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minori’s theater ~CRAZY MANSION!!~ 5人回感想

minori’s theater ~CRAZY MANSION!!~とは、2018年3月10日から4月1日まで行われていた、茅原実里座長による朗読劇のことである。

感想をTwitterに垂れ流してはいたが、Privatterやfusetterなどに投稿していたりしていたので、自分のための備忘録としてこちらにも同様の文章を置いておくこととする。
また是非ともあの5人で朗読劇をやってもらいたいものだ。
なお、未観劇の方には非常にわかりにくい文章である。あしからず。


女の子同士の名字呼び捨てな関係性が好き。浅見と沙村の扱いが好きだと思うのはそういう理由かも。

5人回。
3人回を見た人間からすると、まあこうなるな!という展開でニヤニヤ。逆に言えば今回から見た人にとってはどう思うかな?
3人回で大活躍をしていたサユの出番は減るんだと思ってたけど、そんなことはなかった!実は裏主人公といっても過言ではない感じ?
「馬鹿じゃないもん!!」の言い方、堪んない。馬鹿の食べ物ってワード、好きなんだよ。
初見は台本がかなり正統派に感じられて、3人回の混沌を見てきた身としては正直物足りなさもあったけど、人数が多いとアドリブの質や種類も変わるものだと実感させられたので、気がついたら物足りなさはどこかへ消えていた。
梧桐さんの脚本は登場人物が多い方がスピード感が出て、魅力が更に増すのかもしれないね。

5人回で初登場する浅見と沙村は癖が強くて最初はちょっと驚くけど、後半には愛着がしっかり湧いてきちゃうから不思議。
個人的には冒頭のシーン、サユの高音、浅見の中音、沙村の低音で声のバランスが滅茶苦茶良くって聴覚の緩急が絶妙。
サムラマートのポーズ、だっせえけど似合うんだよなあ。あの言い方といい、あやひは舞台で演じる機会も多いひとだから魅せ方が上手い。アドリブなしでもキャラ幅を広げることのできる人なんだと驚いた。
特に山手線ゲーム中、仲間はずれな沙村が椅子に座り始めたシーン。わたしは初演で普通に椅子を持ってきて座っていた沙村に対して、絶対ごろごろ〜!って乗りながらやってきたら面白いのに!と思っていた。そうしたら2回目以降はまさに理想としていた演出で登場したのを見て、ちょっと興奮を隠しきれなかった。
姫ちゃんの衣装のかけ方に対してスタッフに提案をする姿勢も含めて、あやひって観客視点をよくわかってくれているひとなんだ!って感激。
ベスト沙村はサユと浅見に猫を馬鹿にされたときと、ヒヨリに馬鹿にされたときの反応がちょっと違うところ。沙村の人間らしい部分が垣間見えて嬉しかった。美術教室に通おうとしたり、浅見を雇ってあげようとするところも実はとっても人間味あふれるよね。

一方のアスミスも、あやひ同様はじめて拝見する方のおひとりで。イメージとしては「みんなだいすきアスミス」。
一通り5人回とカーテンコールも含めて見て、みんなに愛される理由をはっきり感じ取る。それはどことなく隙がある感じ。良い意味の隙。どこかにゆるやかな穏やかさをもち、何があっても最後に全てを丸く収めるような感じ。
浅見もそうだった。クズなのに意外とありのままの状態で困難を乗り越えたり、結局みんなとちゃんと打ち解けるやわらかさがあったり。流石にアスミスが浅見に似てるとは全く思わないけれど、なにかとなにかの良いものを繋いだり、悪いものをほどいたりしてくれるような…そんな印象。
沙村は4人回で更に好きになっちゃう要素があったから、もっと浅見を好きになるにはもう1作品ないと駄目だと思う。だから幻の4作目(凛、ヒヨリ、サユ、浅見)をなんとしても見たいんだ…。

山手線ゲームのくだり。
最初のお題が「好きな演奏者」は流石にクセが強すぎると思ったけど、あれがユーフォに繋げるための伏線だったとは。ちょっと一本取られた感じ。あそこが台本っていうのが、小賢しくていいですね。
初演でのひよっちアドリブ「お前(アスミス)が京アニにパイプ持ってねえからだろ!!!」が最高に面白かったのに、2回目以降やってくれないから是非名古屋で見たいところ。
ユーフォや金沢のアニメイベントの部分などで客層に寄せてる台本かと思えば、山手線ゲームでの台本箇所のKANと楠瀬誠志郎。これは狂気の沙汰すぎる!(癖が強くて好きだけど)
2回目以降のアドリブでは谷山紀章、小野大輔、杉田智和が出てきたり、みのりんが似てない物真似をやり始めたり…やりたい放題だったね。好き放題遊んでて楽しそうだった。
3人回で言及された「4人回、5人回では昭和なネタが多くなる」という言葉の真意を悟る箇所でしたな。

