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住民税「非課税世帯」の条件は?

 「住民税の非課税世帯」という言葉を最近よく耳にします。国からの給付金の対象となりうる「住民税の非課税世帯」とは、具体的にはどのような方を対象にしているのでしょうか。

 今回は、住民税が非課税となる条件について、ご説明させていただきます。


※画像はイメージです※

1.その年の1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている人


 生活保護により生活扶助を受けている場合、住民税が非課税となります。

 なお、1月1日以降に生活保護となった人で、住民税が課税されている場合、申請によって税額が減額あるいは免除されます。納期限の7日前までに申請書を提出する必要がありますので、申請の期限を過ぎた税額については減免できません。

 住民税の免除は、住民税が課税されていた人が、申請によって税額をゼロに更正するものです。そのため、そもそも課税が発生しない非課税とは性質が異なりますので、注意しましょう。

2.未成年者、障がい者、寡婦、ひとり親で、前年の合計所得が135万円以下の人。


 未成年者や障がい者、寡婦やひとり親は、その他の人に比べ非課税の判定基準が低く設定されています。合計所得が135万円以下、つまり給与収入のみの場合、給与収入が204万4000円未満の人が、非課税となります。

 例えば、上記に該当せず、かつ扶養親族がいない場合、給与収入が※100万円を超えると住民税が課税されます。
 ※東京23区の場合。自治体により異なります

 両者の判定基準を比べると、給与収入でいうと実に100万円以上の差があります。住民税の課税事務を行っていると、特に寡婦やひとり親控除の申告漏れにより課税となってしまう人が時々いらっしゃいます。年末調整や確定申告の際には、忘れずに申告しましょう。

 なお、寡婦とひとり親の要件は、以下の通りです。

 ※どちらも該当する場合、通常は控除の大きいひとり親を選びます。

3.前年の合計所得が各地方自治体の定める額以下の人


 以下の計算式で算出した金額以下の人は、非課税となります。

   35万円×(本人+被扶養者の人数)
   +21万円(21万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円
 
  ※上記は東京23区の場合。自治体により異なります

 少し分かりにくいので、下記を参照してください。

   ①扶養親族が0人の場合
   ⇒35万円×(1+0)+10万円 = 45万円

   ②扶養親族が1人の場合
   ⇒35万円×(1+1)+21万円+10万円 = 101万円

   ③扶養親族が2人の場合
   ⇒35万円×(1+2)+21万円+10万円 = 136万円

 扶養親族が0人なら45万、1人なら101万で、それ以降は扶養親族が増える毎に35万円ずつ加算すれば、非課税の判定基準が算出できます。

 なお、所得税の計算上、16歳未満の扶養親族の控除額は0ですが、上記の通り住民税には影響することがあります(ここでは説明しませんが、他にも所得割の非課税判定、調整額の算出にも影響します)。

 16歳未満の扶養は税額に影響無し、という認識は、住民税においては誤りですので、ご注意ください。

4.「住民税非課税世帯」の対象


 世帯の全員が非課税であれば、給付金の支給要件を満たすように思われますが、一点注意すべき条件があります。世帯の全員が、課税されている親族の扶養となっている場合、支給対象となりません。

 例えば、高齢の両親が2人で暮らしており、2人とも非課税であったとします。離れて暮らす会社員のAさんがこの両親を2人とも扶養親族としていた場合、支給の対象からは外れます。ただし、2人のうち片方のみを扶養親族としていた場合(通常は考えにくい)は、支給の対象となります。

 対象の選定に少し違和感はありますが、上記については知っておくと良いでしょう。


 おわりに


 今回は住民税が非課税となる条件と、住民税の非課税世帯についてご説明させていただきました。この記事を読んでいただき、みなさんやそのご家族さんが対象であるか、今一度ご確認いただけましたら幸いです。

 また、実際に対象であるかの確認や支給時期の詳細につきましては、お住まいの自治体にご確認いただきますよう、よろしくお願いいたします。


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