【国語世論24】(5) 読書はまだ価値が認められていて,書店での購入多し
前回の続きです。
さて不読率の話もだいたい片付いたので,他のデータもみてましょう。
なぜ読書が減っているのか,その理由
この前段階で
という質問があり,「減っている」が69.1%でした。これはそれほど驚きません。
興味深いのは,「減っている」と回答した人に,以下のように追加質問していることです。
その結果が以下です。
2つの意味で興味深かったです。
1つは,第一位が「情報機器(携帯電話,スマートフォン等)で時間が取られる」(43.6%) だったということ。おそらくSNSなどの利用時間が増えて,読書が減る……ということだと思うのですが,最近私が見たデータ(またここでも紹介したいですが)では,SNS利用時間と読書時間に負の相関はなかったのです。そのため,ちょっと意外でした。
もう1つは「読書の必要性を感じない(8.5%)」「魅力的な本が減っている(7.7%)」が,(猪原が)思ったよりも割合が低かったこと。これはまぁ,2つしか回答できないという回答上の制約のせいかもしれませんが,巷の人はまだそれほど読書にも本にも絶望していないのかな,と思いました。
「書店で実際に手に取って選ぶ」が5割台後半
あと,今度自分が本を出す関係で気になったのは,
です。結果が以下です。
正直,本を読む人のうち,57.9%もの人が本屋さんで本を見つけているとは思っていませんでした。「インターネットの情報を利用して選ぶ」が33.4%というのも,少なく感じました。
以前,授業で学生さんに本の入手方法を聞いてみたときに,意外と「本屋」という回答が多く,私が「でも今本屋どんどん無くなってるじゃん?」と聞き返すと,訳が分からないという顔で「駅の本屋に行きます」と複数の人が答えてくれたのを思い出しました。
地方ではこうはいかないと思いますが,都市圏ではこれが実態なのだなぁと思いました(神奈川・相模原にある北里大学での話です)。
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最後まで読んでくださり,ありがとうございました。
ふう,全5回にもなるとはな。でも自分でも内容が整理できて,勉強になりました。
次回からは【Kim06】に戻ります。
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