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[書き起こし]GMOリサーチ&AI(3695)IRセミナー・質疑応答 2024.6.8開催

2024.6.7に開催致しましたGMOリサーチ&AI(3695)IRセミナー&質疑応答の書き起こしになります。
代表取締役社長 細川 慎一  様


IRセミナー


ご紹介いただきありがとうございます。皆さん、本当にお忙しい中、週末にもかかわらず、ありがとうございます。せっかくご来場いただきましたので、精一杯、心を込めて説明できるように頑張ります。ぜひともよろしくお願いいたします。

まず、自己紹介をさせていただきます。私はGMOリサーチ&AIの細川慎一です。少し変わった経歴を持っています。通常、新卒で企業に入社するところ、私は在エチオピア日本国大使館に2年間勤務しました。これは、当時、外交官を目指していたためです。しかし、実際に外交官として働いてみて、これが私のやりたいことではないと感じました。安定した職業よりも、ビジネスの競争の世界で自分を成長させたいと思い、次のステップとしてビジネスの道に進みました。

少し英語ができたので、シリコンバレーで事業所の立ち上げを始めました。当時、Yahoo!などの企業が急成長しているのを目の当たりにし、感動しました。そこで働いている人たちは、みんなMBAを持っていました。グローバルで戦うためにはMBAが必須だと感じ、アメリカのサンダーバード大学院、グローバルMBAとしてアメリカで一番有名な大学院に入りました。

日本に帰国後、外資系コンサルティング会社でグローバルマーケティングのコンサルタントとして、日本企業のグローバル展開を支援するプロジェクトに携わりました。その中でインターネットリサーチの可能性に気づき、この分野に興味を持ちました。
今まで郵便で送ってデータを集めていたり、人がインタビューして取ったりしていたのに比べて、インターネットリサーチではデータの取れるスピードが、非常に速く、安く手に入る。当時はデータの精度がすごく悪かったのですが、今後、絶対これが普及するなと思いました。

その後、インターネットリサーチにのめり込み、自分でコンサルティング会社を立ち上げました。その際、GMOで新しいビジネスを立ち上げたいという話があり、社長に就任することになりました。こうしてGMOリサーチ(現:GMOリサーチ&AI)という会社の基礎が誕生しました。

2005年にGMOメディア&ソリューションに入社し、そこからGMOリサーチ&AIを立ち上げました。その後、5年で上場を目指しましたが、最終的には9年かかりました。上場資金を基に東南アジアでの事業展開を進めています。

私は2019年にシンガポールに移住し、アジアでの展開を本格的に進めています。2022年には米国にも事業所を設立し、世界で通用するリサーチインフラの会社を目指しています。

現在、私たちの会社は世界8拠点で事業を展開し、海外売上比率は30%弱です。日本市場でのシェアは67%でトップシェアを持っています。次はアジアでのシェア拡大を目指しています。

我々の会社が現在、皆さんに知っていただきたいポイントについてお話しします。ここには詳細がありませんが、後ほど事業説明の際にもう一度触れる予定です。現在、マーケット自体が入れ替わるタイミングにあり、新しいビジネスと既存のビジネスの両方を進めています。

まず、左上にある世界市場成長性の19.8%という数字は、これまで我々が取り組んできたサンプルパネル提供市場の成長率です。この市場において、我々は日本で67%のシェアを持ち、日本国内でトップシェアを誇っています。この市場は世界的にも成長しており、現在のシェアは世界で2%、第9位です。次に目指すのはアジアでのトップシェアです。

日本では既にトップシェアを獲得していますが、これを100%に近づけるためにさらに成長を目指しています。また、日本の市場拡大のためにセルフサービスプラットフォーム市場にも進出しており、この市場の成長率は世界で26.8%と高い水準にあります。日本でもこの市場を取りに行く戦略をとっています。

成長市場において我々は、セルフサービスプラットフォーム市場とリサーチ市場の中でもユニークなポジションにあります。特にプラットフォーム戦略を順調に展開しており、こちらも後ほど詳しく説明します。

また、配当については安定した高配当を目指しており、投資家の皆様に対してもきちんと還元できる状態を作っています。配当性向は50%以上を目標にしており、現時点での予想配当利回りは4.17%です。これは高い水準ですが、株価にはまだ満足しておらず、今後も市場に対して丁寧に説明を続けていく必要があると感じています。

現在、我々が説明しているサンプルパネル提供市場だけでなく、リサーチ市場、あるいはインサイト市場という大きな市場の中で、一つ一つ違った展開をしなければなりません。日本で上場しているリサーチ会社や調査会社は、全て従来型の確立された市場調査のマーケットにいますが、我々はそこにとどまらず、さらなる展開を目指しています。

