見出し画像

Case.7 オンライン化っていうけれど

今回も新型コロナウィルスに発端した話題である。

幸か不幸か、このウィルスは様々な影響を社会にもたらしている。

そういう意味で、これまでの仕組みや制度、方法等では考えられなかった視点での対応や対策が必要になってきている。

我々の業界で言うならば「オンライン化」が大きく取り上げられている。

会議や打ち合わせが対面での機会が減り、講座やセミナーもどんどん中止や延期に伴うオンラン化が進んでいる。

社会的にオンライン化の波が進んでいるが、これまでと違うのは戦略に基づいた対応ではないことである。

止むを得ない状況が前提としてあって、オンライン化に流れているの方が正確ではないだろうか。

ここから見えてくることは、戦略として充分に検討されていない状態でオンライン化が進んでいるということである。

今回生まれた可能性を活かすために、オンラインの特徴を考察した。

リアルとオンラインは同じではない

まず一点強調したいのは「リアルとオンラインは同じではない」ということだ。

これは当然のように理解いただけると思う。

だとするならば「同じ方法ややり方では同じ効果は得られない」ということである。

リアルにはリアルの特徴があって、リアルに合った方法があって、リアルだからこそ得られる効果がある。

逆にオンラインにもオンラインの特徴があって、オンラインに合った方法があって、オンラインだからこそ得られる効果がある。

リアルでやっていた同じやり方や同じ方法をオンラインに引き直しただけでは、同じ効果は得られないし、さらに言うならば

オンライン = リアルの劣化版

にもなりかねないということである。

オンライン化に向けてはオンラインの特徴を理解して、オンラインに合った方法を模索する必要がある。

オンラインの特徴

では、オンラインの特徴とは何なのか。

様々な特徴があるが、その根幹を担うものが「個人の領域が増えること」であると考えている。

リアルと違って場や空間、雰囲気を共有しないので、個人の裁量や空間的要素が大きくなる。

その結果何が起こるのか。いくつかをご紹介したい。

まずは、情報伝達において「ノンバーバルからバーバル」に傾倒する。

リアルであれば、場の空気を感じ取ったり、距離感や間を読んだり言葉で表せない情報が多いが、オンラインとなるとそれらの情報はほとんどなくなる。

それに付随してアプローチが「体験ベースから知識ベース」に変化が生まれる。

場や空間を共有できると、体験を読み解くことができるが、リアルタイムでの情報が共有できないと知識として理論的に説明できることに軸足を置かざるを得ない。

そのため進め方は「参加者中心から資料中心」になる。

そして、講座やワークショップのデザイン時点での焦点は「環境から仕組み」に移行する。

リアルタイムでの変化を共有しづらいので、進め方は変化の少ない資料やコンテンツに依存することになり、その結果として「どういう場をつくるか」よりも「いかに準備の精度を高めるか」の重要度が上がるのだ。

また、実施した場合に訪れる限界についても異なる。

リアルの場合はキャパシティや設備など会場に関わる要素が最大の制約となるが、オンラインの場合は参加時間の融通が効くものの、融通が効くが故にタイミングや所要時間など時間に関わる要素が最大の制約になる。

これが大きな特徴である。オンライン化に際しては、個人の裁量をどう捉えるか、そしてどうアプローチするかが焦点となる。

オンライン化を活かす

ポイントは、リアルとオンラインはそもそもアプローチの方向性が違うということだ。

特徴も違えば、狙いや方向性も違う。

目標設定や手段選択含め、デザインの根幹に関わる差異なのだ。

オンライン化するためには、オンライン化するためのデザインが必要である。

ここでお伝えしたいのは「この機会にオンラインのためのワークショップデザインをつくりあげる」という提案である。

逆にいうならば、現在リアルでやっていることをできるだけオンラインで再現するという方向では、オンラインの良さが活かされない。

リアルだからできることがあって、オンラインだからできることがある。

対処法的なオンライン化ではなく、戦略的なオンライン化を構築する。

それができれば、事態が終息し、オンラインの需要が今ほどなくなった後でも、リアルとオンラインの使い分けができる状態になっているだろう。

このオンライン化の波は、その最初の一歩になりうるのだ。

まとめ

今回は、急激に需要が生じているオンライン化について考察した。

リアルとオンラインについての差もお伝えさせていただいた。

現在オンライン化が進んでいる。

社会的状態を考えると、オンライン化は事態の収束に対して効果的だと思われる手段の1つだと思われるし、社会情勢を背景にオンライン化しやすい環境も整ってきている。

このオンライン化の波は活かせばよいのだ。

ただ安易なオンライン化には、一考を促したい。

知るべき知識と考察によって、オンライン化と自分自身の心地よいの関係性を見つけ出してもらいたい。

それがこの事態が終わったとき、新しい可能性を開く手助けになるに違いない。

To Be Continue...


和△1金◻︎3◻︎3D30/4w5/INTP/秘密兵器。ワークデザイナー。高校時代に出会った料理人の影響で料理の道へ。「素材を活かす」料理の考え方は人材にも通ずると信じ、その人が持ち味を“思い出す”自己変容を描くセッションや研修を実施中。