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【会計処理メモ】令和6年度税制改正 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の対象法人変更

昨年12月に令和6年度税制改正大綱が公表されました。

新NISAや住宅ローン減税など、個人所得税に関することは、多くの報道がなされていることかと思います。
その中でも、ひっそりと改正されている少額減価償却特例について、記していきます。

そもそも、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」とは、一定規模の企業等が10万以上30万円未満の減価償却資産を取得した際、耐用年数で減価償却することなくその取得価額全額を取得年度に損金算入できる(ただし、総額300万円/年度まで)、という制度です。

今回、一定規模の企業等の条件が従業員数500人以下から”300人以下“となり、令和8年3月31日まで延長、と改正されたのですが、詳しく調べてみると、どうも単純な人数減というわけではないようです。

これは、特例対象法人である「中小企業者等」が、「中小企業者」と「等」に分けて適用されており、「等」に該当する法人の一部が影響を受ける、というのが結論になります。

簡単に説明します。
ここでの「中小企業者」は、 普通法人で、資本金または出資金が1億円以下であることが適用条件です。
また、公益法人等の資本金の概念がない法人類型については、別の定めにより中小企業者とされています。
一方で、「等」に該当する法人は限定列挙されています。
全て記すのは省略しますが、主に農協や漁協といった協同組合です。

実は、今回の税制改正で対象法人から外れる法人というのは、法人税等の電子申告が義務付けられている法人です。
これまで農協等は、出資金1億円超であった場合、電子申告が義務付けられており、かつ中小企業者等という枠内で少額減価償却資産特例を適用できていました。
これが今回の改正により、適用除外となるわけです。

一番の懸念点は、資本金または出資金という概念のない公益法人等が「300人以下になるから、適用除外か…」と誤って考えてしまうことです。
公益法人等のうち、電子申告義務化の対象とされているのは、独立行政法人や全国健康保険協会などのごく限られた法人だけなのです。

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