見出し画像

うちの成人式のこと① 着物選び

ちょっと長くなるけれど、長女の成人式にまつわるあれこれを、忘れないうちに書いておこうと思う。

長女が生まれたのは、2002年2月22日。
生まれた産院の病室も202号室であった。

回診のときに院長先生が、「樺島さんを202号室にした人、だれ?センスあるじゃん!」とおっしゃったら、看護婦さんが「偶然なんです〜」と答えていたのを覚えている。

そんな2に愛された娘は、2022年の2月22日の今日、めでたく20歳を迎えることができた。
なんかホッとしちゃうよね。夕飯にシャンパン開けたわよ!

私には娘が生まれたときから、ある壮大な計画がありまして。
それは、成人式は盛大に祝ってやりたい!!というもの。

私は、自分の成人式に着物を着られなかったんだよね。
当時の我が家の経済事情により、着物を準備する余裕がとてもなかったから。
とはいえ、もしあのとき着物を買ってあげると言われても、私は結局スーツを選んでいたかもしれない。

でもね。
選んで着ないのと、選択肢がなくて着られなかったのは、結果が同じでも全然違う。
当時は「けっ、着物なんか別に着なくていーし」と割り切ってたつもりなんだけど、今でもときどきモヤーンと思い出す。ちょっぴり切ない思い出として。
なんかハタチの自分を抱き寄せて、背中をポンポンしてやりたくなる。
まあそんなわけで、娘にはどうしても選択肢を用意してあげたかったのよ。

で、まず始めたのが「ゴールド積立」。
娘が生まれた年から、少額ながら月々定額で金を買い、この20年ちまちまコツコツ貯めてきたわけ。
途中、入用で一部引き出しちゃったりしたけどさ(オイ!)、この前の高騰期にパーッと売っぱらって、無事に幾ばくかの益もGET!
(今また、さらなる金高騰になっているのはくやしいから見ないふり)

準備は万端!
さあ、好きな着物を選ぶが良い!

とはいえ、娘の進学先が決まってから動こうと思っていたら、浪人するし世界はコロナになっちゃうし。結局、19歳の8月から着物探しを始めるという、非常にスローでギリギリなスタートを切ってしまいました。

とりあえず、毎日ジャンジャン届くカタログを見て、好みのタイプを絞ろうぜ!
娘が20歳に近づくにつれて、どこで知ったのか着物のDMや電話がめちゃひんぱんに来るようになってたんだよね。しかも、カタログが美麗で有名人モデルばかりなの。紙も写真集みたいにいい紙だし、お金がとてもかかってる感じ。
なんか着物業界ってスゴイのな!

そして、着物ジャンルの奥深さにもびっくり。
今田美桜ちゃんや生田絵梨花ちゃん、浜辺美波ちゃんらが美しく着る正統派(高額)もあれば、みちょぱやにこるんが着こなすヤンチャなものも。
他にも大正モダンものとかゴスロリ風の個性的なものまで、今っていろんな需要があるのねえ。
加えて、それに帯や小物の取り合わせの楽しみもあるんでしょう?
やだ、着物っておもしろいかも!

カタログでリサーチした結果、娘いわく、どうせ着るなら変わり種じゃなくて、古式ゆかしい正統派なものが着たい。
そして、首の白いポワポワは絶対つけない!とのこと。

え、ポワポワだめ?
あのショールこそが、THE成人式って感じなのに。
「絶対やだ。あれダサいじゃん」
そうかなぁ。母は、ちょっとポワポワをポワポワしたかったんだけどな。

で、試着会に二度ほど足を運びました。
試着会とは、ホテルとかホールとか大きな会場に、何百着もの着物を一堂に集め、しこたま着比べができるというイベント。
受験とか就職の合同説明会とか、結婚式場のブライダルイベントなんかを思い起こさせる。

しかもさあ、行くだけでなぜか豪華なお土産がいただけてしまうのよ。
有名カフェのプリペイドカードとか、レストランお食事券とか、ブランド化粧品とか。
なんか本当に申し訳ないような素晴らしいイベントなのです。

当日はコロナ対策で少人数予約制でゆったりと。
娘は簡単にヘアメイクまでしてもらい、気に入った着物をバンバン羽織っていきます。
うちは3学年下の次女もいるため、彼女も引き連れて行ったところ、次女の方がノリノリでやはりバンバン羽織っていました。
母は、二人が気に入ったものがあれば多少高額になっても買いまひょという算段でした。

でも誤算だったのは、二人の趣味が合致しなかったこと。
お互い妥協して、これならまあいいかなというのはあるものの、気持ちよく絶対コレ!というものには出会えなかった。

考えあぐねて決定を保留にしたまま試着会を後にすると、長女が言った。
「ごめん。私、やっぱり着物いらないかも」

は? なんて!?

「思ったよりも着物にときめかなかった。今日はたくさん着られておもしろかったけど、もうこれでおなかいっぱい。せっかく色々考えてもらって悪いけど、着物にお金をかけるなら、私はいいスーツがほしい」

うーん、そうかぁ。
そうきたかぁ……。

次女はすっかり着物文化に魅了され、「着物っていいね。私は絶対、ポワポワ付きで着物が着たい!っていうか、着物を扱う仕事もしたいかも!」というほど目がハートになっていたんだけどね。

しばし茫然。
でもさ、私がしたかったのは着物を着せることじゃなくて、長女に選択肢を残すことだったはず。
着物という選択肢もあった中での、自分で決めたスーツ。
うん、それは同じスーツでも私の場合とは違う。
彼女のための成人式なんだから、彼女の希望を優先させよじゃないか。
ちと残念だけど。

着物からスーツに世界線変更了解。
でもさ、聞いてくれる?
母の成人式にまつわる思い出や、20年前から始まっていた成人式計画の全貌を長女に話しました。

「そっか。お母さんが私を大切に思って準備してくれてたことは、ちゃんと伝わったよ。ありがとう。でも、それわかった上で、やっぱり私はスーツを選ぶわ」

それ聞いて、なんか私は報われた気がしたんだよね。
きっと、私がしたかったのってそういうことだったんだと思う。
大事に思ってるんだよって伝えること。
お互い本音を言って、娘と素直な気持ちのやりとりができたことが、なんか本当に嬉しかったよ。

だ・が!
ときはすでに秋。
今からスーツに路線変更で、ときめくスーツに出会えるのか!?

→  続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?