェント機能の強化:ネイティブなモバイル体験を提供することで、サービスデスクのエージェントとオペレーターは任意のデバイスを使用していつでも問題を解決できるようになります。これらの機能は、ITSM、ITOM、およびフィールド・サービス管理ソリューションで利用できます。

· モバイル・ブランディングとアナリティクス:採用応募者、新規採用者、従業員が最もよく利用する自社サービスを、従業員との関係をより密にして、アナリティクスを使用することで顧客ブランドの環境でNow Mobileの企業体験を設定することができます。

· モバイルを対象としたキャンペーン(目的別アプローチ):部署や職種などのプロファイル情報を使用して、重要で関連性のある情報(課税期間 、サイトの更新、地域のITイニシアティブなど)を、モバイル・デバイスを介して従業員に提供します。従業員のコミュニケーションに対する、この積極的なアプローチにより、従業員満足度が向上し、サービスデスクへの問い合わせの減少が期待できます。

ServiceNowはNow Platformを延長してDevOPsパイプラインを管理し、ITオペレーションに関わる開発者が新たな見識を受け入れ、マニュアル作業で時間のかかる変更承認過程をオートメーション化します。このことで顧客は安全性を保持したままより迅速にオフ・プラットフォームでリリース機能を開発できます。当初はServiceNowストアでしたか購入できなかったServiceNowのDevOpsは現在Orlandoの一部として提供されるようになります。

IDCのコグニティブ・AIシステム担当リサーチ・ディレクターのデイブ・シュメール(Dave Schubmehl)氏は次のように述べています。「企業がデジタルトランスフォーメーション化を続ける限り、分散された部署を繋げるための適応化実行ツールが必需品となります。エグゼクティブがより実践的にAIを業務に取り入れる方法を模索し続ける必要があります。それにより企業全体の業務の効率性を高めるだけでなく増え続けるエンドユーザーの要求を満たすことになるでしょう。」

市場動向

ITSMソフトウェアベンダー上位10社、市場規模、2020~2025年の市場予測

世界のITSMアプリケーション市場は、2020年の63億ドルから2025年には68億ドルに達し、複合年間成長率は1.5%に達する。

2020年には、上位10社のITサービスマネジメントソフトウェアベンダーが、世界のITサービスマネジメントアプリケーション市場の約87.2%を占め、ライセンス、メンテナンス、サブスクリプションの収益で約63億ドルに迫る16.5%の成長を遂げています。

昨年は、ServiceNowがITSMライセンス、メンテナンス、サブスクリプションの売上高を22.4%伸ばし、39.6%の市場シェアを獲得して首位に立ちました。2位はアトラシアンで、以下、LogMeIn, Inc、BMC Software、Ivantiと続く。

ITSMアプリケーションの市場規模は、2020年の63億ドルに対し、2025年には68億ドルに達し、年平均成長率は1.5%になると予測されます。

(参考)競合他社(システム・ソフトウェア)の株式時価総額(2021年12月末)

業績

売上高(セグメント別)の推移

FY2021(2021年1月-12月期)の売上高は59億ドルと、前年度比+30.5%、過去5年間で年率+33.5%となりました。

2021Q4(2021年10−12月期)の売上高は16.1億ドル(前年同期比+29.1%)と、コンセンサス(16.0億ドル)を上回りました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・サブスクリプション:15.2億ドル、前年同期比+29%

・その他:0.9億ドル、前年同期比+38%

セグメント別の売上高構成比は、サブスクリプションが94%を占めます。

地域別の売上高構成比は、北米が64%、欧州/中東/アフリカが26%、アジア等その他が10%を占めます。

顧客数、請求額、PROの推移

年間契約額100万ドル超の顧客数は1,359件(前年同期比+25%)となりました。

サブスクリプションの請求額(会計上未認識だが顧客と契約済みの案件も含めた売上高)は24.2億ドル(前年同期比+32%)となりました。

非GAAP RPO(残存契約債務、受注残)は118億ドル(前年同期比+32%)となりました。

利益の推移

2021Q4の営業利益は0.4億ドル(前年同期比+95.2%)となりました。

2021Q4の非GAAP EPSは1.46ドル(前年同期比+24.8%)と、コンセンサス(1.43ドル)を上回りました。

キャッシュフローの推移

FY2021の営業キャッシュフローは22億ドルと、前年度比+22.6%、過去5年間で年率+69.0%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は37.2%と、前年度の39.5%から悪化しました。

2021Q4の営業キャッシュフローは8.4億ドル(前年同期比+23.1%)となりました。

FY2021のフリーキャッシュフローは18億ドルと、前年度比+32.3%、過去5年間で年率+120%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は30.4%と、前年度の30.0%から改善しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

配当、自社株買いの実施はなしです。

経営者 

CEOはBill McDermott(1961年8月18日生まれ)。2019年に就任。

Bill McDermott CEO

ServiceNow以前は、テクノロジー企業SAP SEのCEOを務めていた。共同CEO兼CEOの在任中、SAPの市場価値は390億ドルから1560億ドルに増加した。

マクダーモットは、ジョアン・ゴードンと共に回想録「ウィナーズ・ドリーム」を執筆している。A Journey from Corner Store to Corner Office」を執筆し、Axiom Business Book Awardsの年間ビジネス回顧録の金賞を受賞した。

ロングアイランドのアミティヴィルで生まれた。ネイスミス記念バスケットボールの殿堂入り選手ボビー・マクダーモットの孫でもある。16歳の時、ロングアイランドのアミティヴィルカントリーデリカテッセンを7000ドルで購入した。

マクダーモットはダウリング大学で経営学を学んだ後、ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院でMBAを取得し、ウォートン経営大学院でエグゼクティブ・ディベロップメント・プログラムを修了した。

株価推移

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