そんなコントみたいな時間の直後の、ヒヨリの180度違う声色はぞっとして最高。あそこは笑うシーンじゃなくて、息を呑むシーンだと思うんだよな。個人的な見解だけど。
ずっと5人が並んでいるシーン(沙村は椅子に座っているけど)から、その膜を突き破るようなヒヨリの突進は良い演出!5人回はそんなに奇をてらった演出はないから、台本だけでなく演出も結構正統派な感じだったのかも(ただ移動時にマイクの音がごそごそ言ってしまうのは残念。あの部分だけでも音が切れればいいのだけど)。
ヒヨリ激怒直後のずん飯尾「現実逃避シリーズ」(検索すれば元ネタがわかるから!)は元ネタの伝わってなさにひよっちへの愛おしさが止まらなかった…。3人回でもそうだったけれど、ヒヨリは不憫であればあるほど愛おしい。
浅見がいなくなったあと、あんなに激昂していたヒヨリが凛の一言で落ち着くのは3人回での『幼少期からヒヨリは凛の言うことは必ず聞いていた』っていう部分があるからかな。3人回が笠原姉妹とサユの行動の根拠になっている顕著な例。
正直「沙村の握っているヒヨリの秘密」っていうのも3人回でのヒヨリ幼児退行が含まれているのかなって。想像の余地あり。

そういえば幸福の猫の伝説を説明している後ろでチューチュートレインしている回はなんだったんだろうな…。面白かったけど、あれをやると大事な沙村の話が入ってこない!笑
「ブリバリインチキ」というパワーワードも結局なんなんだ!…といいつつ演者がイジり公式もイジり綺麗に昇華されていくのは生きている公演中ならではの楽しい出来事。
ただ、みんな(主に梧桐さん)は閣下を何だと思ってるのかと。笑
あまりにタイムリーな話題すぎて、初演時のカーテンコールは腹抱えて笑い死ぬかと思った。そんな奇跡あるんかい。あの方は悪魔の中でも品行方正に長けたタイプの上品な悪魔ではあるんですが…まあいいか。

余談。私が3作含めて一番好きだったくだりが「桜木町から、新聞の隅まで」「いるはずもないのに」なのに!!!ウケなさすぎでは!!!なんでだよ!!!!!
向いのホーム路地裏の窓…

さて。
3人回での矢場ツバキの声色変化に女性声優のプロフェッショナルを知り、感激していた私に更に襲いかかるプロフェッショナル。
いやはや姫ちゃんの声、すごい。沙村と比べると何オクターブ違うのだろう。これが声楽の力なのか?普段アニメを見てないことがばれる無知ぶりで申し訳ない。
姫ちゃんと沙村が同時間軸に存在するときの滅茶苦茶ぶりも最高に面白い。高垣ダッシュ…。

ここまで凛についてあまり言及してこなかった。3人回では母性に目覚めたと思ったら5人回では殺意に目覚めすぎていて笑う。
沙村も、それこそ3人回で出てきた矢場ツバキもそうだけど、切れるふたりがここまで苦労する凛というキャラが実は一番狂っているんだと実感。
ヒヨリは弾けているけど常識人で、サユも馬鹿だけど最低限のマナーはわかる。沙村はおそろしいけど意外と弱い部分もあって、浅見もクズだけど憎めない。でも凛はぶっとんでる。一見穏やかに見えるのに。本当にやばいのはちゅうえいではなく瀧上だぞ、みたいな。流れ星の話です。

そうそう、沙村とヒヨリの「邪魔するぞ」「邪魔するなら帰って」のくだりから「あいよー」と返らないことに違和感しかない!この台詞で新喜劇のくだりをしないというもどかしさ!5人回が大阪であれば見られたのか?名古屋でもいい、新喜劇くだりが見たい。待っています。乳首ドリルはいらない。
意外と3人回よりも5人回の台本上のボケが好きで、サユが下僕から解放された時の「恥ずかしながら帰って参りましたでげす」も横井庄一!!!と個人的にはえげつなくテンションが上がったのに、全くウケていないのつらい。山崎まさよしの次に好きなくだりなんですが。なんでー!

