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恩返しと原点回帰

恩返し
[名](スル)受けた恩に報いること。報恩。「世話になった人に—する」

https://dictionary.goo.ne.jp/word/恩返し/

隣で楽しそうにワンマンショーのキラキラを浴びている友達を見ながら、「ああ、これは5年越しの『恩返し』なのかもしれない」と、思った。

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気がついたら、ベイベーになってからあっという間に5年が経過していた。
私にとっての「及川光博」という存在は何か。最近そんなことを少し考えるようになっていた。

狭く深く同じ現場に通い詰めることを是としてきた人生。全通ができるならそれに越したことがないスタンス(もちろん無理は禁物)。
現に今私は社会人野球に夢中で、好きなチームを追いかけて東奔西走……いや、西奔西走している(このnoteも山口に向かう新幹線の中で書いている)。

だけど、ミッチーさんに関しては今、結構程よい距離感を保ち続けている。私にしては、だけれど。
ミッチーさんのワンマンショーは関東での公演がとても多くて、さらに基本的に土日祝に開催してくれる。
関東在住で土日祝休みの私からしてみたらいくらでも現場を増やせるのだけれど…ここ数年は無理せずにゆるくゆるく追いかけてる。

飽きたわけではない。病んだわけでもない。
チケット発券した瞬間には座席でぎゃあぎゃあ文句は言うけれど(笑)結局幕が開けばどこの座席にいたってミッチーさんのキラキラは平等に注いで、満たされる。
ワンマンショーに足を運んで、今まで最高じゃなかったときはなかったんじゃないかな。
良い意味での飢えのなさが、他のたくさんの好きなものとミッチーさんのベイベーを両立できている秘訣なのかもしれない

いつしか私の中で、ミッチーさんのワンマンショーは「非日常」ではあるのだけれど、毎年必ず当たり前にある「日常」になりつつあったように思う。

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ずっと仲良しのお友達がいる。
同じアーティストが好きだったことでたまたまご縁があって出会って、年齢が近くて家も近くて感性も近くて、大好きなおんなのこ。
出会いのきっかけだったアーティストのライブに、初めて足を運んだ公演がお互いおんなじだったことを後に知って、運命を感じたりもして。
そして、そのアーティストが不祥事を起こしたときは真っ先に会いに行って、二人でわんわん泣いて嘆いて悔しがって、二人ともファンを辞めた。

共通の好きなアーティストがなくなっても、私が彼女の好きな子を見に行ってみたり、逆に彼女が私の好きな子を見に来てくれたり、楽しく過ごしていた。
そんな中で、ミッチーさんのワンマンショーにもいつか一緒に行けたらいいね!という話をしていて、ようやく念願叶ったのが先日の「DON'T THINK, POP!!戸田公演

せっかく初心者ベイベーを連れて行くなら…と、私もかつて先輩ベイベーにそうしてもらったように、サイコー!列シート(※)のチケットを購入。

(※)ミッチーさんのワンマンショーでは公演によって、最後列のお座席を「サイコー!列シート」、その手前のお座席を「ゴーゴー!シート」として、通常よりもお求めやすいお値段で提供している場合があります

事前にLINEで、当日持ってきたら楽しくワンマンショーを過ごせるものの情報や、テーマカラーの案内、新譜のサブスクのリンク、振り付け動画のURL、ショーの雰囲気がわかる円盤の宣伝動画のURLを連絡。
お友達もノリノリで積極的に色々聞いてきてくれたので、こちらもとても楽しくアドバイスできて嬉しい。

実際に送った内容の一部

私がかつてポンポンをボロボロにしてただのキラキラしたゴミになったことも笑ってくれて…嬉しかったな……成仏しろよ…

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ワンマンショー当日。
お友達が水いろワンピース(※)を着てきてくれて、めちゃくちゃ最高だった。
オタクは、自分の好きなものを予習してきてくれるひとのことを大好きになってしまいます。
駅からいろんな種類の水いろを身につけたベイベーの列に着いていくと、個人的には12年ぶりになる戸田市文化会館が、狭い路地から突然あらわれる。

(※)ニューアルバムに「水いろワンピース」という楽曲があり、今回のツアーのテーマカラーも水色という背景がある

https://music.apple.com/jp/album/%E3%81%BF%E3%81%9A%E8%89%B2%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9/1740040629?i=1740040636

