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裁き | 毎週ショートショートnote【ドローン課長】
「ササキくん。進みはどうかね。」
「課長!お疲れ様です。」
「まだそこまでか!今まで何をしてたんだ…」
小言を言いながら空にぷかぷか浮かんでいるソレは、ドローン…ではなく、ヤナハラ課長である。れっきとした、僕の上司だ。
「これは追加の案件だ。今日中にな。」
「そんなあ…」
会ったことすらない課長の視界に隠れ(たつもりで)、つい肩を落とした。
「いちいち音を上げるんじゃない!甘ったれるな!」
「はい!すみません!」
ドローンの視界に死角はない。
「会議の資料はまだか!」
「来客だ!急いで対応しろ!」
ヤナハラ課長は毎日、文字通りあちこちを飛び回っているのだ。
***
ついにある社員が、ヤナハラ課長のパワハラを告発した。しかし、言い渡された判決はこうであった。
「人間以外のモノは、裁くことができない。」
今日もヤナハラ課長は、あちこちを飛び回っている。
未だに、彼には一度も会ったことがない。
そして聞くところによると、革張りのソファの上に浮いているのは、社長だという話である。
...end
***
昨日読んだ本の感想を、
ぐるぐると考えながら。
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