本編に戻る。米米CLUBの勢いに任せて突然謝る浅見がすごくいじらしかった。ごめんという簡単な言葉も言えなかった浅見、ごめんの言葉に驚くけど謝る言葉をくれたら責めることなく素直に受け入れるヒヨリ。2人ともとても好きだった。完全なる悪が誰もいない世界が、見ていてすごく楽。
姫ちゃんもえげつない気分屋だけど、悪ではないから。そしてそんな姫ちゃんの核心をついて手懐けちゃう浅見もよかった。完全なる悪もいなければ、完全なる能無しもいなくって。
姫ちゃんの「あいたっ!きゅう〜〜」も光景が容易に想像できるポップさで最高。回想シーンの姫ちゃんの電波繋がらないくだりと、電話切るときのくだりは残り2回も必見。素晴らしい。
ヨガファイアも笑った。日を増すごとにおかゆちゃんに降りかかる物真似の火の粉の量が増えている!

人生は何気ない言葉に実はいちばん救われたりするのかもなんてことを思う後半の展開。凛が何気なく言った「早く帰って来なね」も、サユの言った「大人はケンカしたら謝るんだよ」も。特にサユの言葉、痺れちゃった。馬鹿だけど、馬鹿だからこそまっすぐに素直でいい。
「みんなが思っているより良い子じゃない」って、サユについて梧桐さんは言ってたけど、許容範囲内というか想定の範囲内というか、良い子じゃないけど悪い子じゃなかった。キャラでは一番好きかもしれない。
5人回で一番好きなシーンはサユの「猫ブーン!猫、飛んでくー!」のところだし(言い方も勢いも可愛さも100万点満点)口悪いし言葉汚いのにかわいいし。回想シーンに至る前のサユ、ちょっと矢場ツバキ感あって好きだったし。

そんな何気ないことが集まった日常を生きる物語は至極楽しかった!5人揃うとぐだぐだでも「気心の知れた女同士の会話」って感じでいい。
服の色も5人それぞれ特徴的で。ざっくりいえば凛がピンク、ヒヨリが水色、サユが黄色、浅見が赤、沙村が緑。3人回はハリケンジャーみたいだなあ…と思っていたけど、5人になったらノーマルな戦隊モノ感が。視覚的にも色鮮やかなのは良い。公式アカウントがアップする写真の華やかなこと!芋ジャーもいるのに!

全種類を複数見て台本を買い、反芻することが出来たらベストな観劇かも。
3公演を全て見て、ようやくキャラの性格を理解できるような感じもする。
実質三部作みたいなところはある。
台本の内容もキャラの骨子も演者になぞった当て書きの部分が多くて、当て書き大好き人間にとっては楽しかったなあ(ただこれは内輪ノリと紙一重な危険な面もある…)。
複数ステだいすきな考察厨&伏線回収厨&独自解釈厨なので、そこらへんも個人的にはめちゃくちゃ楽しい。かつて自分が死ぬ気で追いかけていた舞台も三部作から始まったシリーズだったので、それもなんだか愛おしい理由かもわからんが。

でも我々がどう言ったところで。座長の意図する方向にきちんと舵がとられていて、座長を始め愉快な仲間たちがとってもとーっても楽しそうに演じているので、それが正解。正義。
みのりんを中心にカーテンコールのにぎやかな雰囲気を見るたびに胸がいっぱいになる。
3人回は点と点と点。1人ずつを深く掘る公演。5人回は点が5つ繋がって線になった。5人の関係性を楽しむ公演。では4人回は…?というところで、長くなるのでまた別途。初見から好き!っていちばん思えたのが4人回だったので、3回しか見られないのは超かなしい。

そういえば台本にはあったけど、猫のステッカーのくだりはややこしくなったんだろうな、全カットでしたね。なかったよね?
3人回の感想でも言ったような気がするけど、微妙に台本から変更されているところに気付くのが好き。
台本が毎回完売する公演っていいなあ。ここ数年の物販の中で一、二を争う嬉しさだよ、台本販売。許可してくだすった梧桐さんには感謝感謝です。

5人回、あと2回も見られる。うれしいなあ。わくわく。

2018/3/19

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