私たちは、リサーチという会社名が付いていますが、主にサンプルパネル提供市場をメインとしています。この市場において、日本ではトップシェアを獲得しています。次に目指すのは、拡大しているセルフサービスプラットフォーム市場です。

簡単に言うと、企業が新しい商品を出す際に、どのような顧客が購入してくれるのか、その顧客に対してどのようなメッセージが効果的かをアンケートで調査します。通常、このような調査は調査会社に依頼します。調査会社は、企業が抱える課題を把握し、質問設計を行います。そして、対象となる顧客にアンケートを実施し、データを集めて最終的にプレゼンテーションを作成します。この一連の作業のうち、最も応募数が多い部分が調査会社の役割ですが、私たちはアンケート画面の作成とデータ収集を担当し、そのデータを調査会社に納品します。

このように、私たちは市場の異なる部分を担っています。セルフサービスプラットフォームにより、企業が調査会社に依頼するのではなく、自社でリサーチャーを雇ったり、AIを活用したりして、アンケート設計を行うことが可能になります。このような企業は、直接私たちのようなプラットフォーム会社を利用するようになっています。この点でも市場が異なってきています。この詳細については後ほどさらに説明します。

先ほど述べたように、私たちは他の会社とは異なる市場をターゲットにしています。事業会社や調査会社が調査を内製化する動きが増えており、これは世界中、特に欧州や北米でのトレンドとなっています。

次に、国内と海外の事業について説明します。まず国内事業についてですが、データの販売を行っています。

我々が調査会社に販売するときは、約70%のシェアを持っていますが、粗利率は(人件費除く)約59%です。これは直接的にアンケートを仕入れるコストを反映しています。しかし、事業者が内製化を進めたり、AIでアンケート画面を作成したりするようになると、我々のプラットフォームを直接利用していただけるようになります。この場合、粗利率は約70%に上昇します。これが現在の国内市場の現状です。

ただし、我々からの調査会社への仕入れが減少しているため、売上の構成に変動があり、全体のトップラインは一時的に低下しています。これについては後ほど説明しますが、現在は第2四半期までが過渡期と考えています。

実は、調査会社も我々の顧客です。日本の事業会社が日本国内の調査を調査会社に依頼するのと同様に、アメリカの事業会社も調査を依頼する際にはアメリカの調査が最も多くなります。しかし、我々がアメリカ市場に参入すると競争が激しいため、まずはアジアのアンケートデータに注力して投資を行います。そのため、アメリカのパネルは自社で持たずに購入する必要があります。

アメリカの調査会社が最もオーダーするアメリカのパネルを自社で持っていないため、そこでの競争は難しいです。したがって、我々はアジア市場に特化しています。調査会社は我々と同様にアメリカのグローバルパネル会社にオーダーし、アジアの部分のみを我々に依頼する形をとっています。

この初期展開では、2層の構造があるため、粗利率は低くなります。しかし、アジアの部分のみを担当することは非常に有利で、ニーズも存在しています。

AIの進展により、調査会社のシステムは各エリアで最適なパートナーから直接仕入れるようになっています。アメリカの調査会社はアメリカのパネル会社と協力しますが、アジアの調査はアメリカのパネル会社を経由せずに我々に直接依頼する仕組みに変わっていきます。この仕組みはすでに整いつつあり、粗利が上がってくる方向になっています

これはアンケートを行う際のプロセスです。上が調査会社向けの販売プロセス、下が事業会社向けの販売プロセスです。基本的なプロセスは同じですが、最も重要なのは左側にある調査設計部分です。リサーチャーが画面を作成し、アドバイスを行う部分は労働集約的な事業です。

Webの画面を作成し、アンケートを実施し、データを集めて集計し、レポートを作成します。我々の業務範囲はここからここまでです。調査会社の場合、この部分は調査会社が担当しますが、事業会社の場合は自社で行うか、AIを利用する形式を取ります。

そのため、我々のリソースで画面を作成するメンバーは最小限にしています。我々はプラットフォームを作成するメンバーだけで構成されており、通常のリサーチ会社とは異なる構成となっています。

我々のプラットフォームについて簡単に説明します。このプラットフォームは、顧客に販売するプラットフォームと、データを仕入れるためのプラットフォームの2つがあります。消費者の皆さんからアンケートに答える許諾(パーミッション)を得ることが最も重要です。

