クラロワリーグ | CRL Asia | Thank you and farewell, "れいや(Reiya)"
2020年3月16日、統合された新リーグ「クラロワリーグ イースト」(Clash Royale League East)8チームの開幕ロスターが発表された。昨季のプロ選手で今回CRLを去る日本選手の数は過去最多の10人。
3月が終わる前に、1ファンからの送別メッセージを1日1本書いていくことにした。今日はその5日目。
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2020年2月18日、”れいや(Reiya)”が「クラッシュ・ロワイヤル」のプロ選手生活からの引退を発表した。彼はこれまで「クラロワ」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ アジア」(Clash Royale League Asia, CRL Asia) において、日本のプロチーム DetonatioN Gamingの一員としてプロ選手活動をしてきた。
彼はレーダーチャートで例えるなら「クラロワ」に一点特化でステータスを全振りしたかのような存在だった。DNGの1v1エースとして、特に大物選手や絶好調な選手に”特効”でも持っているのかのように強かった。
突然ですが
今年をもちまして、プロ選手を引退します。リアルの方落ち着いたらまた目指そうと思います!
クラロワ自体は続けるのでマッチングしたらよろしくお願いします| ˙꒳˙)
ありがとうございました(o_ _)o
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れいやのCRLにおける公式戦プロ通算成績はつぎの通り。
2019年4月、”最多トロフィー7200に到達した最初の日本人3人”として彼は鳴り物入りでDNGに加入した。そして、ルーキーだてらに1v1エースの重責を果たしていくことになった。S2は体調不良などで出場数が減ってしまったが、2季続けて彼は確かにDNG最強のカードだった。
数字的にも十分立派なのだが、このSTATSではれいやの凄みをうまくお伝え出来ていないというもどかしさがある。なにしろ彼の魅力は、”大物食い”と称したくなるほど絶好調な選手に強かったことだし、”手に汗握る接戦”をたくさん生み出す選手だったことだからだ。
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”大物食い”の試合としてまず思い出されるのは、2019年6月19日の対KING-ZONE。対戦相手は、16歳の誕生日を迎えてプロ入りするやGame7-0と無敗街道を突き進んでいた驚異の新人Line。れいやはこれを2-0のストレートで撃破し、Lineへプロ初黒星をプレゼントしてみせた。
そして、”大物食い”の試合としてこちらも欠かせないのは、2019年9月19日の対KIX。対戦相手はベネズエラから鳴り物入りでやってきて、1v1でSet3-0と猛威を振るっていたxPedro15。れいやが「ラヴァ・クローン」デッキでGame1を獲得すると、すかさずGame2でxPedro15も「巨スケ・クローン」デッキでやり返す、というエンタメ性の高い一戦だった。
ほかの”手に汗握る接戦”のいくつかは、下部の「Memories」に動画リンクを貼っておいた。結果や展開を忘れた頃にまた見ると、これが乙なのだ。
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さて、ここでちょっと脱線して、僕の好きなマンガの話をさせてもらいたい。それは、『HUNTER×HUNTER』という少年マンガの話だ。
ジャンルはバトルマンガで、作中には「念」という超能力が登場する。「念」は全身を覆うオーラのようなもので、これをうまくあやつることの重要性とその技術を主人公は冒険の中で学んでいく。
「念」の応用技術の1つに「硬」という技がある。これは体の一部にオーラを集中させた状態で、体の他の部分に流れているオーラを閉じることで更に集中度を増し、爆発的な力強さを生むという技術だ。
「硬」は爆発的な攻撃力を生み出せる代わりに、体の他の部分の防御が通常よりも手薄になってしまうリスクがあることも話中で明らかにされる。何とも絶妙な制約である。まったくもって”設定厨”にはたまらないマンガだ。
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話を半分戻そう。この「硬」の話は、人間の「集中力」や「没頭力」に通ずると僕は思うのだ。
「○○に僕の全てを捧げます」「全力で集中します」という言葉があるが、これはあくまで慣用句であって、本当に自分のすべてを1つのことに集中できる人はまずいない。たいていの場合6:4とか7:3であって、1つことに打ち込みつつも、生活や寝食や人間関係や宿題や仕事やSNSやなんやかんやに頭の一部を使っていたり、マルチタスクしてたりするものだ。それでふつうだ。
だが稀に、文字通りすべてを1つのことに集中できてしまう人がいる。他のなんやかんやを一切シャットアウトしてのめりこめる”何か”に出会ってしまった人がいる。あまりに深く底まで没頭してしまうあまり、リアルになかなか戻ってこれない不器用な人がいる。
れいやもそういう1人なのではないか、と僕は勝手に思っている。
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れいやはそのプレイスキルや勝負強さが称賛され支持される一方で、体調管理やSNSでの言動などで「プロとしてどうなのか」と批判を受ける場面もあった。それらの指摘は一理あるし、正しいか間違っているかで言えば間違ってはいないのだろう。
ただ、僕はこう思う。
あの名試合やスーパープレイの数々は、いくられいやが「クラロワ」の天才だったとしても、彼が寝そべって鼻くそをほじりながらへそで茶を沸かしつつ適っ当に遊んでいて、生み出せたものでは決してないと。もともと素質や適性のあったれいやが、時間も体力も集中力も、それこそ文字通り自分の一切合切すべてを「クラロワ」へ一点集中させたことによる、いわば狂気の産物だったのではないかと。長所と短所に切り分けられる類の話ではなく、もっと表裏一体の話だったのではないかと。
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そこまでのめり込めるもの「クラロワ」に出会えたれいやは幸運だったし、
彼の強みを尊重し活かしてくれる仲間たち「DNG」との出会いも幸運だったし、彼らのおかげで凄い試合を見せてもらうことができた僕らファンも幸運だった。
仮定に仮定を重ねているし、異論もあろうけれど、僕はそう思っている。
Thank you and farewell, "Reiya" ! ■
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Memories
”クラロワリーグ・アンバサダー”ことYouTuberドズルのCRL切り抜き動画シリーズに、れいやの公式戦リプレイが採用された回数は実に多かった。
わかるなあ。彼にはすげえ試合がホント多かったもの。
▽2019/05/05
▽2019/05/27
▽2019/06/06
▽2019/06/07
▽2019/09/11
▽2019/09/22
▽2019/10/04
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Information
れいや(Reiya)
・CRL: DNG(2019 S1 S2)
・Clan: Calm Ark、僕らはみんな可哀想
・Best Trophies: 7607
・Titles: Best Season 28th (2018/12)
・SNS: Twitter
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Good luck!
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