見出し画像

[魔法同盟] サービス終了を知って、魔法同盟の何がダメだったのか考えてみた

アプリ内のニュースレターにも表示されているので、すでに皆さんご存知だと思いますが、残念ながら魔法同盟のサービス終了が発表されました。

下記リンク先の「サービス終了の公式アナウンス」を見ていただければ、現時点で公表されている内容は簡潔に網羅されているので、本記事では以前から私が個人的に考えていた「魔法同盟のここがよくないんじゃないか」という点を、3つほど挙げてみます。なお、全て単なる一プレイヤーである私個人の見解であり、異論のある方が多いだろうということは理解しています。

本記事には、ゲーム解説もイベント情報も一切書きませんので、興味が湧いた方だけお読みいただければと思います。

0. はじめに

まず最初に、私はいわゆるゲーマーではありません。今までにそこそこ時間をかけてやり込んだモバイルゲームは、魔法同盟以外ではIngressとポケモンGO (いずれも魔法同盟と同じくNiantic社からリリースされている位置情報ゲーム) だけです。ですので私がこの魔法同盟の良い点や悪い点を考えるのは、この2つのゲームとの比較でしかできません。

そして私は、元々特にハリー・ポッターファンではありませんでした。どれか1, 2作は見たことがあったはずですが、魔法同盟を始めてから全作を通して見直すまで、まともにストーリーすら把握していませんでした。ですから、元々のハリー・ポッターファンの方の目に、魔法同盟のストーリーがどう見えていたのか私にはわかりませんし、(まだ完結していませんが) このストーリーが良かったのか悪かったのか私には判断できません。

ということで、主にIngressやポケモンGOとの比較をしながら、この2年半楽しませてもらった魔法同盟の弱点について、私の考えを書いてみます。

1. 画一的な難易度設定

プレイしたことのある方にはわかっていただけると思いますが、Ingressはものすごく自由度の高いゲームです。簡単に言えば「青チームと緑チームが世界中で陣取り合戦をする模擬戦争のゲーム」なのですが、陣取り合戦には一切参加せずにレベルを上げることもできますし、楽しみ方は人それぞれです。たまにイベントはありますが、運営側から「いつまでにこれを達成せよ」と課せられるタスクもほとんどありません。ですので、自分のプレイスタイルに合わせて、自由な楽しみ方ができます。中には、ゲーム内でミッションと呼ばれているスタンプラリーみたいなことだけをする人や、なんの役にも立たないけど沢山の種類があるメディアというゲーム内アイテムをひたすら集めている人など、普通では考えられない楽しみ方をしているプレイヤーもおられます。

ポケモンGOは、魔法同盟と一見よく似たゲームですが、(というかポケモンGOが成功したから、ハリー・ポッターをテーマに似たような魔法同盟を作ったんでしょうが)、本質的にはかなり大きな違いがあると思います。ポケモンGOは、軽く楽しむこともできるし、やりこもうと思ったらいくらでもやりこみ要素のあるゲームです。ほとんど常に何らかのイベントが開催されていますが、全てのイベントに参加しなければ楽しめないわけではありませんし、参加しないことで不利になるとか、後からでは取り返しのつかない事態になることも特にありません。逆に「個体値」と「色違いポケモン」という2つの仕組みがあることが、実質的にエンドレスなやりこみ要素になっており、「ここまでやったら終わり」という区切りがなく、ガチ勢はガチ勢なりにいくらでも楽しめます。

魔法同盟は、特別任務のあるイベントがほぼ常に開催されており、ライトに楽しみたいプレイヤーにとっては「いつまでにこれだけの任務をクリアしないといけない」というプレッシャーが重かっただろうと思います。特に1ヶ月のうち2週間、つまり約半分の期間も開催されていた光り輝くイベントでは、「その期間にしか埋められない登録簿」や「光り輝くイベントでしか入手できない禁書」があったため、強制的にやらされている感を覚えたプレイヤーもおられたのではないでしょうか。一方、そこそこ本気でやり込んだ人にとっては、レベル、登録簿、職業別戦闘訓練、実績など、いずれも最後まで終わってやることがなくなり、光り輝くイベントの報酬として一定ペースで配布される禁書を待つゲームになってしまっていました。ポケモンGOでいう「個体値」や「色違い」のようなやり込み要素のない魔法同盟では、登録簿が全て金枠で★印付きになってしまえば、マップの痕跡を回収する意味を見出しにくかったと思います。