GMOリサーチからのアンケートに答える許諾を得て、アンケートに答えるとポイントを支払う仕組みを採用しています。これにより企業は重要なデータを収集できます。販売側のプラットフォーム「Market Observer」は調査会社向けの非常に複雑なプラットフォームです。事業会社向けには「GMO Ask」というプラットフォームを提供し、AIがアンケート設計を支援します。

仕入れ側のプラットフォーム「Asia Cloud Panel」では、アジア16カ国で約6000万人以上の会員にリーチ可能です。全て自社で会員を確保しているわけではなく、各国の会員サイトや提携企業と協力しています。GMOポイントを使ったショッピングサイトなどもその一例です。

我々のシステムにアンケートを掲載すると、約6000万人以上の会員にアンケートが配信されます。この会員のデータを活用してAIを学習させ、将来的にはさらに高精度なデータ収集を目指しています。

皆様からいただいた詳細な属性情報は、我々がアンケートを送る際のターゲット設定に重要です。これまではアンケートのターゲット設定に重点を置いていましたが、AI時代になると、このデータがAIの学習に非常に大きな影響を与えるため、ますます重要になります。アジア全域での学習データとして非常に有益です。

通常のAIは、正規化されていない行動履歴などのデータを大量に持っていますが、我々のデータはすべてアンケート形式で収集されているため、AIの学習に非常に効率的です。多くのAI企業からも、我々と一緒に取り組みたいとの声をいただいています。アジアで約6000万人以上のこうしたデータを持っているのは我々だけであり、これを活かして次のAI時代に対応していきます。

各国のパネル構成は、日本の割合が高いものの、東南アジアの国々も増加しています。会員を増やすためには一定の案件数が必要です。会員の許諾(パーミッション)を得ても、案件がなければ許諾(パーミッション)が切れ、会員が非アクティブになってしまいます。一定の案件在庫が必要であり、このパネルネットワークが我々の強みとなっています。

また、自社媒体も活用しています。日本ではinfoQという媒体を持ち、約80万人の会員がいます。昨年末にはCASHMARTというアプリも導入しました。これはレシートを買い取るポイ活アプリで、若者向けに非常に人気があります。広告宣伝なしでも多くの番組で取り上げられ、獲得費用を抑えることができています。

直近のリリースでは、GMO Askという事業会社向けのプラットフォームをパッケージ化し、わかりやすいサービスとして提供しています。

ここからは、直近の決算説明についてお話しします。決算説明動画をご覧いただいている方はご理解いただけるかと思いますが、皆様の中にはご覧いただいていない方もいらっしゃるかと思いますので、重要なポイントをダイレクトに説明します。これは第1四半期の決算説明です。

売上高は2024年の対前期比で▲4.6%となっていますが、これは事業が入れ替わっているタイミングでの特殊要因とトレンド変更が大きく影響しています。この特殊要因は第2四半期まで影響するため、第2四半期までの決算においては前年度比を考慮する必要があります。

まず、我々の粗利率は高いものの、労働集約的な仕事が多いため、価格を上げて提供する方針に変更しています。そのため、積極的に取っていない案件もあります。グローバルパネル会社への提供を高価格で行うように変更したり、中国やインドのオフライン調査を絞ったりしています。

また、資本再編や特定大型案件の減少も影響しています。資本再編により競合パネル会社に発注が流れてしまうことや、AI時代に効率化が進む中で、案件数が減少(4回→3回など)していることが挙げられます。これにより、昨年の第3四半期から影響が出ています。

そのため、今年の第2四半期までは影響が続きますが、第3四半期からは昨年並みに戻り、健全な成長が見込まれます。

国内外の特殊要因を除けば、国内は約5%成長、海外は26%成長していますが、特殊要因を含めると国内▲3%、海外▲2%となります。

国内の事業会社向けは予定よりも順調に拡大しており、期初年間予想では54%の成長を見込んでいましたが、実際には57%成長しています。調査会社向け事業については、昨年対比で一部の成長が見込まれていますが、予想よりも若干低い成長率となりました。昨年と比べると、特殊要因を除いた水準で着地したというのが現状です。

海外の方では、グローバルパネル会社向けへの販売も継続しながら、調査会社に直接販売する戦略を取っています。調査会社向け売上高は初期年間予想(+21%)を大幅に上回る、32%の成長となりました。粗利率も計画通りに進んでいます。

しかし、グローバルパネル会社に関しては、年間の当初の想定以上の結果を期待していましたが、結果的には特殊要因抜きで昨年と同程度に留まりました。そのため、第2四半期まで特殊要因の影響が続きますが、成長を目指す部分が順調に進んでいるため、第2四半期以降は確実に伸びていく見込みです。

