アイドル社員・健斗くん♪
俺の会社の新入社員、晴川健斗(はれかわけんと)は社のアイドル的存在でみんなに可愛がられている。
超有名私大卒なのに、ちょっと天然。んで素直だけど、わがままな所があって
ずっとサッカー部だったらしく明るくノリも良い。あと、おだてると直ぐ調子に乗る。
けど上下関係には鋭く、わきまえる所はわきまえる。
そして、めっちゃイケメン。
甘やかしたくなるし、いつまでも構っていたくなる。
こういうのを「魅力」って言うんだなと実感するほどに魅力が溢れている。
健斗をお供にして営業なんか行くと、結構契約がとれたりする。相手がすぐに健斗を気に入り贔屓にしてくれるからだ。
そんな健斗に嫉妬もするが「オレのおかげっすよ♪」とドヤ顔したかと思えば、
俺が「んじゃ書類は全部任せたぞ」と言えば手伝ってくれと泣きついて来る。
もちろん新入社員に任せられないから俺がやるのが当たり前なので、見え見えの冗談だが
健斗は本気で泣きついて来る。
こういうのがカワイイ。
昼飯時も「先輩、お腹すきました!」と俺にじゃれついて来る。
なんで、俺にそんなこと報告するんだと言ってやると「えーカワイイ後輩が腹を空かせてるんすよ??」
と返してくる。ああ、こういうのを「あざとい」って言うんだろうか?
財布の中身を心配するが、コイツをお供にしてると幸せな気分になる。
メシ後の会計でも、とびっきりの笑顔で大袈裟にお礼を言ってくるから鬱陶しい反面、鼻が高いというか
何というか良い女を連れている気分になる。って、そういう言い方はアレだが・・・。
まあ健斗はそれだけ、素晴らしい後輩だという俺の自慢だ。
・・・しかし
この健斗の同期に肝暗(きもくら)というヤツが居る。こいつが問題だ。
仕事は出来ない、返事はハキハキしない、社交辞令的な愛想も良くない、暗い。
そして、ブサイク。Fラン大学。
健斗とは大違いに傷んでダサい頭髪。そばかすに吹き出物の顔、ヨレヨレでフケの掛かったスーツ。
ガリガリで貧相な体、チビ。汚い安物の革靴。
何一つ良いところが無い。
コイツを見てるとイライラ、不愉快になる。不快生物だ。
健斗は見ているだけで俺を幸せにしてくれるのに。
当たり前だが、オフィスでコイツはみんなから疎まれている。
だが、そういうヤツがいてもちゃんと一緒に過ごしていくのが大人というモノだw
コイツにはコイツなりの利用価値、存在価値があるw
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