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Case.6 今、何を発信するべきか

連日新型ウィルスに関しての報道がある。

SNSが発達した現在、情報を得やすくなった反面、本当の情報や情報の正誤が判断しにくくなっている。

情報を得やすくなったことが返って複雑性を上げ、判断を鈍らせている。

情報取得から情報の取捨選択の能力が問われる時代になった。

と同時に発信する側にも変化が求められている。

これまでも情報の波に埋もれたり、発信したことが届けたい人に届かなかったりといった観点から発信の仕方を語られることはあった。これらはどちらかと言うとマーケティングからの視点だった。

ところが情報が社会に溢れていることに反して、1つの情報発信に対しての責任は重くなってきているように思う。

1つの情報に対してその根拠やソース、エビデンス等が求められるようになってきている。

迅速な情報発信と正確な情報発信を考えたときに、我々は何を発信するべきなのか。この情報が氾濫する社会とどう向き合っていくのか。

人はなぜ発信するのか

人はなぜ発信するのか。

同志社大学の太田肇教授はその書籍の中で「承認欲求」との視点で1つの可能性を述べられている。

SNS等の個人メディアを原因とした炎上騒ぎ。

人に認められたい欲求が過度の発信を生み、その結果個人や会社の責任問題にまで発展した。

書籍の中では、その原因にある人の「承認欲求」を説かれている。

もちろん、情報発信をする理由は承認欲求だけではない。情報発信の多くは善意であることだと思う。

しかしながらここで考えたいのは、情報を発信する以上、誰も「聞いて欲しくない情報」は発信しないということだ。

善意であれ悪意であれ「誰かに聞いてほしい」という想いで情報発信をする以上、それが承認欲求に少なからずつながるということである。

善意という情報のノイズ

レクリエーションのスキルで「騒がしい集団を静かにする」というのがある。

テクニックとしてはいろいろあるが、その中の1つに「小さい声で話す」がある。

小さい声で話すとよく聞き取れないので、それを聞くために徐々に静かになっていく、集団の性質というか人間の特性というかを利用した方法だ。

そして「大声で注意する」は悪手とされる。

注意する大きな声が逆に、騒がしさを助長させてしまうからだ。

マスメディアやSNS等の個人メディア含め、情報発信の現場ではこれと同じことが起こっていると思う。

情報が氾濫しすぎて、正しい情報ですらノイズになっているのだ。

正しい(と思っている)情報を発信することは、善意で行われているだろう。それは否定されるものではない。

ただ、善意であるが故に引けないのだ。発信を止められないのだ。

「正しい情報を届けなければ」との想いが、情報の上塗りや過剰な情報量の発信を生んでしまう。

その結果が、水掛け論や炎上騒ぎになるのは、周知の通りである。

今、何を発信するべきか

では、翻って今、我々は何を発信するべきか。

情報発信をすることが、水掛け論や炎上騒ぎ、ノイズを増やす片棒を担いでいるのかもしれない。と思うと、情報発信はできなくなる。

沈黙は金なり。

ただ、そうなると「情報」と言われるものに価値がなくなり、「何を」発信するかにも意味がなくなる。そう現在の情報が氾濫した状態は、この状態に極めて近いのではないかと思う。

だとするならば、情報発信を生業の一部としている我々が留意するべきことは、「何を」発信するかよりも「どのように」発信するかではないか。

発信する情報の「内容」よりも、発信する「プロセス」を大切にする。

それには、情報のリソースや入手経路、発信の意図なども含まれるだろう。

情報も「生もの」である。

時間が経てば、新しいものに入れ替わったり、過去の情報とは異なったりする場面は発生しうる。

そうなったときに、ただただ情報をモノとしてポイントポイントで投げ続けるのではなく、情報伝達のフローの中で追加と修正ができるような情報発信を心がけたい。

責任ある情報発信とは、発信される内容に責任を持つということではなく、情報が伝達される過程に責任を持つということではないだろうか。

流れとともに情報を発信し、流れとともに情報を得ていく。

それがこの複雑性の時代、情報過多の時代の中での、情報との付き合い方なのではないだろうか。

まとめ

今回は、日に日に更新され、錯綜する情報伝達をヒントに、情報発信の在り方について考察させていただいた。

情報には溢れていると言われている現代だが、このような時代が進歩と発展によって生まれたのもまた真実である。

であるならば、新しい情報との向き合い方へシフトすることが、今の時代のちょうどいい情報との付き合い方なのではないだろうか。

情報取得。情報発信。

情報を得る方も、情報を伝える方も自分の身の丈にあった「情報」と付き合いたいものである。

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和△1金◻︎3◻︎3D30/4w5/INTP/秘密兵器。ワークデザイナー。高校時代に出会った料理人の影響で料理の道へ。「素材を活かす」料理の考え方は人材にも通ずると信じ、その人が持ち味を“思い出す”自己変容を描くセッションや研修を実施中。