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【深い社会】12 本の発明が「網羅」を加速させた

本とは何か、という問題は非常にユニークな問題です。
アレクサンドリア図書館の本は、材質はパピルスでした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%94%E3%83%AB%E3%82%B9
繊維が固く、癖があるので、巻物の形でした。
人々は、二本の棒を巻物の中央に差し込み、コロコロ転がしながら読みました。
この「スクロール」という習慣は、現代のスマートフォンの操作につながっています。

そこに現れたのが羊皮紙。
羊の皮を薄くなめして作られました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8A%E7%9A%AE%E7%B4%99
ある程度耐水性があるので、重宝されたようです。
大きい羊の皮を半分に折り、半分に折り、半分に折り・・・
ひもで閉じて背を付けたら、「冊子」の出来上がり。
この冊子本に修道士たちが古代の知識を書写していきました。
中には美術的なこだわりも生まれたよう。

中国から、紙の技術が伝えられ、
グーテンベルグが印刷機を発明すると、紙による冊子「本」が爆発的に広がっていきます。
グーテンベルグはもともと金細工師だったので、金属で活字を作り、組み替えて印刷しました。
最初に作ったのが聖書だったのも、広まった原因かも。

大きな紙に活版印刷します。
半分に折り、半分に折り・・・販売。
あれ、ページがくっついている。
そう、購入者は自らナイフで切り離さなければなりませんでした。
今でこそペーパーナイフは封筒を切るときにしか使われませんでしたが、
本来は、読書しながら本のページを切るために作られたのです。

こうして生まれた本が世界に広がり、教育が届かなかった人たちにも
知識が伝えられるようになりました。
ダ・ヴィンチもその一人です。
ダ・ヴィンチのメモの中にたびたび図書リストがあります。
https://davincist.com/book-reading-genius/

見てみると、アリストテレスや、プリニウス、聖書、軍事書、数学書、様々なジャンルの本を読んでいたことが分かります。
オカルトな本もあるのは、後年、錬金術に取り組んでいたからか。
錬金術で何かを作り出すためというより、錬金術がどれだけ怪しい術なのかを証明するために研究していた模様です。
まさしく自学の祖、という感じ。

このように本が発明され、知識がどんどん動くようになると、
知識を網羅する動きが加速します。
それが博物学。
最初はどこの国でも植物の網羅から始まっています。
ありとあらゆる植物を採集し、記録します。おそらく、薬草の薬効を記録するためだと思います。
発展して、動物や、文化財など、ありとあらゆるものを収集する文化が広がっていきました。

さらに、網羅するだけでなくこれまでなかった新しい知識が生まれてきます。
新しい知識がどんどん生まれてくると、それすら網羅し
どうにか整理しようとする動きが生まれてきます。

私は大きく3つあると思っています。

1つ目が図書館。アレクサンドリアからつながる本の収蔵文化は、
キリスト教修道院が受け継ぎ、さらに財力のある貴族を中心に広がっていきました。

2つ目が、教育施設。学校。
効率よく教えるためには、雑多な知識を整理し、学問の系統を作る必要があります。

そして、もう1つが・・・

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