見出し画像

新たな入り口

仕事が5時開始になった。だいたい18時には布団に入るんだが、起きるのが3時となるとさすがに、寝つきが悪い時大きなプレッシャーを感じる。仕事が仕事なだけに睡眠不足への(しかも目標は誰よりも眠ること)恐怖でかい。

最近は雨ばかりで気が狂いそうになったけど、やっといいお天気が続きそうな予感。
「いい天気」って書くと、高校生の時に「天気がいいと余計死にたくなる」ってめちゃくちゃいってたのを思い出して、視覚的な光の眩しさと自分の内面のほの暗さのコントラストにクラクラするのね〜あら詩的ね〜! という気持ちになる。

ここ数日の私といったら、飯を作る気力がなくてできなくなり、寝たら死ぬ夢ばかりみて、終いには鼻血を数日垂れ流したりでうわちゃちゃちゃ〜な感じだったんだが、(その話はまた別でする)そんな中出会った本がよすぎて、ていうか自分の成長を感じてうれしくなったのでその話を書く。

読んだのは、『往復書簡 限界から始まる』(上野千鶴子/鈴木涼美著、幻冬社、2021年)
慶應卒、元AV女優で日経新聞記者として勤めていたネーちゃん、涼美と、フェミニストで社会学者のオバサン、千鶴子がお手紙交換という名の文字の白兵戦を繰り広げている本なのだが、
私、涼美の単著は未読で、この人のことも経歴しか知らなかったのだが、相手が千鶴子だからというのもあってか、未熟で傷だらけで、わからないことも多くて、でも知性を振り絞り戦っている、まさに書き手としても女という生き方に対しても成長の過渡期にいるという印象を受けて、涼美のいってることに新鮮さや驚きは正直そこまでないのだが、とにかく傷の深さや痛みや本人が真剣に、深刻に自分や女の子たちについて考えている姿にひどく共感できて、めちゃくちゃ感動した。
そしてそれに対する千鶴子もよかった。今の私に必要なことを千鶴子は全て知っている。

私、上野千鶴子は大学生時代に読んだのだが、当時の私にとっては「いうてることがさっぱり意味わからん案件」だった。
まじで使っている言葉とか、扱っている話題が、パッパラパーの私にとっては「今それどころじゃない!」だった。それより中村うさぎとか、雨宮まみ、雨宮処凛(でギリ)のほうがピンときた。
当時の私に中村うさぎが刺さったのは、そのエモーショナルで私! 私! 私! な語り口だろう(いやうさぎもじっくり木を見てからしっかり森も見る、ような広い見知ではあるのだが。千鶴子の本読んでると「それ似たようなことうさぎもいうてたわ!」とよくなる)
あの頃の私は脳内の自分の悲鳴とか怒号とか絶叫とかがうるさすぎて、環境要因の話とか社会情勢やその時代特有のムーブメントの話とか、そういう大きい、自分を取り巻くこの世界のことまで追いつけなくて、それより、頭を渦巻く、「私の極々個人的な問題」を片付けたくて、向き合いたくて仕方なかった。
その問題はある程度片付き始めて……というか随分時間をかけて整理はかなりできてきて、「私ってやっぱり賢いんだぁ」などとぼんやりしていたのだが、この本を読んで、空前の上野千鶴子ブームが私に訪れた。
どの本を読んでも千鶴子のいってることが、めちゃくちゃわかるのである。

つい先日
『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』(上野千鶴子/田房永子著、大和書房、2020年)を読んでいて、これも非常におもしろく、
あぁ、私は「全私号泣不可避、高山唯、悲劇のヒロイン〜妄想不幸自慢物語〜」を卒業して、もっと広い視点から見た、フェミニズムや女性差別の時代背景、社会や歴史の構造が知りたくなったんだな、と気付いて、
あらまぁ! あらまぁ! と思った。ゴミだったゆいが確実に大人になっとる。

この本にはウーマンリブの標語としてThe personal is political (個人的なことは政治的なこと)という言葉が紹介されていてすっごい染みた。
この本は、何年代にこういう事件が起こった、世の中はこういう風潮だったから人々にはこのような価値観が蔓延していた、というのも描かれていて、そういうのがピンと来なさ過ぎて「うわ、近代史勉強し直したい」と思った。
受験生の頃私は日本史をやりながら、「なんかよくできたそれっぽいファンタジー無理やり覚えさせられてて草」と思っていて、今の自分との繋がりを全く感じれたことがなかったんだけど、24歳になってそれがわからないと、今の自分の頭の中や考え方の説明にいまいち説得力がなく辻褄が合わないということがやっとわかった。
わかるのに24年もかかりましたわい。


note週一更新を始めます。毎週水曜日に更新します。
今中村うさぎのエッセー塾で月一本、最近所属した文芸部の活動で月一本と他の方の作品の講評で一本、登竜門で出す作品ちょこちょこ、値段がつかない文を毎日書いてます。
ばり時間かかるわりにふつうにつらいこともあるし、時間が経って消化(自分の中で意味を付けたり解釈)するのを待つというより、手動で絞り出してる感があり、書いてて痛い時があるけど、でもなんだかんだ書くのがたのしいんだなぁ。

今年度はひたすら読んで書くと決めたので、やります。がんばる。

サポートはお気持ちだけで十分ですので、コメントをいただけると嬉しいです。どんな方が読んでくれたのか知りたいので、コメントくれた方の記事は定期的に読みに行きます。