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スーパードンキーコング2

小1から

『ドンキーコング』  を、 

中2 までやっていた。

小1〜中2。約7年間。

幼少期の7年間は、すんごい。

体感で30年くらいはある。
途方もくれるように時間の流れが遅く、
毎日毎日が、もう!長すぎる。

そんな小1から見た小6はとびきり大人で、
中学生など、
はるか未来の存在だと思っていた。

そのはるか未来の彼方までアホのようにやっていた、ドンキーコング。

取り憑かれたようにやっていた、
ドンキーコング。

ほぼ呪具。

あたくしは小1の時に親戚の家で、
『スーパードンキーコング』に出会った。

親戚の集まりで
おじさんが当時の最新機『スーパーファミコン』の「スーパードンキーコング」を買ったから、
「みんなでやろうよ!!」となったのだ。

あたくしもやらせてもらえた。
はじめてやったのはトロッココースターの面で、
なにやら猿2匹(ドンキーコングとディディーコング)が、トロッコに乗って猛スピードで移動しているのを、操作するのだ。
トロッコに乗った猿2匹のいく先々には、線路が途中でなくなってたり、敵であろう奴らが嫌がらせをしてくる。
そんな中、命綱もパラシュートも、何もつけてない猿2匹が、猛スピードでトロッコで移動している!


こいつらは本当にアホだ。

そんなアホ2匹が、自分に操作を任せているのだ。
見ず知らずの小2に、健気に命を預けているのだ。

その責任感は重大で、ひとつでもミスればアホ2匹は線路から外れて奈落の底へ落ちていく。

このヒリヒリ感。スピード感。



ウホッ。

ウホホホ。




なんて。




なんんんんんんんんんん


んん


んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん





          て
面白いんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!



スーパードンキーコングぅ!!!!!!!!!!!



とびきりイカした、斬新なゲーム!!
ウホっ!ウホウホーーーーーー!!

その面白さは!
当時の自分の脳みそのキャパを超えてパンク。
意味不明で、紫色のゲボを吐きそうになる。
サンバを踊り、失禁しそうになる。

涙が出ちゃう。だって小1なんだモン!!


ハイパー傑作だった。


とびきりイカした、斬新なゲーム!!
ウホッ!!ウホウホゲーム!!
ウホホホ!ウホ!!ウホーー!!ゲーム!!
ウッホーー!!ウホウホ!
ゲーム!!



ウホーーーーーーーーーーーーーーー!!!




ウッホ。





それからは、寝ても覚めてもドンキーコング。


と言っても、
我が家にはスーパーファミコンがない。

ないったら、ない。



なので、スーパーファミコンがある親戚の家に行くたびに、ドンキーコングをやっていた。

翌年、スーパードンキーコング2が発売した。

「ヒョオオ王ォオオオオー!!!!」

小2の自分は発狂した。

「スーパードンキーコング」でも面白かったのに
それに続編の「2」が出た。

出たったら、出た!!デタデタ!!!!

その『スーパードンキーコング2』を、従姉妹のリエちゃんが買った。

団地の3階。
リビングから母親とおばちゃんの会話。
キッチンからコーヒーを淹れるいい匂いがする。
コーヒーは苦くて飲めないけど匂いは最高
夕陽が入ってくる眩しい部屋。
スーパーファミコンにカセットをさす。
ドンキーコング2。
Rのマーク。前回のセーブからはじめる。

『ドンドドドンキーコング2♫
今度はドンキー攫われた♪』

今回の主役はディディー&ディクシー

ディクシーは金髪ポニーテールのかわい子ちゃん。

このディクシーが強烈だった。



金髪ポニーテールをぶんぶん回して、飛びまくる。
もう罠などに引っかからず、ひたすら飛び抜けて
進んでいく。
だいたい全部これでクリアできるのだ。

「、、、、」

金髪ディクシーの時代がきた。
赤帽ディディーの時代は終わった。

親戚のリエちゃんと

「ディディーはもう用無し」
「ディディーは終わり」
「ディディーは飛べやしない」
「ディクシーで全クリできる」
「ディクシーのお荷物」

など、散財なことを言っていた。

子どもは時に残酷で、そうなると
ディディーの出番はほとんどなく

ディディーは

『ディクシーに変わる猿』
『ディクシーの後ろでウロチョロする猿』
『ボス戦での身代わり』
『蜂がいたらまずコイツに変わる』

という役割になっていた。

そんなこんなで、ほぼディクシー頼みでドンキーコング2をクリアしていった。

親戚のリエちゃん団地は車で1時間くらいのところにあったので、月に2、3回遊びにいけるかどうかの中でドンキーコング2。

そして、数ヶ月かけてクリアしたドンキーコング2。

クリアしたときの感動は忘れない。

ラスボスのキャプテンクルールが、捕まっていたドンキーコングにぶっ飛ばされる。飛行艇から地の底まで落ちていくラスボスに、

『ヤッタァーーーー!!」の歓喜。

さらにキャプテンクルールは海にドボンして、底にいたワニの大群に食べられるとんでも結末!!