国内の通期の第2四半期、第3四半期、第4四半期の動向についてですが、我々の業界には特殊な部分があります。調査市場においては、日本国内では3月が最も需要が多く、次いで12月が需要の多い時期です。海外では12月が最も需要が多いです。そのため、我々の売上が最も多くなるのは12月です。これは予算消化の関係によるものです。我々の事業構造では第4四半期が最もトップライン(売上高)が大きくなります。

今年は、新しい取り組みや特殊要因が第3四半期からなくなることから、下半期、特に第四四半期において大きく回復する見込みです。ちょうど今が転換期のタイミングであることを皆様にお伝えしています。

粗利率についても、成長している部分が高いことが我々の特徴です。そのため、全体的な粗利率も上昇傾向にあります。

海外も同様に、第3四半期から特殊要因がなくなることで、全体としては下がらず、成長している部分の粗利率が高い状態が続いています。販管費についても、上半期は49%、下半期は51%程度で推移する見通しです。特殊要因がなくなる下半期は成長できると思っており、そのトレンドは経営的に悪くないと考えています。

また、今年の5月1日から社名をGMOリサーチ&AI株式会社に変更しました。この変更の背景について説明します。我々のリサーチ業界では、リサーチャーが顧客のニーズを聞いてアンケートを作成し、データをクリーニングしてプレゼンテーションを作成するという労働集約的な作業が多いです。これを我々はプラットフォームとしてAI化することで効率化を図り、業界全体の生産性向上と市場拡大を推進していく決意を持っています。

実際のところ、4つのステップで説明していきたいと思います。現在進行中のステップ1では、販売先フォーカスを直接販売の事業会社に変更すること、そして社内の生産性をChatGPTなどのツールを使って向上させることです。

ステップ2では、我々のプラットフォームにAIを組み込み、調査会社や事業会社の効率化を図ります。

ステップ3では、我々が持つ大量の会員データをAIに提供し、品質改善を図るとともに、このデータを活用して新サービスを開発します。このデータはすでに我々のデータベースに蓄積されており、AIを活用することで、アンケートを実施せずとも消費者の意図を把握することが可能になります。現在はトライアル段階ですが、将来的には新しいアンケートを行わずとも多くのことが分かる時代が来ると考えています。そのためには、ステップ4にありますM&Aや新サービスの提供を含む準備が必要です。

これらのステップを時間軸で考えると、今年はステップ1の計画達成が見込まれ、ステップ2は来年、ステップ3とステップ4は2026年頃に効果が現れると考えています。

最後にまとめとして、我々は業界最大級のパネルネットワークと技術力を背景に、日本・アジアを中心にグローバルに市場調査・マーケティングで、新しい価値を提供する会社です。これが我々の強みであり、日本だけでなくアジアを中心にトップシェアの会社になることが重要です。

アジアはまだまだ成長している市場であり、我々も共に成長していく機会と捉えています。我々の事業領域は世界8拠点に及び、アジアを基盤として世界中に販売を展開しています。

成長可能性としては、労働集約的な部分からAIの活用へとシフトしています。収益力に関しては、市場平均を上回る成長率を特定セグメントで実現しており、収益率も他社と比較してプラットフォームビジネスモデルが強みとなっています。

また、株主還元については、現状の配当利回りが4.17%と非常に高い水準にあり、配当性向は50%を維持することを目標としています。

以上で説明を終わります。ご清聴いただきありがとうございました。質疑応答に移ります。

質疑応答

Q. 今日の説明でもあったサンプルパネルというので、サンプルパネルの表というのがあるのですが、表ではなく、具体的にサンプルパネルとしてはどのようなものなのでしょうか。

A. 「サンプルパネル」とは、我々のようなプラットフォームを通じて調査会社がオーダーするための基盤を意味します。ここには会員(消費者)が存在し、これをサンプルパネルと呼んでいます。

具体的には、例えば航空会社のマイレージプログラムのようなものがあります。アンケート一覧が表示され、会員がアンケートに回答すると航空会社のマイルが貯まるという仕組みです。会員はアンケートに答えることでマイルを貯め、次のショッピングやディスカウントを受けることができるインセンティブを得ます。このように協力してくれる会員(消費者)の総称をサンプルパネルと呼んでいます。

Q. 複数の方から同じ質問をいただいております。今、世界シェア2%、9位ということで、この2%、9位というのは、ここ数年間でシェアとか順位は伸びているものなのでしょうか。また、別の方から、海外比率をどのぐらい伸ばすおつもりでしょうか。海外に移住されてまでの効果は出ていると感じていますでしょうか。

