「修行」という名の奇行
なんか弟子向けに変な小説書いてるみたいになってきてる。
読み続けた先に、きっとドラムに繋がる身体操作法とかが待ってるから我慢して読むように。
と言いたいですが、この変態チックな文章を読んだあとに、ドラムに繋がる凄い理論とかが待っているかどうかは僕自身にもわかりません。。
前回、いろんな奇行をやってたと書きましたが、この頃の僕は、身体操作というものに物凄く好奇心がはたらき、やってみたいと思ったことはなんでもやっていました。思い出せる範囲で今日はそれらを紹介してみます。
みなさんは、パルクールはご存知でしょうか?
確かヨーロッパあたりで発祥した、ストリートの壁や障害物なんかを飛び越えたりしながら駆け抜けるかなり激しいものです。
なんかのYouTube動画で初めてこれを観た僕は、「なんてすごい身体の使い方なんだ!」とその身体能力のポテンシャルの高さに驚きました。そしてなによりスポーティーで楽しそう。さらにお金がかからない、とくれば、「やるしかないやん」の一択でした。僕は休日の朝から近所の道路を走り回り、飛び越えたいと思ったものは何でも向かっていきました。
30歳こえた男がひとりで小学生みたいに走り回っている。時々ガードレールとか、お店の塀とか、金網なんかをよじ登ったり跳んだりしている。
どう考えてもおかしな人です。泥棒です。
また
木の枝を拾って手のひらに立てて、ひたすらバランスをとる、というのもやりました。
長さは2〜30センチ、適度な細さの木の棒を拾い、ひたすら手の上で棒を倒れないように立ててコントロールする。これもなんか太極拳の練習法とかのYouTubeで観て始めました。
この棒立ては、今では全然やりませんが、身体の作りや立ち方を理解するのにとても役に立ちました。「人が立つ」「歩く」ということを僕が人に伝える時には、よくこの棒立てを例え話にして伝えるようにしています。これについてはまた機会があれば書こう。
ともかく、一度棒の立て方が身についてしまえば、自転車に乗るみたいに、バランス感覚が働いてかなり長時間、棒を立て続けることができます。
公園とかで、木の棒を手のひらに立てて、長時間にわたり棒を見つめながらクネクネと動いてバランスをとろうとしている男。
これも周りから見れば明らかにおかしな人です。
あと、めちゃくちゃゆっくり歩くというのもやりました。一歩を、10〜20秒とか時間をかけて歩くんです。人が普通に歩いてる時には運動の慣性が働いて先に進むので安定して歩けます。しかし、このめちゃくちゃゆっくり歩法で歩くとまず安定はしません。
触り稽古の時に亀甲クラブの先生から「勢いを使わないように」とか毎回言われるんです。
運動の慣性や勢いを使って動くと、そのぶん余計な力が入ったり無駄な動きをしてしまう、身体の動きをごまかして間違えたまま動いてしまう、と。さらには、相手に力の方向や勢いが伝わってしまい、動きを読まれ負けてしまう、と。
太極拳とか意拳が、なんでゆっくり動いたり、ついには動きもせずじっとするだけなのだろうか?
これはまさにそれに対する回答なのです。
僕はそれをパッと見は動いていないくらいに、限界までゆっくり歩く、というふうに心がけました。
足音を立てないように、深夜の空き巣みたいに、そーっと、こっっそり歩く練習です。
絶対に近づきたくない人です。
また、スラックラインというものもやりました。
これは、トランポリンをものすごく細くして綱渡りと融合させたものです。
僕は全くの初心者でしたが、「これだ!俺にはこれが絶対に必要だ!」となぜか思いこみ、Amazonで結構高めのプロ大会使用モデルみたいなのを購入しました。
設置の仕方もわからないし、周りに教えてくれる人もいないのに。
スラックラインは、初めての人はまずラインに立つことすらできません。グラグラしてすぐに倒れます。しかし、何回もラインから落ちて、また登って、をひたすら孤独にやり続けました。
そのうち少しずつコツが掴めるようになり、うまく重心を足の裏からラインにしっかり乗せることができたら、歩いたり、方向転換したり、ラインに座ったり、ラインに飛び乗ったりジャンプしたり、いろいろできるようになりました。
スラックラインは、先ほどの「手のひら棒立て」の理論や「めちゃくちゃゆっくり歩き」の理論を身を持って体感できてかなり効果的な修行でした。要は、「バランスをとるためには余計な力が入っていたらいけない」この感覚の練習になるんです。
でも、スラックラインって、ある程度の大きさの木を2本見つけてラインを渡す必要があるんです。
となると人目につきやすい大きめの森林公園とかになり、1人でスラックラインやってると当時はマイナーだったもんだから遊びに来ている家族連れや散歩中の人達なんかに変な目で見られました。
そして、地味に設置もめんどくさい。木を保護するために布なんかを巻かなきゃいけないんです。布とかラインをカバンに入れて持ち運ぶのも正直だるい。。
なんかいい方法ないか。。。
そこでぼくは閃きました。
「細くて不安定なものなら何でもラインになるんじゃね??」
それに気づいた僕は、道路のガードレールとか、小学校の鉄棒とか、高さのある金網とか、いい感じのやつを見つけたらよじ登って、そこを綱渡りみたいにしてクネクネ歩くという簡易的かつ効率的なバランス修行を生み出したのです。
なるべく通行人とかがいないタイミングを見計らってコソコソと登り、クネクネと落ちないように歩く。そこへ通行人が現れたらそそくさと降りて「フッフーん」みたいな雰囲気で携帯をみたり頭を掻いたりしてやり過ごす。。。
そしてまた通行人が見えないところまで去っていったらまた塀に登ってクネクネ歩く。
完璧にあたまおかしい人ですよね。
おそらく近所で強盗殺人とかの事件があったならば、真っ先に僕が重要参考人に浮かび上がっていたでしょう。
というわけで、亀甲クラブという得体の知れない集団に通いながら、クラブがない日は家の近所で「修行」と題して変質者の極みみたいな行動をとっていました。
ここまで読んだ人ならみんな感じていると思います。
いったい、いつになったら弟子にドラム教えるんや、と。
今回はこれで終わりですが、最後に。
これら数々の奇行と、亀甲クラブでの触り合いの練習と、書籍で読み漁って学んだ知識が、いつのまにか結びついていき、僕の中で確固たる身体操作理論、そしてメンタル理論を確立していったのです。
次回から、いよいよ弟子たちに向けた本題に入ろうと思います。
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