人生で初めてのワンマンショー以来になる2度目の最後列は、思っていたよりもステージが近くて驚く。一段一段の段差に高さがあるから、前のひとの背丈に影響されずにステージ全体が見渡せて素晴らしい眺め。
座席運に一喜一憂せずに、自分の意思で最後列に行くことが、こんなにもノンストレスだとは思わなかった!(笑)

開演が近づくに連れて多少先輩ベイベー風を吹かせてみたものの、お友達のポンポンづくりのお手伝いがあまりにも役立たずで、またキラキラしたゴミを再生産するところだった。
一体いつになったら上手に作れるのか…。

さて、肝心のワンマンショーですが。

めっっっっっっちゃくちゃよかった。

一応このツアーは初日も足を運んでいたのでどんな流れかはわかっていたし、初日に聴いたアルバム曲がどれも私の中ではかなり良い感触で、生で聴いてからは「今回結構好きなアルバムだ!」となっていたからワクワクしていたけど、すごい歓声とキャーキャーの声の大きさにびっくり。

ひとりで見に行くワンマンだって全然楽しいけれど、隣にミッチーさんをはじめて見るお友達がいるということが、こんなにも楽しさを倍増させるなんて知らなかった。
お化粧直し、びっくりするよね(笑)
そして観客としての偏差値(?)が非常に高いお友達なので、はじめてとは思えないくらいの共鳴したノリで見てくれたのが、感激。

ペンライトは賛否両論かもだけど、少なくとも初心者にめちゃくちゃ優しいアイテムだなと思った。
今回来てくれたお友達は踊る客席大好きな子なので全く問題なく馴染んでくれたけれど(何も伝えてないのにバラードで消灯してたのは、我が友人ながら流石すぎた)、前にはじめてミッチーさんワンマンに連れて行った別のひとには「みんなめちゃくちゃ踊るから、圧があるし、踊れないと疎外感がある」的なことを言われて、確かにねえ…と思ったことを思い出したから、尚更。
持ってるだけでもワンマンショーのキラキラの一部になれる気がする。たぶん。光るタンバリンよりももっと気楽に。

初日でも戸田でも、ミッチーさんはペンライトを振っても降らなくても、踊っても踊らなくても、何しててもいいって繰り返し伝えてくれた。
つまりDTPツアーは、初心者ベイベーに優しいツアー…?
現にここ数年で私が足を運んだ中では、いちばんしっかり初心者ベイベーに声がけをしてたんじゃないかなあ…という公演だったので、お友達がミッチーさんとキャッキャしているところを見られて眼福。
全く揃っていない初心者ベイベーのコール&レスポンスからしか得られない栄養があったよ…!

もちろん色んなスタンスのベイベーにも優しく感じるから、肩に力入れずに見られて今回とても心地よい。
ちなみに私は素手で踊りまくり派です。

公演中何度も「初心者ベイベーを連れてきて!」と言うミッチーさんに、「えへへ今日は連れてきたよ…!」と遠隔ドヤ顔をしていたんですが、ふと「あ、今日はミッチーさんへの『恩返し』の日だ」と気付いた瞬間があった。はっきりと。

***

たぶんそれは、久しぶりに「非日常」を感じたことと大きく関係している。

ワンマンショーが終わったあとに、来てくれたお友達と感想戦をした。
彼女としっかりとした感想戦をしたのはいつぶりだろう。
これまでもお互い見てきた景色を言語化しがちのふたりだったから、それこそ5年前なんて、かつて好きだったアーティストのライブに行ってはずっといろんな話をして、それが当たり前だったのに。
でもそんな日々が無くなって、同じステージを一緒に見る機会が無くなって、「日常」だったものが無くなって。
そんな「非日常」になってしまったものに、また再会できた。

さらに、感性が近い(と私は思っている)お友達の抱いたみずみずしい感想は、私自身が及川光博ワンマンショーを初めて見たときの、あの閃光のような衝撃を彷彿とさせた(と私は思っている)。

「及川光博」のワンマンショーでしか体験できない「非日常」に片足を突っ込んだ感覚を、思い出した気がする。
厳密に言うと特に忘れてはないとは思うのだけど……慣れもあるのかな…多くの感情を言語化することもなく、Twitterで一言二言ひとりで反芻していたからかも…?