その残酷描写を見て
『うひょー!バンザァアァアァイ!!!』の歓喜。

恐ろしいのは、そのあと感動したからといって、
ワニたちにキャプテンクルールが食べられるサマを
「んふふ〜♫」とノリノリで絵にして描いたこと。

『描き記しちゃお!』となったのだろう

子供ってすごい。



そのあと、リエちゃんが新しく買ったセーラームーンのゲームをしたのを覚えている。これまた楽しかった。
リエちゃんのドンキーコング2はそこで終わりを迎えたが、あたくしのドンキー魂は止まらなかった。
何しろラスボスの最後を絵にまでしたのだ。

しばらくして実家がタイミングよくスーパーファミコンを購入。
それに伴いドンキーコング2もセットで購入。
準備OK🙆‍♂️🙆‍♀️🙆🙆‍♂️🙆



それからは、、




ことあるごとに、ドンキーコング。


晴れた日にはドンキーコング。


雨の日にもドンキーコング。



風の日もドンキーコング。




雪の日ドンキーコング。




春夏秋冬ドンキーコング。




気づけば


















中2までやっていた。







「えっ!?」

そこでようやく気づいた。

このままだと、
人生の大半が「ドンキーコング」で終わる。
ウホウホ人生。

はじめたの7歳、いま14歳。

「えっ!?」

いよいよ怖くなってくる。

もう人生の半分ドンキーコングやってる!
ウホホホホホホホ!


ウホォオオオオォオオオオ!!!!!








ウホ、、、





ある日、泣く泣く決意をした。

「このままだと、マジで!
人生!ドンキーコングになるので!やめる!」

休みの日に、ドンキーコング2を起動した。

もういたるところ隅々までやったドンキーコング。もはや行くところもないので、ヘラヘラ散歩していたドンキーコング。
一番好きな面をボーっと見ていた。
それは天空に茨のとげとげのツルが囲ってあるような面で、そこに不釣り合いな猿のディディー&ディクシー、蜂や敵たちが、何故かとびきり似合う風景。
この世のものとは思えない、何より音楽がいい。

「♫〜〜♫〜〜♪♪〜〜♫♫〜〜〜〜」
https://youtu.be/FaMRU3ndV-U?si=IHnRi3VsnHhwGnSy

この時はあまり気づいてなかったが、この音楽こそが、めちゃくちゃよかったのだ。

それを当時よくわかってないまま、
このトゲトゲ天空のステージをボーっと見続けた。


「、、、」



楽しかった。

ずっと楽しかった。

団地の3階。
リビングから母親とおばちゃんの会話。
キッチンからコーヒーを淹れるいい匂いがする。
コーヒーは苦くて飲めないけど匂いは最高
夕陽が入ってくる眩しい部屋。
スーパーファミコンにカセットをさす
ドンキーコング2。
Rのマーク。前回のセーブから始める。


「、、、」


もうリエちゃんも、
誰もやってないのだ、ドンキーコング2は。

全クリをしてしまって、歓喜することもない。



これからの日々を考えなければいけない



さよならドンキーコング2。



さよなら、
ディディー&ディクシー




あとドンキー





あとクランキー






あと、ジジイの猿、、



あと、、ババ猿、、


あと、、








































それから22年。

あたくしは芸人になっていた。

ある日、同じ事務所のカミナリのYouTubeで、
「ドンキーコング2をプレイしながら神曲を聴く」という企画をやっていた。
そこではじめて、ドンキーコング2のBGM担当は、すべて『デビッド・ワイズ』という人物が作っていたことを知った。自分の好きなあの曲は、「とげとげタル迷路」という曲だった。