A. 市場データについて、最初の質問は我々のシェアが伸びているかどうかだと思います。簡単に言えば、市場の成長スピードよりも我々が成長していれば、シェアが伸びるということになります。

今年は事業の入れ替えがあり、状況が異なっていますが、2022年まではシェアを伸ばしていました。今年はシェアが横ばいの状態です。ただ、最近のデータが出ていないため、市場自体が今年どうなっているかは不明です。感覚としては、今年の市場は大きく変わっていると感じており、今年一年は横ばいの感覚を持っています。
来期の決算発表にはシェアの動向が明確になると考えています。

次に、海外においての成長についてですが、確実に成長しています。具体的には、我々は「海外売上比率」という表現を使っていますが、全体の売上のうち3割が海外からのものです。このうちの2割はアメリカからのオーダーであり、アメリカからアジアの調査を行うというニッチな部分に特化しています。本格的な成長は、残りの1割の売上のアジアとヨーロッパから来ると考えています。現状ではアジアからアジアの調査はオフラインが主流ですが、徐々にオンライン化が進んでいます。これを推進し、市場全体をオンラインに移行させる必要があります。

ただし、オンラインパネルの数がまだ十分ではないため、オフライン調査をオンラインに移行するのが難しい状況です。案件のボリュームを増やしながらパネルの確保も進めていく必要があります。アジアの市場は大きく、人口も多いため、日本市場以上の成長が可能です。

最終的には、アジアからアジアの調査が増加し、我々のシェアが変わる可能性があります。現在、日本がシェアの7割を占めていますが、将来的には日本のシェアが半分以下になる可能性もあると考えております。

Q. 海外の案件はどの国からのインバウンド案件が多いのでしょうか。アウトバウンド営業というのはどの国をメインで考えていますでしょうか。可能な限り海外営業所の営業方式や営業体制について教えてください。

A. まず、インバウンドとアウトバウンドの定義を説明します。インバウンドとは、海外のお客様が我々にオーダーをしていただく営業を指します。現在、インバウンド営業の多くはアメリカからのものです。アメリカの営業所を設置したのは2年前ですので、今はまだ足場を固めている段階ですが、現状の売上規模は約2割であり、今後さらに拡大していくと考えています。

アウトバウンドとは、日本のお客様が海外の調査を行う場合を指します。我々はこれまでアジアの営業に注力してきましたが、アメリカの拠点が整い、アメリカの仕入れ先も開拓されてきたことから、今後はアメリカの顧客を強化し、ヨーロッパの仕入れ先も強化する予定です。これにより、アウトバウンドも大きく伸びると予想しています。これまではアウトバウンドにあまり力を入れていなかったのが実情です。

現在、インバウンドが強い状況ですが、アウトバウンドにも国内で成長の余地があると考えています。

Q. 社長の株の持ち分が1%程度しかなくて、2015年に上場した当時で3.8%ぐらいありまして、当初5万株以上持っていたものが、今2万株程度しか持たれていないということを拝見して、先ほど体制、社長の方が割安で高配当だということをおっしゃられていたので、これというのは、自らしっかり買っていただくことになるかと思っていたのですが、いかがでしょうか。

A. おそらくご覧いただいているのは私の個人名義の株式ですが、実際には私の資産管理会社である株式会社細川が保有しています。私は個人では1株も持っておらず、全て資産管理会社に移しています。そのため、開示している情報は株式会社細川に関するものです。こちらをご確認いただければと思います。したがって、積極的に保有しています。

Q. 日本シェア67%、世界シェア2%ということなのですが、今期の売上目標が57億とかになりますね。これというのは、なかなかそこまで大きな市場じゃないのかなというふうに思うということと、今後、どういうような形で、どういうような成長スピードで成長されるのかということを教えていただきたい。年率CAGRで30%とか20%とか10%とか、結構左右されるとは思うのですが、その辺も教えていただければと思います。

A. まず、市場のポイントについてですが、我々はトップシェア戦略を採用し、各市場でトップシェアを獲得することを目指しています。最初に取り組むのは、サンプルパネル提供会社としてトップシェアを取ることです。すでに日本ではトップシェアを獲得しているため、次はアジアでトップシェアを目指しています。

アジアでは現在、オンライン化が進んでいないため、競合他社はまだオフラインで活動しています。したがって、この市場は日本の市場の倍の規模に成長する可能性があります。アジア市場には大きな成長余地があります。

今後の成長については、決算説明資料をご覧いただくと分かるように、市場のトレンドが一時的に変わり、落ち込みが見られる部分がありますが、これは一時的なものです。今後、どのように成長していくかを予測しています。特に、国内で事業会社向けを伸ばしているため、この分野が成長の主体となります。この成長率がどの程度になるかが重要です。

