【Dead Stock】約束(2020.2.22)

「当たらない天気予報ほど
苛立つものはないな」
そう呟いたあなたは チューナーを切り替える

「時刻は午前10時を回りました」
窓の外には大きな雨粒
窓の内側では大きなため息

約束はできないかな?
役たたずのシンガーはヘラヘラと歌う
やっぱり約束はできないだろうな
役不足のあなたは寂しげに呟いた

「わからない」を吐きあって
「わかりあう」をあなたは求めてた
結局「別れ」をちらつかす僕
だってわかりあえたら何が変わるんだろう

約束を反古にした
ろくでなしのシンガーは正直に話す
約束を反古にされた
臆病なあなたは優しくあろうとする

いつかすべての常識が壊れて
いつかすべてのルールが解き放たれて
僕の欲望が あなたの束縛が
正しくなればいいのにね

「時刻は午前11時を回りました」
窓の外には青が見え始めた
窓の内側には相変わらずの沈黙

「約束なら出来ないけど」と
三文役者のシンガーはぼそぼそ声で
でも「正直でありたいと思う」と呟く
そうではないのだ、
「約束ならしなくてもいいけど」と
君は役者みたいにいたずらっぽく笑い
でも誠実であれ、とのたまう

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