#AC2021のネタ

私は西村綾乃、眠ってたら夢の中である男の人から「野球、やらないか」と持ちかけられた。聞いてみると大好きな中学の同級生、引持莉歌さんも同じふうにこの世界で野球をやっていたらしく、言われてみれば、ある時からやけに大人びてるなぁと思ったことがあった。

もちろん!と即答し、チームに合流した。この世界のプロ野球選手は大半は高校卒業後すぐに入団するらしく、莉歌もそのタイミングだったらしい。

この世界では、基本的に開幕メンバーがそのままひとシーズン完走するとのことで、莉歌のように活躍するためには死ぬ気で開幕メンバーを勝ち取ってくれと監督、そしてゆべしと自称するマネージャーが言っていた。。そうして私は死ぬ気で練習を積み重ね、ついにプロ5年目にして開幕8番三塁手として出場した。この年は自信がなかったけれどなんとかシーズンを完走して、2割4分5厘、マネージャーもここまでくれば打率は.250出塁率は.300は欲しかったけれど言っていたけれどもよく頑張ったと褒めて、頭を撫でてくれた。憧れの人への道はまだプロローグを終えたばかりだ。

この世界での暦で667年、監督から「このチーム生え抜きで行きたいか?それとも出場機会を求めてトレードするか?」と問われ、私は「出場機会がほしいです!」と即答した。結果、秘密ドリフターズと言うチームから琉球コバルトリコリスというチームに移籍した。沖縄は暖かくて気持ちよかったなぁ。この年はまさかのクリーンナップ、5番二塁手として出場した。そして翌年、ドリフターズに戻り、引き続き五番二塁手として起用された。だけれども、私はもやもやしていた。莉歌のようなパワーのある打撃をしてみたいと考えていたが、いくらバットを振っても打球はなかなかフェンスを超ええない。こうしたもやもやの中、監督から「3番やってみない」といわれ、変えられるかもと思い快諾した。すると驚くほど打点が伸びて、パワーがないわりに驚くほどに打点も増えたのが莉歌に近づいた感じがして気持ちがよかった。この年に二塁手のベストナインを獲得できたのはいい思い出だ。その後もう一度ニ塁手のベストナイン、さらには遊撃手のベストナインをも獲得した。特に最後の遊撃手のベストナインは最終年で打率.350を超えてたのでマネージャーから「引退するん?」と何度も言われたが気持ちは変わらなかった。

 引退後、夢が覚めたような感じで元に戻った。莉歌は同じサークルにいたので彼女に話したところ、まさに同じような記憶があるとしゃべって、二人だけのスペシャルな共通点を見つけて私はさらにときめいた。たびたび彼女と野球観戦に行ったのはいい記憶だ。卒業後、私たちは会社員などとして働きながら、ある少年野球チームのコーチに就任した。最初はそのチームの監督にあまりいい顔をされなかったのだが、お茶番の代わりぐらいにと別のコーチから提案されたので何とかコーチになることができた。就任後は私たちのコーチングがよかったのか打率や長打の数が改善し、強くなることができ、監督から認められた直後のある日、ショートの子の居残り練習をしていると、、、和ゴス?風の恰好をした女性が河原に降りてきてショートの子に体を使って指導していた。「誰ですかあんた」と注意しようとすると、、、「あ、綾乃ちゃんじゃん!私知ってる?あのショッピングセンターの同じ階のテナントで働いてた若菜美里だよ!」そう切り出された。そこのテナント、、大学生時代に働いていたし、そういうブランドが集まるところだったので多分見かけたような気がするけれどもわたしもよくわかんない上にまったくかかわりのない周りのコーチなんかは唖然としていた。そこで後日彼女と改めて会ってみることにして、その日は分かれた。当日、待ち合わせ場所の喫茶店に行くとタバコを吸う彼女の姿が見えた。「あっ、これ?マルボロだね。マネージャーの砂押ってやつ。あなたも知ってるだろうけれどもあいつが吸ってたんだよ。昔好きになった女性が吸ってたって。なんか変な奴だよね。」砂押…私のマネージャーもそんな奴だったな。途中からたばこなんて格好つけて吸い始めたような…でもあんまり記憶にないな。彼女はわたしが座ると話し始めた。わたしってこんな見た目だけど野球大好きなんだよね。そのきっかけは君もしってるそいつなのよ。私はニューヨークヤングビリーズってチームに行ったわけ。でもあの時のチームの状況はあんまりよくなくて、たびたび選手とほかの選手、首脳陣とぶつかってたんだよね。何度も仲裁したし何度も対立した。そんなチームで守備の要と呼ばれるショートを任されて緊張感もあったなぁ。。それでもファンが増えていく感覚、私ゴシック系の服が好きでよく着ているし、インスタなんかでも載せてるからそういう同志のファンが増えいって、球場に来てくれるのはのはうれしかったね。そのあと、やがてチームの雰囲気も良くなって優勝したんだけれども自分自身おばさんになってく感じと後進が育っていく感じが「もう引退するんやな」って悟ったというか感じたから引退して、ゆっくり生きていこうかなと思ったらなんか元の世界のこの体に戻ったんだよね。ここまでで彼女、美里さんの不思議なプロ生活が終わる。大枠は確かに私の体験とよく似ている。それをバイト先で話してみたら「ここでほかにそんな不思議な体験してる子いたよ」なんて言ってた人がいるから探して突撃してみたってわけ。ここまでの彼女の話を聞き、私目線の話を聞かせた。あこがれの人のことや野球での活躍などいろいろな話をして、最後にまた会おうというと「今度は球場でまた会おうね。あなたの大好きな莉歌さん。会ってみたいわね。」

そうしてわたしと莉歌と美里、三人で野球を見に行った。入場すると球場の係員から「おめでとうございます。」何のことかと聞くと「今日の始球式、球場のお客さんから選ばれるのですが、今日の始球式、あなたが投球することになりました。」ちょっとびっくりしたけれども「じゃキャッチャーは彼女でいいですか」と聞くと係員は快諾し、始球式のマウンドに立った。私たちの左手には記念品として選手からもらったグラブ、ミットをはめて私は莉歌のミットに向かって投げ込んだ。


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