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しゃべるピアノ

 どうしたの?

 ピアノの先生が心配そうな顔をしてこっちを見ている。僕はそれを全く聞かず、じっとピアノの方を見ているだけだ。

 僕は小学生天才作曲家といわれ、YouTubeでもその作曲の様子を配信していた。ただ、それは今横にいるこのピアノの先生が来るまでの話。

 僕は作曲する時にはピアノとお話をする。ピアノがしゃべってくれることをイメージすると、曲の最初から最後までがイメージとして頭に浮かぶ。その1つのイメージを端から辿って音を出すだけで曲が出来上がったんだ。

 ただ、いつからか僕はピアノと話ができなくなり、作曲ができなくなってしまった。理由は何となく分かっている。先生が話をする、ピアノの技術のこと、お金のこととかが邪魔をして作曲ができなくなったのだ。

 今も先生は隣で何かおしゃべりをしてるが、その話は聞かず、ピアノがまたしゃべりかけてくれるまで、待つことにしたいと思う。

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