金持ちジュリエット

「本当のお金持ちって、何をするのかしら？」
食事を口に運んで貰いながら、ジュリエットが小太りの侍女に尋ねた。

「そりゃ、この世のあらゆる高価な食べ物を食べ尽くすのですよ。」
「そんなことは遠の昔に終わりました。」

「それでは、世の中のあらゆる宝石を集めて、身につけるのでは。」
「それは子供の頃に飽きました。私はもっとお金だけではどうにもならないことをしたいのです。」

　ジュリエットは、耳打ちするように侍女に近寄った。
「燃えるような恋をして、男を私に夢中にさせることも終わってしまった。結婚もしているの。」

　侍女は驚きながら答えた。
「お金以上のことも手に入れて、それ以上のことってあるのでしょうか…」

「全然満足できない！もっと刺激的なことをしたいの。ここからは絶対に誰にも言わないと約束して。今、考えているのは、愛する男を殺すこと。でも、それだけでは物足りないわ。男が死ぬ姿を見届けてから、自分が死ぬことを経験してみたいの。」