親友と死別した

（普段は趣味についての布教を書いてるんですけど、今回は殴り書きを以下にさせてください）

親友と死別した。思えばここ10年で一番仲のいい友人だったと思う。祖父母が4人とも今も元気で、死別というものに縁がなかったが、まさか友人との別れが先とは思わなかった。
高校で知り合い、大学を同じキャンパスで過ごし、大学時代はともにDTMをやったり、大学院時代は週3でポケモンバトルをやったり、社会人になってもわざわざ会いに行くためだけに仙台に行ったり、定期的に飲み会や旅行が開催されたり。雑に「今日家行っていい？」とLINEされた30分後に会ってたり。

死因は衝動的な自殺だってさ。確かに奴は悪酔いすると暴れる傾向にあった。自分も暴力を振るわれたこともあるし、通りすがりの観光客を殴って友人に迷惑をかけたこともあったらしい。その延長でムキになって死んでしまったのだろうか。そうなった日は大体次の日に後悔してたけど、そんな後悔もできなくなってしもうたな。
というか死ぬ前日にふるさと納税でうなぎ1.5kg買ったから一緒に食べようと言われてたのに。思い悩んで自殺する奴が前日にうなぎ1.5kgなんか買うかっつの。

まあ確かに奴の人生は大学時代からずっと高負荷高ストレスだったなあ。茨の道を自ら選び、大学では徹夜で製図は当たり前の世界。社会人になってもひたすら残業の世界。「頑張りたくない」の一点張りで逃げ回ってきた自分とは雲泥の差。
でも奴は休日にもマクドナルド自習室で仕事関係の勉強をするほどの努力家だったので、ブラックな環境はそんなに影響していないかもしれない。
どちらかというと親や教授、職場の先輩などの人間関係にことごとく恵まれなかったような。
父親がやらかしたせいで、大学生の後半は学費を予備校の個別指導講師をしながら自分で払っていたし、親が面倒的な話は2人の時によく聞いていたな。大学の研究室では教授にアカハラまがいのことをされてたようでそれもまたストレスの種に。社会人になっても、職場の先輩の呑気な振る舞いのしわ寄せを受けて、下請けと板挟みになって困っていたり。
葬儀の時、喪主は父親だったが、言葉を交わそうという気にはならんかったな。大学教授や職場から弔電が届いています、みたいなことを司会が言ったときはめちゃくちゃ腹立った。どの面下げて出しとるのか、奴がどれだけ苦しめられてたか知ってんのかと。

飲んで暴れたときだけこういった苦しい事情を伝えてくれたけど、普段はあまり相談してくれなかったな。多分したくなかったんだろう。何言っても「俺のことはいいから」って感じだった。せめてその場を盛り上げて笑いあって、ストレス発散に貢献出来ていたらよかったんだけど。
とは言っても暴れられると無理やり寝かす以外に対処ができなくてなかなか困ったんだけどね。
亡くなった日は彼女さんが電話で対応してくれていたみたいだけど、その場に誰かいればなあ。というか死ぬ気なら俺に連絡くれよ。ぶん殴って寝かせたから。
彼女も「婚約者」って言ってたくらいやのにな。来年の4月大阪戻ったら会える機会も少なそうだから東京にいるうちにいっぱい遊ぼうやって言ってたのに。なんかいきなり電話かかってきて「お前が人殺しても埋めに手伝ってやる」って言われたこともあったな。いやお前が死んどるやんけ。
俺がヘラってた時はよく励ましてくれたわ。俺のメンヘラなんて異常独身非モテのカスみたいな構ってちゃんなだけやのに。そっちの悩みをもっとオープンに聞かせてくれよ。ほんまに誰にも言ってなかったんだろうけど。

悩み抱えるタイプの友人を持っている人は注意してね。いつ爆発されるかわからないよ。まあ、抱えるタイプの人ってこっちが聞いても答えてくれないんだけどね。あんまりしつこく言っても嫌がられるしなあ。。どうすりゃいいの。
奴の悩みもあんまり対処法ないんよなあ。仕事の人間関係がカスだったのは間違いないけど、仕事には誇りを持ってて努力を惜しまなかったし、業界の頂点だったので他の会社/他の部署では同じ仕事は絶対できないという問題もあったんだな。友人にはしてやれることが無さ過ぎる。

最後に会ったのは死ぬ8日前に僕の家で二人で飲んだ時か。誕生日プレゼントにウイスキーを持ってきてくれて、それと近所の焼き鳥を買ってくだらない下ネタトーク（なぜかその会はいつもより下ネタが多かった）をしていたら、奴が酔って暴れそうだったので無理やり駅まで見送って帰したんだったな。んでその後1週間後にうなぎ1.5kg買った報告が来て、お互いの予定を確保して。んで次の日に死亡。その2日後に俺のもとに連絡。友人周りに連絡して、慌てて予定を確保してお通夜と葬式に出席。両方1時間程度で終了。一瞬すぎる。
ちばチャンドカ食いする約束は？岩手に行って花巻温泉とわんこそば食べに行く約束は？今年は高校時代のメンツ8人で飲みに行く約束は？結婚式で喃語ピコ太郎やるのは？
上げだしたらキリないな。奴とはやりたいことが多すぎて一生かかっても消化できないだろうとは思っていたけど、終わりが早すぎるよ。

奴も普段から親にいろいろ話してないだろうから連絡が来たのが遅かったのも何か悔しいというか腹立つというか。
この10年に関しては親族より自分の方が絶対に仲良かったわ。なんか葬式でワンワン泣けなかった理由そこかも。

しっかしまあ一夜で死ねるってのはすげえわな。自分も死にたいと思ったことは数多くあれど行動に移せたことなんてないわ。死ぬ勇気すらない下らん人間なので。あの暴れたバイオレンス状態ってのは躁状態といえるのかな。「じゃあ俺が死ねばええんか」みたいなことを言ってたと容易に想像できてしまうんよなあ。苦しくても走り続けられる奴のすごいとこか。
死んだ後のこと、少しでも考えが回ってくれたらなあ。憎しい人間にもそこまでのダメージにならない上に、喪主は親父で大学教授や職場から弔電。彼女もおいてけぼり。俺もおいてけぼり。これでええんか。

事実を人に連絡するのもきつかったけど、お通夜の時に死体見たのが一番きつかった。顔色は悪く、死に化粧をされている。今にも起き上がってくれねえかと期待できないほど。まあ起き上がってきたらここにいる友人一同でぶん殴るけど。
葬式の時はそこまで泣かずに済んだな。なんか酔ったテンションで「俺のために泣くのは違う。いやそれは違う。」って言われた気がしたのよ。
だから棺桶閉める前に触れたけど、げんこつしておいたわ。今までの感謝を伝えたら泣き出しそうで。霊柩車の見送りも一言「じゃあな」とだけ。また会えるよね。
さすがにこの辺つづってたら泣き出してきてしまったな。この辺で終わりにしようか。

「最高の友よ、今まで楽しい時間をありがとう」で締めくくってもいいんだけど、これだと泣いてしまうから（もう泣いてるけど）、葬式の日の約束として、怒りの言葉を述べて、泣かずに終わることにする。友人になってから今まで、奴に一番腹を立てている瞬間が今かもしれん。勝手に死にやがって。

バカタレが。一生許さん。忘れてやらん。

2023.09.13 おけーすり