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2024年の詩

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思いつくままにつらつらと。
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#現代詩歌

【詩】なにも言いたくない日

言葉の肩が凝っている 疲労感を棚に上げたせいだ 紙の上に並ぶことへの拒否 整然と在れない 外の空気もいらない ひかえめな駄々っ子をしても続かない ため息 咀嚼しない脳みそ つらいね、なんて同情も虫唾 ずっと キラキラした水面が広がる 天井を見ている(ゆらいでいる いつまで待っても滴ってこない 水がそこにある だから乾いている 先週 保湿クリームすら値上がりした 肩こり用の湿布なんか買えやしない もつれる足で歩いてコケて そういえば今朝 お白湯飲んで出てこなかったなって 思い出

【詩】うっかり幸せになる

そこはかとなく 値段とにらみ合いをした昨日 買い物かごの軽さ 世知辛いとだけ言うのは簡単で 私を切り売りするのはもっと単純で 補強材は深夜の横断歩道で青信号とともに 前転しながら消えていった 生き急ぐとは ああいうのを言う 毎日の表面を泳ぐのに長けてしまって 今日の奥底にある私だったもの 忘れがちだから八合わせてぎこちなく お辞儀なんか してしまう こんにちは、あるいはこんばんは私 四つ入りのパンが三百円もしたのよ まぁるいパンに(イングリッシュマフィンという モツァレラチ

【詩】後ろ髪の永遠

後ろ髪が引かれて 引かれて 引かれて ずっと伸びていって 細く細く 糸のようになって 先も後も見えないほど続いていったなら 人為的な永遠の形成になりえるだろうか それを 君に続く永遠に してしまっても、 行こう行こうと足先の向く方 未練の足音はひたひた これを棄てた後に続いていく毎日が描けなくて ついにここまできた 何にもならない何もないものが これがしあわせ なのだと膨張している圧力 概念だけを残して私を形成してしまっている 君の形は とうに忘れてしまった 悲しい と