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阿修羅像のひみつ 興福寺中金堂落慶記念 興福寺監修 朝日新聞出版(2018年8月発行)

本書は2009年に行われた阿修羅像のCTスキャナ撮影の結果を取りまとめたものです。数多くの研究者が9年間かけて取り組んだ研究結果が掲載されています。
構成としては全5章に分けられています。第2章だけは2節に分けられていますが、原則として章ごとに著者が変わります。

1章 X線CTスキャナによる阿修羅像の調査(奈良大学 今津節生)
2章 X線CT調査でわかったこと
  2-1X線CTスキャナが見通した天平の超絶技巧
                (九州国立博物館 楠井隆志)
  2-2本格化する文化財のCT調査(奈良大学 今津節生)
3章 阿修羅像に隠された三つの顔 懺悔と帰依の造形
                (愛知県立芸術大学 山崎隆之)
4章 阿修羅は合掌していた(仏師・仏像修理者 矢野健一郎)
5章 人工知能を使って心木の樹種特定に迫る
                (京都大学 杉山淳司・小林加代子)

読み物というより、各研究者の発表という書籍です。ただ、図版・写真が豊富であることと、監修がしっかりしているのか、各研究者間で重複するような記述が少なく読みやすくなっています。

珍しい話ではないのですが、個人的に阿修羅像が大好きで、でもまだ実物を見たことがないので、あれやこれやと想像しながら、読了しました。
とはいえ、先述したように各研究者の発表を取りまとめたものですから、興味の持てる部分をしっかり、そのほかはさらり、と読みましたけどね。

阿修羅ファンは手元においていただきたい一冊ですね。


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