現在、国内市場事業会社向け売上は約50%の成長を達成していますが、これが市場全体の成長率にどのように影響するかが重要です。仮に市場全体が半々に分かれると、50%の成長が25%の成長を意味することになります。

海外市場についても同様に、海外の比率は小さいですが、その成長が全体の成長率に直接影響を与えます。この成長率を維持することが重要であり、適切な維持方法を考えなければいけないと思っています。

Q. ということは、成長率は20%から25%ぐらいが出るのですか?

A. そうですね。ただ、ここは全く新しい事業ですので、どれだけの割合になるかについても影響してくると思います。単純に言えば、そのような形になると考えています。

Q. 社名の方にもAIという形のものを入れたということで、AIを使って、今までのデータを集約化して、効率的に処理ができるということになってくると、非常に効率化をすることによって、コストを落とすことができるのではないかと思うのですが、そうすると、売り上げ以上に、収益に相当貢献する可能性があるのかなとも思ったのですけども、その辺はどういうイメージで、どれぐらい改善していくっていうようなものを、今持っていらっしゃるのか教えていただけますでしょうか。

A. これも一応、開示している範囲内でしかお話しできませんが、基本的に粗利の差が一つのポイントだと考えています。この市場に参入できた理由は、AIの活用にあります。我々はAIを活用することで、通常であれば人を採用して行う作業を、プラットフォーム上でAIに代替させています。そのため、通常の方法では出せない利益率を実現しています。

海外市場においても状況は異なりますが、同様に高い利益率を維持しています。具体的な数値については開示範囲内ですが、昨年の改善した数字と今年の上半期の改善を比較していただくと、およそどの程度の差があるかご理解いただけると思います。決算説明ではそこまでしかお話しできないのが現状です。

Q. 株価が過少評価されていると思っています。上場時に一時、5,300円くらいまで行って、今、半分程度の株価なのですけれども、その原因は、なぜだと、思われますか。

A. 一つには、我々のIRが十分にできていなかったという点が確実にあると反省しています。また、上場後に成長率が一時的に低下したこと、特に広告事業が一時的に減少したことが影響し、期待とは異なる数字になったことも考えられます。ただし、広告事業はもうなくなっています。

Q.株価が4,000円超えていてもおかしくないのに、現在の水準に留まっているのは、売上の伸びに対する期待が薄れているためかもしれません。また、グロース市場であることも、現在の時価総額50億円規模と低くなっている要因かもしれません。個人投資家が購入できる量が限られているため機関投資家に買っていただくために、事業提携などアナウンスできないでしょうか。

A. 時価総額を上げるため、事業価値を伝えるということを今年から体制を変えて広報活動を強化し、IR TVなどの動画を含めた発信を行っています。IRやリリースも充実させ、会社の事業活動をより多くの人に伝える努力をしています。

加えて、現在のトランジションタイムをきちんと説明し、成長率についても丁寧に説明し、実際に成長している部分をしっかりと伝えていこうと思っています。マイナスになっている部分が絶対値で影響しているため、これを乗り越えて下期には成長を取り戻すことが重要と考えており、この部分をアピールして参ります。

Q. 2022年12月期は、業績が従来の予想から下振れて、配当性向50%を割られていますが、減配されたと思います。一方、2023年12月期は、業績予想が下方修正にも関わらず、配当性向50%程度として、配当額を守られたと思います。この違いといいますか、配当額を守った理由を今後の参考に教えていただければと思います。

A. 基本的に配当を下げることはしない方針です。相当な理由がある場合にはやむを得ないかもしれませんが、基本的には最初に提示した配当を維持するよう努めています。

今年、なぜこれを維持したのかについては、去年の業界の変化の部分が大きく一時的に営業利益が下がっているが、企業として良いトレンドに乗っており、後で伸びてくると考えているため、減配の必要はないと判断しました。ここで重要なのは、1年間の一時的な減少を乗り越えれば、後は成長が見込めるという点です。そのため、強気で配当を維持することができました。

我々の会社としては、コアの成長部分がしっかりと伸びているので、この1年間の一時的な減少を乗り越えれば、配当を安定して提供できると考えています。ただし、将来の不安が大きい場合には、企業の健全な運営を優先し、50%を基準にした減配を検討する必要があります。しかし、昨年の事業が順調に進んでいるため、現時点で配当をマイナスにする必要はないと考えています。株主の皆様に不安を与えることも得策ではありません。このような理由から、配当の維持を決定しました。

