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株式会社リストラ

”辞令・鈴木は事務3部へ異動
 尚、事務3部は、窓際で紙をシュレッダーにかける業務を行う。”

 くそぉ。やられた、完全にやられた。
 私、鈴木は「株式会社リストラ」から派遣された上級リストラーだ。社内の派閥Aに属する役員からの特命を受けてこの会社に派遣されている。その目的は、派閥Bに属する佐藤という社員をリストラし退社させることである。

 しかし、目的を達成する前に、やられた。恐らくだが、これは派閥Bに属する誰かが「株式会社ウィンドウサイド」に依頼して、私を窓際部署に異動させ、手が出せないよう策を講じているのだ。私をあっさり窓際に送るとはなかなかのスキルとみた。

 ただ、まだ死んだわけじゃない。山のような書類をシュレッダーに掛けながら、株式会社ウィンドウサイドからの刺客と目される人物を推測した。

 一番怪しいのは、あそこでお茶をこぼしているドジっ子メガネか?ああいうのが実は社内ネットワークを掌握している可能性が高いのだ。

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