及川光博さんワンマンショーに初めて行ってきました。幕が開き暗転してる中ステージに現れた彼を見た瞬間ゾワっと肌が逆立った。1曲めのイントロが流れ出した瞬間全身に一気に鳥肌が立って虜になった。身体が動かなくなった。ライブというよりはまさに「ショー」というべき極上の3時間でした。…夢か?

テレビや銀幕の中にいるべき、遠い遠い存在。それが「本当に存在してる、同じ空間にいる」ということがやっぱり信じられなくてソワソワしたりもした。
突然ミッチーの魅力に取り憑かれて、狂うように作品に触れ続けた1ヶ月半を経た自分にはあまりにも刺激が強すぎて、興奮と茫然が共存していたと思う。

セクシーとキュートとポップとクールが混じり合った、奇跡の49歳がそこにいた…いたんだなあ。なんだかまだふわふわしている。セトリは予習のためにネタバレを見ていたけど、内容を知っているのに胸の高まりが抑えられなかった。三日月姫、やっぱり無茶苦茶に好きだった。格好良すぎた。眩しすぎる。

踊り狂っているのに緩急とキレがすごくて、ひとつひとつの所作が全て美しい。指の先までぴんと張り詰められた美意識が、2階最後列にいたのにも関わらずビシバシ伝わってきて、圧倒された。普段はライブ用耳栓をしているのに、付けることを忘れるくらい。兎に角生の歌声を直接鼓膜に響かせたかった。

最後列にいるのに始まった瞬間から熱くて、終わるまでノンストップでとめどなくて、舞台も客席もおんなじ気持ちでおんなじ楽しさを分かち合う感じが、すごく良かった。まさにミッチーの言っていたような「愛し愛される」空間。この感覚はきっと、ライブ中よりも日が経つにつれてじわじわと沁みいく筈。

絶対また行きます。無理はしないけど、たぶんすぐ行きます。笑
出会えてしまったのだから!好きになってしまったのだから!!!
もっとこの景色を見続けてみたいなと思いました。
キラキラキラキラ、美しい世界!

諸事情あってもう更新しないアカウントより引用

これは「PURPLE DIAMOND」市川公演で、サイコー!列シートから初めて及川光博ワンマンショーを見た時の感想ツリー。
興奮と茫然で前後不覚に陥り、その後八王子と結城と仙台と人見2デイズと愛知と静岡とNHKを追加したのは、自分の中の衝撃がとてつもなく大きかったことを物語っている…。

たぶんもともとはこうやって文章にしたがりの人間なので、文章の量がテンションに比例しているのかもしれない。
だからだろうか、初心者ベイベーではないにもかかわらず、この頃の衝動に近い感情を戸田公演が終わってから今も抱き続けている。

***

それはお友達がミッチーさんのワンマンショーを心から楽しんでくれたからに他ならない。

自分の好きなものはこれだ!と堂々と言うことはできても、他人に薦めることがそこまで得意ではない性格な私。
そんな中、現地にわざわざ御足労いただいただけでもありがたいのに、同じようにショーを楽しんで喜んでくれたことが、本当に嬉しかった。

5年前と同じように最後列から及川光博の世界を浴びた。5年前と変わらない圧倒的エンターテインメイトの極みを、キラキラを、全身で浴びた。

5年前、先輩ベイベーの友達に連れられた私は、初心者ベイベーとして最後列からミッチーさんの世界に足を踏み入れた。
そして今回、私が先輩ベイベーになって、初心者ベイベーのお友達をミッチーさんの世界へエスコートしている。

感慨深い原点回帰だなあと思う。
そして恩返しでもある。
自分が施してもらったことを、誰かに施してあげるタイプの恩返し。

自分が思っていたよりも、戸田公演がとてもとても大切な一日になった。幸せな気持ち。なのでこうやってnoteに残しておこうと思ったのですが。

お友達がミッチーさんのショーにまた行きたい!と興味を持ってくれたので、さらにミッチーさんという星の泉(※)に浸かってもらおうと企んでいます。

(※)ミッチーさんの現場では、推しは「星」、沼は「泉」、参戦は「参泉」と表記します

また一緒に行こうね〜!(私信)

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