Q. 海外の従業員比率が高いように見受けられます。今後海外の事業が成長していく中で、外国籍の従業員の採用というのは重要になってくると思います。外国籍の従業員の割合はどのくらいでしょうか。また外国籍の従業員の採用と教育についてお考えをお聞かせください。

A. おそらくご指摘の外国籍の従業員についてですが、当社の東京拠点には約110人の社員がおり、そのうち約3割が外国籍です。他の海外拠点では全てが外国籍の従業員です。全体で見ると、約半分が外国籍の従業員となっています。

これは、売上の3割が海外市場であるにもかかわらず、なぜ従業員の半分が外国籍なのかというご質問かと思いますが、その通りで、先行投資の一環です。海外マーケットはまだまだブルーオーシャンの状態であり、売上が自動的に伸びている状況です。特にアジア市場での成長が期待されており、ここでの成長が重要です。

日本で培ったノウハウをアジアで展開するためには、現地の人材を育成する必要がありますが、それには日本から人を派遣する必要があります。現地で経験者を採用するだけでは十分ではなく、日本から外国で働けるメンバーを育成する必要があります。そのため、外国人を採用し、英語のテストやインタビューを実施して、海外で活躍できる人材を選定しています。

このような取り組みにより、東京拠点の外国籍従業員の割合が増えています。また、海外拠点の割合も増加しています。特にアジア市場での成長を見据えた先行投資の一環として理解いただければと思います。ただし、これを成果につなげることが重要であり、我々もそのために努力しています。

Q. 為替影響について、先ほどインバウンドの売上の話がありましたが、例えば売上が外貨で原価が円であったり、逆に売上が円で原価が外貨だったりそういった場合は、トータルで為替影響に対応した形になっているのか教えていただけますか。

A. 為替の影響については、開示している数字に含まれています。具体的には、現状のクォーターごとの売上数値に反映されています。開示はしていませんが、コストも同時に海外で発生しており、ドルやユーロで計上されています。全体のインパクトの割合からすると、売上に対する影響は半分以下だと思われます。

売上に関してはこのように開示していますので、前期比でどれくらいの影響があったかは明確に分かるようになっています。もしご質問があれば、詳しく記載してほしい点をお知らせいただければ、今後の資料作成において分かりやすく改善していく努力をします。

Q. お客様にセルフで使っていただけるという話だと思うのですが、このデータ自体の所有権というか、これは御社にあるのかお客様側にあるのか、その点を教えていただきたい。

A. 非常によくご理解いただいていると思います。ご質問ありがとうございます。ここは非常に重要なポイントで、権利については2つの観点があります。1つはデータの所有権、もう1つはパーミッション(許諾)を誰が持っているかという点です。

まず、パーミッションを取っているのは媒体の保有者です。パーミッションとは、調査を行う許諾を誰が持っているかということです。例えば、我々の独自媒体であるinfoQやCASHMARTでは、GMOリサーチ&AIの名前でパーミッションを取っています。しかし、パートナー企業、例えば航空会社などの場合は、その企業がパーミッションを取っています。我々が利用できるのは、個人情報を除いたアンケートデータのみです。

次に、データ自体の所有権についてです。これは我々と、調査を依頼した企業の2つに分かれます。我々が行う属性調査、例えば性別、年収、居住地、家族構成などの基本的な質問は我々の所有となります。しかし、特定の企業が行う調査、例えば「先週どんな買い物をしましたか」といった具体的なアンケートは、その企業の所有となります。我々が所有するのは、ベースのプロファイリングデータであり、AIに必要なのはこの部分です。

ご指摘の通り、データベースにデータが蓄積されることで、他社との差別化が図れます。データが蓄積されることによって、長期的に大きなデータベースとなり、AIでの活用が可能となります。このデータの蓄積が他社との差別化要因となります。

我々は同じ基礎調査を年に3回から4回実施しており、データが継続的に蓄積されていく状態です。このデータの規模は、具体的にどの程度になるかは現時点では不明ですが、データベースのレコード数は今後も増加していくと予想しています。詳細については今後の開示でお伝えできればと思います。

Q.御社の株価が低すぎるという話は、親会社が株を持ちすぎていて、金曜日の出来高が200株しかないです。これだと企業価値とか業績以前の問題で、株が買えないですよね。1万株買っただけで有価証券報告書に名前が載ってしまう。それだと1万株も買えないなというところなのです。親会社が株を売るみたいなところは考えていらっしゃるかどうかってところをお聞きしたいです。