あの時のまま、記憶がごっそり蘇ってくる。
当時の空気のまま、当時の空気のまま。

後日カミナリのたくみ君に会ったときに、
あの企画マジでよかったよ!!と伝えた。

すると、

「これまだ内緒なんですけど、なんとワイズが日本に来るんですよ!!そんで、ライブやりたいっつってるんで、ライブやるんです。国ちゃんゲストで来ませんか!?」

すぐさま、

「行くよ」
「そんなんすぐ行くよ」
「いつ?全部スケジュール飛ばして行くよ」
「絶対に行くよ」
「絶対に」

「あの、まだ日程決まってなくて、またわかったら連絡します!」

「すぐね、すぐ」
「直電して」
「ワイズより早く教えて」
「予定全部飛ばすから」
「スーパードンキーコング2だから」
「俺スーパードンキーコング2だから」


という展開に。



ワイズに会えるの!?!?
あのワイズに?!?!
ドンキーコングの音楽を作った人に!?!?



マ       ジ        で!?



最高すぎない?



ありがたき幸せ。。




あたくしの興奮冷めやらぬまま、
一方であれよあれよとカミナリはワイズライブを形にしていった。
カミナリまなぶ君はワイズの交通網、飛行機、宿泊施設、通訳をすべて自身が手配したらしい。
もはや凄腕業者。ゴイゴイスー。


ありがとうカミナリ。
ありがとうたくみ君。
ありがとうまなぶ君。

さあ来いワイズ、日本に。

聞くとイギリスから14時間かけてくるらしい。

座ったケツが爆発するぞワイズ。

大丈夫かワイズ。

ケツが爆発するぞ。

ワイズはケツが爆発することが怖くないのか?

もちこたえてくれ、ワイズのケツ。



そして、ライブ当日。

楽屋に入ると、芸人の楽屋にワイズがいた。
赤キャップのキューティおじさん

「hahaha〜!」

通訳から聞くと、
フレンドリーにずっとジョークを飛ばしているらしい。oh〜!と握手してくれてニッコリ、
めちゃくちゃいいヤツっぽい!

ワイズに伝えたいことは山ほどあるが、何しろ英語が話せない。しょうがないので、ワイズが何を話しても、手で👍という返しをした。

しばらくして開演時間になった。
ワイズに、カミナリ2人に、まなぶの親戚の通訳ジェームス。ゲストに霜降り明星のせいや君。
せいや君もドンキーの大ファンらしく、大興奮していた。

満席の1500人。

一つ目はワイズへの質問コーナー。
ワイズは何の食べものが好き?
という質問に、

「作ってくれる人によるね〜!hahaha !」

みたいなことを答えていた。
どこまでもチャームおじさん🤘 
ヒューヒューヒューー!!!

二つ目の企画がとびきりで、劇場の大スクリーンでドンキーコング2を我々がプレイして、そのプレイにあわせて実際にオーケストラの皆さんが生で演奏してくれるというのだ。それをワイズが、見る!

せいやに「これすごくない?!」と聞くと、
「最っっ高すね!」と言っていた。

ああ、最っっ高よ!!

こんなことになるとは。夢にも思わなんだ。

ゲームがはじまると、スタートのレア社のロゴ場面からオーケストラが演奏しだした。
『『『ォオオオオ』』』と1500人のお客さんと同じどよめき声をあげ、タイトル画面に。


『スーパードンキーコング2』

宝箱を見つめる、懐かしい、お猿2匹の姿。

ディディー&ディクシー

久しぶり。

ここから、皆各々プレイした。
それぞれのドンキーコングがあって、全員で大興奮しながら、ああだこうだ言って、ミスってもオーケストラがその音さえ演奏してくれた。

気づけば自分の番になった。

今日は最高の日だ。


コントローラーをカチャカチャ、

「、、、」

知ってるかいワイズ?
ボクは22年ぶりにプレイするんだ。
このゲームが大好きだったんだ
ディディー&ディクシーで動き回って
忙しかったんだ
よく親戚のリエちゃん家でやってたよ
コーヒーのいい匂いがするリビングでね。
コーヒーは飲めないけど匂いは最高だ。
その中でやるドンキーは最高だったよ
いまでも鮮明に思い出せる
それくらいハマってたんだ
なにしろ中2までやってたんだぜ?
ヤバいだろ?ヤバいよなあ?
なあ?hahaha〜!
ヤバいと思ってやめたんだ
これからを考えないとで
中2のころさ、おサラバしたんだ。
知ってるかいワイズ?
あれから22年
今、君の前でドンキーコングをやっているんだ
ほらディディーが走るよ
ディクシーが飛んでいるよ
hahaha〜!
あの日の続きがこれだなんて、
最高すぎないか?


