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【時事】そごう・西武のストライキを見て【備忘録】

 セブン&アイ・ホールディングスが傘下の百貨店そごう・西武を米投資ファンドへ売却するにあたって、雇用維持が不透明だということで従業員の労働組合がストライキを実施した。61年ぶりの大手百貨店ストライキということで、注目されているようだ。ストライキまでの流れや背景については、8月31日のTBS news23の解説が分かりやすかった。(上の映像)

 映像中で専修大学教授 (元共同通信) の澤康臣さんが 「ストライキというものがあるということが世の中に知ってもらえたということはすごく大きなことだと思う」 と言っていた。労働者側が権力に対して声を上げるという(ある種当たり前の)権利を持っているということが示されたという意味で考えると、結果として労使間の溝は埋まらなかったが、やったこと自体にも一定の意味はあるのかなと思った。

 通り過ぎる人たちのインタビューなどを見ても、意外と嫌悪感やアレルギー反応などがないように見えた。沖縄の反基地運動に対する反応とはだいぶ違うなと感じる部分だった。

日本経済新聞の記事(8月31日)

 今回のストライキの社会的な側面については、8月31日の日経新聞でも触れられていたが、正直、気になる部分は多かった。まずは、日本の労組が闘わないと書かれているが、それは連合が闘っていないだけでは?という気がすること。あと、健全な労組の存在が生産性を高めるという視点も、なんだか資本主義的というか、経営者目線で気になった。労組は企業のためにあるのでなく労働者のためにあるのであって、基本的に企業と労働者の利益は相反することが前提に組み込まれていない点で、まあ日経っぽい記事だなと思った。記事の最後に書かれている「健全な労組の存在」とはいったい何なのか、考えさせられる。

 それにしても、そごう・西武労組は、連合傘下のUAゼンセンに加盟する単位組織組合のはず。連合傘下でストライキをやるのはなんだか珍しい気がした。ちなみに日本の労働組合については以下の図を参照。

 基本的に連合は労使協調路線で、ほとんど組合と経営とのなれ合いになってしまっているし、そういうところが「ボス交渉」と批判される部分だった。組合員みんなで闘うのではなく、組合の長が経営者とボス同士で交渉し、組合のボスは会社の経営幹部に取り立てられ出世する…というような形だ。

 まあ、連合そのものと、連合に加盟してる単組では色々と違いがあるのだろう。最近は連合の大会でも単組から「闘わないのか」という突き上げが出てるらしい。今回のような場合、顧客は他の店に流れるため自分の首を絞めることにもなるから、同じ業種の労組が連帯してストライキをやるなどがしたらより効果的だったんじゃないかなと思う。本来はそれこそがナショナル・センターの役割だと思うが… 日本労働界のナショナルセンターは複数あるので難しいのかもしれない。

 今回のスト実施に対しては、一応、他のナショナルセンターやその加盟労組、ナショナルセンターに加盟していない労働組合からも支持の声明などは上がっていたみたいだが、連合を含め、支持表明をするだけで一緒に闘う気がないみたいだったのは気になった。

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