A.私の立場から、株を所有している方が売却するかどうかの判断は、当然ながら株主の権利であり、そこに触れることはできません。ご理解いただければと思います。

我々ができることは、出来高を増やすことだと考えています。なぜ出来高が少ないかというと、発信力と業績の問題があるからです。業績が上がらなければ出来高も増えませんし、逆に業績悪化で出来高が上がる場合もありますが、それは失望売りによるものです。新たな買い手が増えるためには、業績が継続して良くなり、さらに我々が適切に発信していることが必要です。

現在のところ、我々の業績は停滞気味に見られていますが、GMOインターネットグループ内では出来高の多い企業も多く存在します。したがって、我々もまだ出来高を増やす余地があると思っています。それは我々の経営努力にかかっており、今年注力すべき重要なポイントの一つだと考えています。

Q. プロファイリングを蓄積していった先に、どういった活用ができるのでしょうか。また、そのデータをどのように活用する予定でしょうか。

A. 具体的なリリース内容についてはまだお話しできませんが、大まかなイメージとしては、AIが不足している「頭で考えているデータ」を取得することです。現在、オンラインでデータ化されているのは主に行動履歴ですが、「頭で何を考えているか」というデータはまだ十分に取得できていません。

その「頭で考えているデータ」を取得する最も手軽な方法がアンケートです。例えば性格診断などを通じて、ある状況下でその人がどのように行動するかを予測することができます。我々はそういったデータも取得しているので、ある出来事が起きたときに、その人がどういう行動をするかを容易に想像できます。

これに加えて、行動履歴のデータも世の中にある程度存在するので、ポイント付与によってそのデータを取得することができます。この2つのデータを組み合わせることで、実際にどのような行動をするかを予測できると考えています。特にAIが取得できていないのは、行動以外の「頭で何を考えているか」というデータです。

我々の使命は、この2つのデータを使って新たな価値を創造することです。今、そのタイミングに来ていると感じています。

Q. アジアや他の国でも、日本のようなポイント好きな文化はあるのでしょうか。将来的にプロファイリングを構築していく際に、データの質という観点から懸念はありませんか。

A. 私が日本のビジネスを海外に展開する上での一番の懸念点は、日本にいるとその感覚がわからないことでした。そこで、シンガポールに引っ越し、役員やメンバーをマレーシアやインドなどに派遣して、現地の動向を見ています。

以前は、例えばアメリカでは、チップ程度のポイントではあまり意味がなく、ポイントに対する感度が低かったです。アメリカでは小さいポイントでは人は動かないですが、宝くじのように高額商品が当たる可能性があると、人々は動き出すことがあります。

一方、アジアでは日本と似てきており、シンガポール人の中にはクレジットカードを10枚以上持ち、使い分けている人もいるほど、ポイントへのこだわりが強くなっています。日本と近い傾向は確認できますが、マジョリティが同様に動くかどうかは実際に試してみないとわかりません。

ただ、チャレンジする価値は十分にあると考えています。文化の近い日本企業が取り組むべきだと思っています。アメリカの企業などとは感覚が全く違うため、ポイントプログラムの展開は難しいかもしれませんが、日本企業だからこそできることだと感じています。

Q. 同業他社とどのような違いがあるのでしょうか。マクロミル様、インテージ様と違いや具体的に優位性を教えてください。

A. マクロミルさんは、実は我々のお客様です。ここにいらっしゃる会社さんはすべて確立された市場調査会社であり、調査設計を行い、Web画面の作成やアンケートの実施を行っています。そして、最後に彼らの優秀な調査アナリストの方々がレポートを作成しています。このように、どの会社さんも同様の業務を行っています。したがって、表示させて頂いている会社さんはすべて我々のお客様です。

Q. GMOリサーチ&AI様の今期の配当を見てみますと111円14銭になっていて、前期が109円14銭ということで端数まである配当という、なかなか珍しい形になっているのかなと思うのですが、それはどのような理由なのでしょうか。

A. 端数については特に考えずに進めており、設定した配当性向で算出するという意識で進めています。特に理由があるわけではありません。

Q. 最後に一言メッセージをお願いいたします。

A. 現在、会社全体として成長が一時的に止まっているように見える部分もあり、ご不安な点があるかと思います。しかし、特に今だからこそ、私たちはもっとアイデアを開示し、株主の皆様や投資家の皆様に明確なメッセージを届ける必要があると感じています。会社が大きく変わっているタイミングだからこそ、こうした取り組みを強化しなければならないと考えています。

当社のIRチームも積極的に編成を見直し、体制を強化しています。第2四半期までは昨年度の影響が出ることが予想されますが、その後は皆様に将来の見通しをしっかりとお伝えしながら、IR活動を進めていこうと思っています。

本日はお忙しい中、多くのご質問をいただき、誠にありがとうございました。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。