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恋愛フィルタリング主義

 私の学生時代の友人に、合理的な恋愛観を持つ男がいた。彼はある日、

「恋愛においてベストな相手を見つけるためには、偶然の出会いを待つだけでは候補者が少なすぎるから、積極的に出会いを作るべきである。
 しかし、むやみと出会っていても効率が悪いので、何らかのフィルタリングをかける必要がある。
 自分が女性に求める条件は、大きく外見と内面に分かれるが、内面はじっくり話してみないと分からないから、フィルタリングは外見でいく。
 したがって、当面は合コン(*)を頻繁に開催して、できる限り多くの、好みのルックスをもつ女性と親しくなることを目標とする!」

と高らかに宣言した。

(*)編集部注:「合同コンパ」の略。出会いを求める男女数人が集まって行われるコンパ(飲み会)。単にコンパとも(コトバンクより)。

 ところで、2005年末のレミオロメンの大ヒット曲「粉雪」では、「1億人から君を見つけた」と歌われている。おそらく、すべての日本人を、老若男女、外見・内面の如何を問わず、恋愛の第一次候補者としている。私の友人の宣言を踏まえれば、「粉雪」の主人公は、かなりの博愛主義者と言えそうだ。いや、もしかすると、パンセクシュアリティ(Pansexuality)を全日本人に対して表明したことになるのかも知れない。

 さて、現在の世界人口は78億7500万人だそうだ(国際連合人口基金(UNFPA)2021年4月14日発表)。

 このコンテンツの読者の皆様は、生まれてからこれまでに、78億7500万人のうちの何人を恋愛の第一次候補者と認識し、そのうち何人と親しくなっただろうか。

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