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筑紫桃太郎一座 花の三兄弟 『千之丞の日』 ②

『千之丞の日』 2019.7.28 @明生座

舞踊ショー

舞踊ショーはトップの組み舞踊から花道さん・勇翔さん・暁斗さん・千之丞さんという珍しい組み合わせでした。

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ミニショー のラストは見応え十分の『大忠臣蔵』を袴で踊られました。
梶川に止められながらも必死に吉良を打とうとする姿がとても印象的でした。

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女形は『歌麿』に『お梶』
もう眼福でした…千之丞さんの女形独特の存在を疑ってしまう不思議な空気
両曲とも女形の技巧と美しさが堪能できる舞踊でした
分かってらっしゃる…

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立ちのもう一曲はガラッと変わって男らしい『無法松の一生』

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ラストは三兄弟さんに勇翔さん・暁斗さんと『万里の河』
花道さんの衣裳と鬘を借りられて普段は見ることがない雰囲気のお拵えでしたがとてもお似合いでした

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もちろん三兄弟さんはじめ座員のみなさんの舞踊も見応えがあり楽しい構成でした!

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もし次回があるのであればみなさんとの相舞踊も観てみたいなぁなんて贅沢なことを思ったり…

終演後の挨拶

千之丞さんはどの劇団さんに出演されても簡単な挨拶以外、舞台上でお話しする姿を見ることはほとんどありませんでした。なのでこの日の終演後の挨拶は本当に貴重でした。役者さんの舞台やお芝居への思いというのはなかなか聞く機会がないものなので何一つ聞き漏らさないぞ!という気持ちで聞いていました。
ご本人から「千之丞の日」を開催するに至った経緯と一度はお断りしたものの、結果としてやってよかったと企画してくださった花道さんへの感謝の言葉がありました。
そしてせっかくやらせてもらえるのであれば…とお芝居のラストの演出を大幅に変えられたこと、また普段劇団さんではサンプラで鳴らしている拍子木の音を実際に打ってもらうようにしたことなどご自身のこだわりを話されました。
拍子木は博多家座長にお願いされたそうで、博多家座長もとても緊張したと仰っていました。ラストのあの刻みの拍子木、お芝居の雰囲気ととても合っていてよかったです!
また、その演出変更に文句も言わず付き合ってくれた三兄弟さんはじめ座員さんへの感謝、なにより好きなお芝居をプレゼントしてもらえたことが嬉しいと話されました。
千之丞さんが「お芝居が好き」と話されたことは素直に嬉しかったです。やはりお芝居に考えや思いがある方の演技は観ていてもおもしろいですし、芝居好きとしては「芝居が好きです」という言葉を役者さんの口から聞けることが幸福の一つなんです。さらに「演出家になりたかった」という言葉には驚きました。
千之丞さんのお芝居は役の描き方はもちろん、お芝居全体を見たときのその役の役割・立ち位置みたいなものをすごく果たしておられるなぁと思っていたので、この言葉からお芝居全体を俯瞰で見る目をお持ちなんだろうなぁと妙に納得してしまいました。そして千之丞さん演出のお芝居をまた観てみたいなぁと思いました。
一観客が勝手に予想するだけでもやはりフリーの役者さんはゲスト先の劇団さんのお芝居の方法に合わせて役割を理解し演じることがとても大切な立場だなぁと思います。関係性の深さやその役者さんの性格もあると思いますが、なかなか自分の好きなように好きな役をやるという機会は少ないうえに、劇団さんとしてのバランスもあるのでこのような機会はなかなかありません。
頻繁には難しくともお芝居自体が増えること、同じお芝居でも演出方法が増えること、また役が変わることで役者さんと新たな役との出会いを観られることなど…劇団さんや役者さんにとってもいい点はたくさんあるのではないかなぁと思うので是非またやっていただきたい!
三兄弟さんに初めてご出演されてから2年と8ヶ月。素敵な舞台を実現させてくださった劇団の皆さんとご自身の考えを舞台に乗せてくれた千之丞さんにひたすら感謝の一日でした。

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