SHOW MUST GO ON

J-POPのJをジャニーズとして曲を作ったと言っていたのを思い出す。そんな曲。追悼とか決意とかそういうのではなくて、ジャニーズをテーマにしたらこうなった、が1番正しいのがよくわかる。
ジャニーズはかく有るべき、とは思わない。入所の動機なんて人による、入所してからだって人による。その中で、有象無象からジャニーズという生命が浮かび上がるかのような、なすがままだった男の子が能動的に動きだすような、舞台袖から走り出すまでの瞬間を描くような曲だと思った。開演5分前、過去を一瞬思い出して観客の前に飛び出すその瞬間を閉じ込めた。

5min.と繰り返す声、スタッフか観客だろうか。
操られる有象無象の人形たち。の中でパタッと動きが止まってしまう一体の人形。人形師の指示通りに動けないマリオネットは集団から外されてしまうかもしれないから、それを悟られないよう楽屋に逃げ込む。幼い頃ただガムシャラに居場所を繋ぎ止めていたころが一章。
次に動けなくなってしまったのは自分ではなく集団の他の誰か。誰も動かなかった頃ではなくなって、今度はそれに気付いた自分がパッと寄り添いに行く、指示を無視するようなものだ。でもこれは今度は自分で糸を切っている、つまり自我の自己の生まれる瞬間だなと思った。人形師ではなく自分の意思で床を踏む、その一歩。
ここまでずっと踊り続けること歌い続けることに疑問を持っている。いつまでこれを続けるのかと問いながら、夢をくれと他者に願ってる。最初は社長かなと思った。でもきっと二回目は加えて観客に対してかなと思う。
さて、Trick and great showである。Great showは文字通り素晴らしいショーを作ろうということに変わりないだろう。問題はTrickだ。J-POPのJをジャニーズに見立てたその答えがここにあるんじゃないだろうか。Trickなショー、これこそ佐藤勝利が立ち続けた帝劇、ジャニーズワールド、それはTrickなショーだった。最初から最後までジャニーズワールドの構成員であったからこその説得力。
幕が開き拍手が響く景色が脳裏に浮かぶ、悩んでもがいた先に見つける答えは「ここを楽しむ」にあるんだなと思った。あとは君が溺れてしまうだけは初めて生まれた舞台人としての目的というか舞台に立つ意味というか舞台に生きる意味に聞こえる。
そうして舞台人としての自己が確立する、自分の意思で踊り続ける歌い続ける走り続けると願いが生まれる。他者に夢をくれと願っていたけれど、それは自分の中に生まれ、与える存在となるのだ。

夢をくれと繰り返していたら、夢を与える今にたどり着いた。
すごく、すごくジャニーズを感じる。

「夢」

ジャニーズらしいワードだなと思うし、個人的にあまり勝利くんに対してこの言葉のイメージがなかったのだけど、改めてこう聴くとそれ以外ないだろうとも思える。ジャニーズとして生き続け、ジャニーズを継承していく。それを宣言した勝利くんにしか作れない歌。