「海底悲歌」という映画の上映

2021年4月23日金曜日、大阪芸大卒業制作作品のR-18+映画「海底悲歌(ハイテイエレジー)がピンク映画の聖地とも言える上野オークラ劇場で上映が始まった。当日、大阪から堂ノ本敬太監督や出演者、スタッフなど堂ノ本組の面々が朝一番の上映を見に来られていた。

この映画は順調に上野オークラ劇場で上映されるに至ったものではない。それは監督のブログやいくつかの映画関係記事として載っている。

cinemarche.net
【堂ノ本敬太監督インタビュー】『海底悲歌』燃ゆる芥/川瀬陽太らとのピンク映画制作と上映中止を経て実感した“先輩”の想い
https://cinemarche.net/interview/haiteielegy-dounomotokeita/

そんなわけで、初回上映が無事終了したあとの劇場は大変な歓びに溢れていた。嬉しそうに語り合い、出演者がポスターにサインを書いたり、告知板を前に写真を撮ったりしていた。その後それぞれのツイッターやブログなどに無事上映できた喜び、久しぶりの再会の歓びを綴っていた。

堂ノ本監督のブログ
https://canary-elegy.hatenadiary.jp/entry/2021/04/25/201003


私はこの映画の出演者の一人である生田みくさんのファンで、彼女の出演する作品を少しでも早く見たいという少々不純な動機で、2月に行われた大阪芸大での上映会にお邪魔したことが、この映画と出会った最初だった。

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しかし普通のピンク映画と比べても全く遜色のない映画の完成度の高さに驚き、上映後、短い時間だったが監督と少し興奮しながらお話しさせていただくこともできた。そこでピンク映画では大御所ともいえる川瀬陽太さんを起用できた顛末、生田みくさんの浴衣が選ばれた経緯なども聞かせていただき、ますます作品に対する愛着が湧いた。

その後、唯一の学外上映で他の卒業制作作品が上映される中でこの映画だけが、ピンク映画だからという理由で上映を中止されたと聞き、とても残念だった。ならば若手映画監督のピンク映画フェスなどで上映される機会をもらえないものかと思ったが、その思いは大学の先生方をはじめとする関係者のほうがさらに強かったようで、著名な方々が動いたそうだ。その結果、上野オークラ劇場で普通のピンク映画4週間上映枠の一つとして上映されることになった。すべてのピンク映画の封切り館で掛かるというのはもちろん破格の評価であり、それを決めてくれた上野オークラ劇場の懐の深さも大変嬉しかった。以降、できるだけ多くの人に映画のことを知ってもらいたいとも思い、自分なりのツイートも行ってきた。そんな経緯があっての初回上映に関係者の皆さんが喜んでいるのを横から見ることができて、部外者ながら嬉しい気持ちを共有させていただいた。

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とにかく初日から高評価のツイートが上がり、劇場がリツイートしてくれたこともあって、この映画を見に行きたいというリツイートが多くあった。


ところが再び壁が立ちはだかった。当初の上映は4月23日(金)から5月20日(木)までの4週間だったが、2日ほど上映したあと4月25日(日)から新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で都の要請を受けて上野オークラ劇場が休館に入ってしまった。まったくこの映画は何と受難なことか。けれど今回は中止ではなく中断である。劇場の休館がが明ければ、きっと待ちかねた人たちがこの映画を楽しみ見に来るに違いない。

※6月12日追記

6月1日より無事に上野オークラ劇場での上映が再開された。しかも7月1日までという4週間を超えるロングランという高待遇である。
私も併映の作品を楽しみにしつつ、この作品を再び見に行くつもりである。

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