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ラジオ投稿の"お直し"

いらっしゃいませ。まいど。
さて、ラジオ番組に投稿して、採用されて、放送されたのを聴いて、を何度か繰り返された方なら、おそらくお気付きになるでしょう。
自分の投稿と、パーソナリティーさんが読む原稿には、違いが有る。
これ、必ずしもとは言い切れません。
明かな誤字も含め、リスナー投稿は完全オリジナルを紹介してこそ価値が有る! の様なポリシーでやってられる番組も、日本のどこかには…在るかもですので。
で、違い具合には多い少ないもございます。
少ないほうですと、アタマからずーっと投稿オリジナルどおりに来て、最後の最後に、「~ですね」で終わってるその「ね」をカット。
(そんなもんもう言うてまえよ!)
中レベルでは、冒頭挨拶をカット、放送不適切語をちょいと変換、後は全てオリジナル、だったりですね。
で、多い、のレベルとなるともう果てしない。
もし投稿者が川内康範先生でもなら、やったことない川内ラリアットや康範ボムを繰り出して大暴れなさるだろう、オリジナルの片鱗が残ってはいる、なレベルの大改造までが有り得ます。
以上の様な変異を発生させる、作家さんなのかディレクターさんなのか、はたまたパーソナリティーさんご自身なのかによって行われる、リスナー投稿文の改造作業が"お直し"です。

では一例に、ある時の私の投稿文をご覧頂きましょう。
読みに詰まらんようにと()を付けた部位を含め、一文字たがわずオリジナルです。
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各位の皆様、イャオッ!

さて、今から30年弱前、警備員のバイトで訪れていた河内長野のセイユウ(西友/スーパー)での事です。
その勤務中、フと…強い気配とゆうか、オーラの様なものを感じたインチキスピリチュアラーな私の頭と、そこに付いとる目線は、傍らにそびえる4~5(しご)階建て立体駐車場の屋上にグリリンと持っていかれました。

「……気のせいか……むっ!?…」

屋上階の手すりに、小四(しょうよん)ぐらいの、おそらくアホではない顔つきのりりしい少年が現れ、スックと立ち、彼の正面の宙を、ただ、見据えるのでございます。
他に人影は、ありません。

これは…何もない何かを…見ているとでも?…

次の瞬間、突如、彼の大音声(だいおんじょう)が、晴天の河内長野の空に響き渡る事になります。
それは、ホイットニー・ヒューストンの、映画「ボディーガード」テーマ曲のあの曲でした。

「♪えんだああああああ~いやああああ~!!♪」

いったい何のために?…いや、よそう。
わろたし(笑ったし)。で、ちょっと以上に、感動したし。
私は君の歌を、少なくとも30年弱、忘れないだろう。
そしてお昼のラジオに投稿したり、するだろう。

RN:猫神 枯清 (ねこがみ かれきよ/51♂)
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続いて、まあまあ激しめのお直しを受けたのだろう原稿を元に、実際放送されたものを書き起こしたそれをご覧いただきましょう。
なお放送では、共演者のリアクションの影響や、読み手さんのリズムキープ的な必要でアドリブちょいお直し、てな事も有りましょうので、オリジナルからの変化の全てが原稿お直しによる結果、とは言えません。
共演者さんの発言は『』でくくっときます。では以下に。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _
続いて、
『はい!』
大阪市城東区は、猫神、枯清さんです。
『…ほ…へ…はいはい』
はい。さて、今から30年弱前、警備員のバイトで訪れていた地元のスーパーでの事です。と。
その勤務中、フと、強い気配、とゆうか、オーラの様なものを感じて、フッと上を見ると、4~5階建ての立体駐車場の屋上に、男の子が、立っていたんです。
『はあ』
気のせいか?…むっ?
屋上がいの手すりに、小四ぐらいの、おそらく、アホではない、うふっ、アホではない顔つきのりりしい少年が、スッ…
『あっはっはっ…そんなもん判るか! ビルの4階の柵のとこにおる子が、アホかアホでないかて顔で判るかい?』
強いオーラで判ったんでしょうね。
おそらくアホではない顔つきのりりしい少年がスックと立ち現れ、彼の正面の宙を、ただただ見据えているのでございます。
『はあ』
他に人影は、ありません。
『ふん』
あの少年は、なんも無い何かを見ているのか?
次の瞬間、突如、彼の大きな声が、晴天の空に響き渡る事になりました。
『はあっ』

♪えんだああああああ~いやああああ~!! アハハッ ハッ…

『なんやそれ!?』
それは、ホイットニー・ヒューストンの、映画「ボディーガード」の、テーマ曲の、あの曲やったんです。
『おおー! ほぉぉぉ…』
いったい何のために?…いや、もう考えるのはよそう。
わろたし。
『げへっへっ』
で、ちょっと、異常に感動したし。
『ぶひっ』
私は君の歌を、少なくとも30年弱、忘れないだろう。
そしてお昼のラジオに投稿したり、するだろう。
『ぶっひっひっひっ』
最後ちょっと、おセンチに終わっております。
『これ…ぶっはっはっはっ』
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ちなみに、「猫神 枯清」の元ネタは「犬神佐清(スケキヨ)」だろ、と指摘したパーソナリティーさんはもっかまだいませんな。では解説を。
(ここまでお付き合い頂けとるご覧のあなた、なかなかの数寄の方ですな!)
まず、
「各位の皆様、イャオッ!」この挨拶の1行がカット。
もっと長いおもんない挨拶文なんぼでも読んどるやろ!

「河内長野のセイユウ」こんなのもダメで→「地元のスーパー」。
地元ちゃうし! 近所をあんま「訪れる」言わんし。

「インチキスピリチュアラー」とか「グリリン」とかカット。
ここらがワシの味やぞ!

まず私が何もない所へ目線を持ってかれ、そこに少年が現れるんですが…もうええわそこは!

「立ち現れ」って、切って貼っての内にバグり日本語発生しとるやないか。

「大音声が、晴天の河内長野の空に」→「大きな声が、晴天の空に」
迫力削がれるのう~。

で、さて、この話のミソ中のミソは、謎の小四児のなんでやねん選曲なわけですが、ホイットニーの曲ですよと予告してから歌わせるオリジナルに対し、お直し版では、先に歌わせてからホイットニーの曲でしたよと後解説するカタチをとった。ここが最大改造ポイントです。
これはね~…スタジオ及び、高齢リスナーにはきっとマイナス改造でした。
若齢リスナーでもあかん。そんなもんポカ~ンとなる。
ズバリ世代でかつ、その内の三割ぐらいのシャキッとしてくれてる方しか鋭く反応できはせんぞ。

長く長く、何のかんの言いましたが、きほん私は、書く側でも聴く側でもお直し反対! です。
特に、書く側でならまだ、お直し版でも一周回ってオモロかったりもしますが、聴く側でなら純100%オリジナルしか望みませんな。




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