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逮捕された新卒OLの罪(4,973文字)

割引あり

第5章 留置所の1日

朝は6時に起床。
とにかく今までの疲れがどっときたわたしは、いつのまにか寝ていた。
すると、
「起床!!!!!」と担当さんの大きな張りのある声と共に、電気が付いていく。

その声に続き、「おはよう」とあまり覇気のない声で言いながら部屋に近づく。
寝起きのまますぐに布団を畳む。
規則には、半分にして三つ折りだと昨晩言われていたが、掛け布団のみだったため、担当さんが「間違ってるし」と、ぶっきらぼうにそして、何とも意地悪な言い方をしてきた。

しかも歳も近いように見えるため、一層イラっといたが、そのなことを考えてもどうしよもない。

まだ、留置所に入って1日も経っていないのに、このままやっていけるのかが心配になった。
布団を置くと、持ち手を短めに切られた箒を担当さんから渡され、部屋の柵にかけられた雑巾を2個持って中に入る。

箒で部屋を掃き、ドアの前にゴミを固める。
一部屋づつ、「7号解錠!掃きだし!」とドアが開いたら廊下にゴミを掃き出し、そこを雑巾で拭く。

その後、畳を雑巾で拭いて、トイレを拭く。
掃除が終わると、洗面をし、運動と言われたが、留置所の運動は少し違う。
屋外で運動と言っても壁があり、屋根が少しだけ空いている場所でくしを借りて髪をとかすくらいしかできない。

運動が終わるととにかく暇だ。

何もない部屋で、とにかくぼけっとしているだけ。
時間が経つのが遅い。

そしてようやく昼食の時間となり、油たっぷりの揚げ物弁当だ。
昼食を食べると、担当さんから「066このあとお出かけ」言われた。

お出かけ?

意味がわからないまま、待っていると担当さんがわたしの牢屋まで迎えにきた。

また取り調べか。
そう直感で感じた。

準備をしたら鉄格子の入口で待っていると、担当さんに鍵を開けてもらい留置所の出入口まで連れていかれた。

そして、ボディチェックを念入りに行う。
外に連れ出されるときは毎回同じ厳重にチェックされるのだろう。わたしは少し憂鬱に感じた。ボディチェック一通り終えると、担当さんに「066」と呼ばれるので、わたしは反射的に「はい」と返事をした。

そして、担当さんが昨日試着したメタリックブルーの色をした極小手錠をもって構える。

手錠また嵌められるのか。
そう思っていると担当さんから「前に両手を出しなさい」と指示されて、咄嗟に両手を差し出す。

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