2022/07/21

気まぐれに酒屋で購入した杏露酒を飲んでみたら美味しくて驚いた。
黄金色の液体をストレートで煽れば、とろっとした飲み心地とともに甘く爽やかな杏の風味が鼻に抜ける。喉をくすぐるようにして、するりと胃へ流れてゆき、ほどなくして身体の心がぽかぽかとしてくる。
そしてこれは個人的な感覚なのだが、どこかキャラメルのようななつかしい風味も覚える。量を飲むにはやや甘すぎる感もあるが、興味を覚えられた方は、ぜひお試しいただきたい。

二度目の梅雨もそろそろ終わりかけ、関西はまた思い出したような暑さが戻ってきた。陳腐な話だが、冷やした夏野菜を齧ると嬉しくなる季節だ。トマトの話をしよう。

小さい頃はトマトの生食が唯一嫌いだった。どろっとした食感と青臭い風味がどうも受け付けられず、食卓に並んだ日には泣きながら拒んだものである。
ただ年齢を重ねて味蕾が麻痺したのか、今では問題なく食べられる。寧ろたまに食べたい気分になることさえある。
当時厭わしかった食感は瑞々しさに、風味は果実に似た味わいに感じられて、なんとも不思議な心地がする。
好きだったものを苦手に感じるようになるのはなんとも悲しいことだが、その逆はやはり、嬉しいものだ。

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