ウクライナの話

この4日間くらいの間にロシア側が大規模な無差別攻撃に出て、
死傷者の数がとんでもない数に達する可能性があります。
英米諜報機関の情報ではロシアが大量破壊兵器を使用する可能性があると指摘しています。
NBC兵器。
核・生物・化学兵器を使用するかも知れないと。

現状、ウクライナの不屈の精神に敬意を表すしかない状況で。
米国やNATOの参戦や直接的な援助はロシアの核兵器使用のリスクが上がるため見込めないでしょう。
ただ今後、余りにも残虐な民間人への攻撃などが行われると、
各国の世論も変わり、各国政府の対応も変わってくる可能性もゼロではないでしょう。

前提として
ロシア・ウクライナ双方共に、死傷者数は自国に都合のいいように発表するでしょうから、ホントの戦果はなかなか正確には測れないというのも忘れてはいけません。
戦争というのはどの国もそうするものなので。

ロシアが核使用をする可能性


この侵攻の動機、その進め方。
すべてにおいてプーチンは全く合理的な判断をしていません。
なので他国の一般的な予想や思考は通用しないというのがよくわかります。
そもそもウクライナのような国を相手に核の使用をちらつかせるなど、
異常としか言えません。
大の大人が小学生1人を脅すために仲間を何十人も呼んで小学生を囲んで威嚇するような異常さです。

核が使用される可能性としては、
ポーランド国境からウクライナへの兵器・弾薬の提供がロシアの侵攻を大きく妨げてる事実があるので、その補給路に当たるポーランド国境に近いウクライナ領内に低出力の戦術核兵器を落とし、ウクライナの心をへし折り、
同時にNATOや米国への強烈な脅しを目的とする。

ほぼ全世界的に非難を浴び、ロシア国内でも強い反発があるうえに、
経済制裁が強力に効きすぎた場合も追い詰められたプーチンが核使用に走るかもしれません。

いちばん可能性が低いものの、英米NATOの参戦。
この場合もロシアは通常兵器ではとても敵わないので核の使用リスクは跳ね上がります。

ロシア軍の謎

ここまでのロシアの動きにはいくつか謎があります。
ひとつは軍事作戦の進め方。
その中でも航空戦力の投入が少ない。
ここは専門家の間でもまだわかっていません。

仮説としてはロシア空軍がそもそも能力が低い。
大規模な連動した航空作戦を行えるだけの訓練経験がない。
シリアで爆弾積んで目標に落とすだけの作戦経験はあっても、
様々な部隊と連携し情報共有をしながら多数の航空機で大規模な作戦ができるほどの練度も経験もない。
最新鋭の機体も数が少ない。
実際にGPSやレーザーで誘導する精密誘導爆弾が使われず、
無誘導の爆弾での爆撃が多い点も精密誘導兵器の在庫数が少ないからではと。

もうひとつの仮説はウクライナの防空能力の無力化が思うようにいかない。
固定のレーダーや対空火器ではなく、位置の特定が難しい小型の車両によるものや、人が携行できる対空火器でウクライナが粘り強く抵抗するためロシアは航空機投入をためらってる。
ポーランドなどの国境付近を飛ぶ英米やNATOの早期警戒機、電子情報収集機や哨戒機がロシア軍の動きを探知しウクライナにデータ提供、それを元にウクライナは効果の高い防空網を維持しているのかもしれません。

いずれにしてもプーチンの思惑よりもウクライナの抵抗は強く、
予定よりもかなり侵攻に手間取ってるのはほぼ間違いないでしょう。

プーチンの脳内は偵察ができない

英米の諜報機関の予想は概ね的中しているが、それは情報収集と分析が当たったのだけど、プーチンの脳内だけは偵察ができない。
プーチンの病気や精神不安定を指摘する人もいるが、
大雑把に言えば、彼が描く大国ロシアのあるべき姿があり、
それに反して旧ソ連の構成国がロシアを嫌い離れていくどころか、
民主国家になりその上、NATOに加盟する。
彼にとっては屈辱と絶望、怒りでしかないのだろう。
もうカルト宗教やイスラムの過激派のような自分勝手な世界観以外は受け入れないという感じなのでしょう。
老いと共にその理想や妄想が暴走し始めたのかもしれません。

酒癖やDVで愛想を尽かし逃げた元妻や子供を異常に追い掛け回し。
警察や裁判所の警告も無視し、元妻や子供を殺し、最悪それで自分が殺されようが投獄されようがその覚悟は出来てる。
そのときは多くの人類を道連れにしてやる。
なぜなら世界はそうあるべきなのだから。
といった感じでしょうか。

対してウクライナの、戦争で戦い死ぬか、ロシアに虐殺され、自由や誇りをずたぼろにされ奴隷のような人生を送るか。
それに対する明確なウクライナ人の
「決して屈しない。諦めない。戦い抜く」覚悟。
ふたつの強い覚悟が衝突している状態。
ウクライナ軍の士気は高く、
プーチンの異常性癖に付きあわされこき使われるロシア兵の士気は、
世代や部隊によって差はあれど高くはないでしょう。

英米・NATOの対応

日本近海でロシア・中国の艦隊が演習を行い通過したことがありましたが、
海洋法で通過が認められてる海域なので、
ここで日本がロシアや中国に制裁をしたり、抗議をすると、
不思議な感じではあるけど米海軍が同じ海域で航行の自由作戦を日本政府に向けて行います。
日米の敵であるロシアや中国が相手であっても日本に国際法を守りなさい、
航行の自由を認めなさいという行動です。
実際に過去に対馬海峡かどこかであったと思います。

シリアで毒ガス兵器、大量破壊兵器が使われたときも米国は何十発もの巡航ミサイルを撃ち込みました。

このように米国は国際法を守ることや、非人道兵器の使用ハードルを下げさせない、そういった前例を許さないという態度を基本的にとってきました。

今のウクライナもプーチンという異常者が核兵器を脅しに使ってるとはいえこのやりたい放題をどこまで介入せず放っておくのか。
中国も今回のウクライナ情勢をよく研究している最中でしょうから、場合によっては「やり方によっては台湾侵攻も全然いけるんじゃね?」という間違ったメッセージを中国に送ることになりかねません。

核兵器使用の概念のようなものに
相互確証破壊 MADというものがありますが、
これは核兵器で攻撃を受けた核保有国は
核攻撃をしてきた相手に核兵器で報復する権利が発生するというもので、
要は核を打ったら必ず自らも核攻撃を受けるということです。

核を打った時点でその戦争に実質的な勝者は居なくなる。
皮肉にも核兵器の存在が大国間同士の大きな戦争のハードルを高くし、
戦争抑止の働きをしてきた側面がある。

ただ今回のように一方的に核を持った異常者に侵攻される
非核保有国のウクライナの場合には相互確証破壊は意味がありません。

周辺のNATO加盟国のウクライナ国境付近には
米軍やNATOの偵察機が長時間滞空したり、
フランスやイギリス、米国の部隊も派遣され。
各国特殊部隊も秘密裏に活動してることも予想できるし
恐らく核ミサイルを搭載した英米の原子力潜水艦が雲隠れして
待機してると思われます。

この数日間で大きな局面を迎える出来事があるかもしれませんが、
どちらにしても米国やNATO加盟国の決断は非常に難しいものを要求されそうです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?