空気をゴムマリで考えてみる

 全然関係ないですけど、「スッパ抜く」っていう言葉あるじゃないですか。

 改めて考えると、変な言葉ですよね。子供の頃は、酸っぱいものが嫌いでそれを抜く事かと思って、

「お寿司をスッパ抜いて」

とか言っていました。それただお刺身が乗ったご飯やんけ。。。

 「スッパ」の語源については調べてみたので、また次回お話しします。

 さて、ベルヌーイの定理の続きです。前回の記事は、

で、重力を無視したベルヌーイの式

(静圧)+(動圧)=(全圧)

で、流体が衝突するよどみ点が「全圧」を受けるというが、

そもそも全圧とは何のことを言っているのか?

という疑問についてです。

 ここでもう一つ、流体力学についてのもっと基本的な原理を考える必要があります。それは、「パスカルの原理」です。

  パスカルの原理とは、ある変形する容器に密閉された流体の圧力は、その領域内全ての点で等しいというものです。

 これは「流体が静止した場合」を考えているものですが。これをこう考えてみたらどうでしょうか(下図)。

画像1

[図1] パスカルの原理は運動する流体では静圧について成り立つ

 流体の流れは、流体を構成する粒子の集まりが、その系の重心の移動を伴う運動と考えられます。その重心の座標系と共に移動して見るわけです(図1)。

 すると、その座標系の中では重心は静止しています。つまり、そこでは動圧は見えません。ということは、その中で発生している静圧について、パスカルの原理が説明できます。

 丁度ゴムマリのようなものを想像していただくと、はっきりイメージできると思います(図2)。


画像2

[図2] ゴムマリのイメージ

 ゴムマリは、中の空気の圧力で膨れていて、これが「静圧」に相当します。ゴムマリが飛んで行く運動エネルギーが「動圧」に相当します。

 そして、飛んできたゴムマリが壁に衝突すると、ゴムマリがつぶれて内圧が増加します。つまり、内圧と運動エネルギーの全てが、壁に及ぼす力に変換されます。

 ゴムマリの場合は、「ゴム」という弾性体が外側にあるので、運動エネルギーがそのまま力に変換されています。しかし流体の場合は、衝突する「よどみ点」で速度がゼロとなります。

 ベルヌーイの定理より、流速がゼロとなると、動圧が全て静圧に変換されて、結果的に全圧が壁に圧力を及ぼします。これが、よどみ点で全圧を受けるイメージです。

 我々が身体に受ける「風圧」も、「大気圧」と「空気の運動エネルギー」の合計ということになります。空気が静止している時は、大気圧のみとなります。ただ、大気圧は常時かかっているため、あまり直接実感することはありませんが。

 しかしこのゴムマリのイメージでは、ベルヌーイの定理で、逆に

何故流速が増すと、静圧が減るのか?

が説明できません。これを次回、考察していきたいと思います。

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