トラウムライゼ

友人が楽しそうに話をしているのを聞いて、一口馬主というものを知りました。

なんとなくモーリス産駒がいいなと思い、目に留まったのがトラウムライゼでした。

「この仔が勝ったらどんな気持ちになれるだろう」

そうしてめでたく一口馬主としての一歩を踏み出しました。


辻牧場では、厩舎長の東さんが更新の度に嬉しそうに楽しそうにトラウムライゼの話をしているのを見て、一緒にワクワクしたのを覚えています。「冬毛が抜けたらカッコいいだろうなあ」と、ピカピカになるのが楽しみで仕方なかったです。

夏になり、身体も大きくなり、ビカビカの黒い馬体に見惚れました。


頑固でした。体重計には乗らず、馬運車に乗る際は暴れてケガをしていました。

穏やかだけど、気性が荒いところもありました。

「自分の世界があり、めちゃくちゃ走るか、全く走らないか」という更新もありました。

どこか人臭くて、愛おしくて、どれもこの馬らしいなと思いました。


1歳のうちにファンタストクラブ内木村牧場からチャンピオンヒルズへ移動の話が出たときは大きく期待しました。

チャンピオンヒルズでは尻を叩かれても洗い場に入らない頑固さを見せ、出資者一同、Twitterで盛り上っていたのを覚えています。


まさかの4月入厩&ゲート試験一発合格。今まで色々問題を起こしてきたけど、やるときはやる、本番に強い馬だと思いました。

坂路では動かず心配でしたが、コースでの併せ馬で一発解答。重心が低くグングン加速する走りはめちゃくちゃカッコよかったです。

夏デビューが楽しみでした。小倉だろうが新潟だろうが、絶対に会いに行くと決めていました。「トラウムライゼが勝ったら涙で前が見えないだろうな」なんて思っていました。


まさか悲しい気持ちで涙が止まらなくなるなんて想像していませんでした。
ひと目見ることも叶わないなんて想像していませんでした。


熱中症でダウンしたとき、辛かったでしょう。

痛みを伴う治療、辛かったでしょう。

あんなに食べるのが好きな馬だったのに、絶食と聞いて胸が引き裂かれる思いでした。


日々の更新を見て、粟津さんのトラウムライゼへの思い入れを感じていました。トラウムライゼのためにとても辛い決断をして下さってありがとうございます。


トラウムライゼへ。

一口馬主を始めるきっかけになってくれてありがとう。

あなたに命名できたときは本当に嬉しかったです。貴重な体験をありがとう。

あなたの成長を見守り、あなたを想う日々はとても幸せでした。

ひとつ下に妹がいます。あなたに似たところのある仔です。見守ってあげてください。

今までも、これからも、いちばん大好きな馬です。

ありがとう、トラウムライゼ。

たくさん食べて、どうか安らかに。

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