「、、、」


懐かしい音、知っている面、忘れようもないもの。

ディディーとディクシー

ディディーが歩く、ディクシーも。

横を見ると
カミナリにせいやに、ジェームスに、ワイズ。
みんな楽しそうだ。

あの日みたいで最高だ。

人生で何度とない、最高の1日だ。






ワイワイして、楽しい時間が流れた。当のワイズ本人が一番下手だったので笑ってしまった。

そのあとはワイズの演奏。
曲が終わるたびにドオオオオ!と割れんばかりの拍手。会場のお客さんが何人も泣いていた。ああそうか、ここはドンキーコングが大好きでたまらない連中の集まりなんだとその時に気がついた。みんな最高だ。
カミナリ2人は二曲でもう号泣していた。早すぎる。
会場の皆が心のどこかにドンキーコングの思い出があった、それを共有できた夜だった。

ワイズ、本当にありがとう。
カミナリに関係者さんに、みんなありがとう。




素晴らしいライブが終わり、打ち上げになった。
会場はちゃんこ鍋屋で、オーケストラの皆さんとも盛大に。

あたくしは興奮しはしゃいで、霜降り明星せいやがやる「武田鉄矢」が面白いから、隣のせいやに武田鉄矢さんに失礼をする感じで話しかけていた。せいやも本人になりきり応対してくれた。

「武田さんのこと、ずっとゴルファーだと思っていましたよ。織部金次郎映画だったんすねあれ!」

『誰こいつ??金八を見てから俺に話しかけろよ。なあ、オイ。織部金次郎で俺に話しかけるなよ。カス芸人が話しかけていい存在じゃないのよ俺は』

「いやあ、金八知らないですもん見てないです。織部金次郎しか見てないんですよ!織部しか知らないっすよ!武田さんて有名なんですか?!」

『なんなんだよコイツ、おぃたくみぃ、コイツ追い出せもう』

「武田さん若いころからだいぶ寿命が減ってきて大変でしょう!?」

『歳を重ねるっつうんだ!なんだお前?!もうけっこうな事になるぞこれは』

「武田さん5世タレントですよね?あれ、4か?!」

『うんわかった、わかった。決めた。うん、お前な。殺す。必ず殺す。事務所どこだ?グレープ?うん、簡単に捻り潰せるから。お前みたいなカスは。必ず殺す。』

「武田さん、鍋、僕の豆腐とってください。にんじんも!ネギは大丈夫です」

『たくみぃ、こいつだめだぁ。お前だから打ち上げに来たけど、この野朗は殺さないとダメだわ』

「鉄矢さんまってくださいよぉ〜!」


これを、2時間やっていた。

あとでハッとしたのだが、

ワイズと話さず、ずっとせい鉄(せいや武田鉄矢)と2時間近く口論になっていた。

それで打ち上げは終わっていった。

ワイズと話したいことが山ほどあった。

もちろんせいやもあったはず。

ただ、せい鉄があたくしを
「グレープカンパニー共々抹消する。国崎、お前は殺す。まなぶも殺す(まなぶが鉄矢さんに中指をたてたため)たくみだけ残す。」

という結論になった。


さらにワイズが「カラオケに行きたい」
と発言し、一同大はしゃぎでカラオケに。

そこでもせい鉄と口論になり、モメた。

「海援隊歌ってください。ワイズが歌ってるときに割り込み転送しましょうよ鉄矢さん!」

『お前なあ、外国人が海援隊知ってるわけねぇだろ?それに割り込んだら失礼だろうがぁ!』

気づけば三時間ほど武田鉄矢としか話してなかった。

唯一ワイズにできたことは、カラオケで
反町隆史のpoisonを極小声で歌ったことぐらい。

ワイズにマイクを向けると「ポイズ〜ン!」

と言ってた。


いま思い返してみると
あの日のワイズの思い出は、
武田鉄矢と口論したことしか思い出せなくなった。

『明日から道中気をつけろ、必ず殺すからな』
と言っていた。


HEY!ワ〜〜イズ!!
ヘルプミー!!!!!

変な思い出を塗るかえるために
また是非日本に来てくれ〜〜〜〜!

David Wise✨
Thank you, it was great fun〜!!!
Thank you for taking me on that day.

Googleちゃん訳ありがと!いい時代✨