実はリリースから約1年間は、魔法同盟は今よりもやりこみ要素の大きなゲームでした。マップの痕跡は脅威レベルと無関係に登録簿のかけら必要数がバラバラで極端に多いものもありましたし、チャレンジ系統のファウンダブルでも、例えば杖はものすごく多くのかけらが必要で、「こんなの終わらせられるのか?」と思っていました。ところが2020年5月に登録簿のかけら必要数が変更されて、全ての登録簿を「金枠★印付き」にする難易度が極端に下がりました。そして2020年7月にSOS訓練が導入された際に「痕跡の呪文」が使えるようになったことで、レアなマップの痕跡の登録簿を進めることが更に簡単になりました。この2つの変更で、ガチ勢のやりこみ要素は実質的になくなりました。(つい最近始まった「1920年代のポートキーかばん」のイベントは、久しぶりにできたやりこみ要素だったので、ほとんどの人がこれをやり込めないままサービスが終了しそうなのは残念です。)

つまり、途中からの魔法同盟は「イベントで運営が出す特別任務をクリアし続けるだけのゲーム」であり、難易度は全員にとって画一的でした。ライト層はこれが面倒でイヤになるし、ガチ勢には簡単だったけれども他にやりこみ要素が少なくてやることがなくなりました。そういう点で、個々のプレイスタイルに合わせた楽しみ方をしにくいゲームだったと思います。

2. 遅れて始めた人や、途中で離れて復帰したへの配慮不足

魔法同盟は、ハリー・ポッターの原作から約20年後の世界を描いたオリジナルストーリーを追いかけるゲームでした。グリム・フォウリーの「謎」は、遅れて始めた人にも (不具合で出てこないという話もあったようですが) 提示される設定になっていたはずですが、大災厄を解決するための光り輝くイベントのストーリーは、遅れて始めた人にとっては途中からしかわからないわけです。突然「ホグワーツでのロンの2年目の記憶が…」とか言われても、始めたばかりの人にとってはちんぷんかんぷんだったはずです。

しかも光り輝くイベントの登録簿は、遅れて始めた人や、一旦離れていた人にとっては、後からでは埋めようがない仕組みでした。「リリース直後に始めなかった」という理由だけで、どんなに頑張ってもクリアできない項目があるゲームだと気付いて、やめてしまった人もおられるのではないでしょうか。

各イベントの特別任務には、「他のプレイヤーも同時に同じ特別任務をしていないとクリアできない」ような項目は、特になかったと思います。それなら、(実現の難易度はわかりませんが) 例えば「インストールして新たにプレイし始めれば、数日後に最初のイベントが、数週間後に2番めのイベントが始まり、いつ始めてもイベントを順に体験できる」という仕組みでもよかったのではないでしょうか。それが無理だとしても、少なくとも、後から始めた人や途中で離れて復帰した人が、過去の光り輝くイベントの登録簿だけでも埋められる仕組みはあるべきだったように思います。

前述したように、Ingressは自由度の非常に高いゲームですので、いつ始めても (特定イベントへの参加メダルなど少数の要素を除き) 頑張れば昔からのプレイヤーに追いつけます。ポケモンGOは特定のイベントでしか出現しないポケモンもいますが、1, 2年のうちにまたゲットするチャンスがあります。いずれのゲームも、後から始めたり途中でやめていた人が復帰するハードルがとても低いです。

どんなゲームでも、途中でやめていくプレイヤーは必ずいます。それを上回るペースで新たなプレイヤーを獲得して定着させられなければ、そのゲームは衰退していくわけです。魔法同盟はこの「後から始めるプレイヤー」への配慮が決定的に欠けていたと思います。

3. マネタイズの仕組みの設計

2020年7月にSOS訓練で導入された「ゴールドのギフト」は、このゲームの寿命を縮めた大きな要因だと思います。

真剣に取り組んでいる、いわゆるガチである人ほどストアでアイテムを購入してくれる可能性が高いにも関わらず、ガチな人ほどゴールドのギフトを入手しやすい仕組みでした。獲得したゴールドのギフトを自分で使うことはできませんが、ガチな人同士がフレンドで互いにゴールドのギフトを交換することにより、ほとんど課金しなくても必要なアプリ内アイテムを購入できる状況になってしまいました。

せめて、ゴールドのギフトから得られるのが100ガリオンではなく10ガリオンなら、まだよかったかもしれません。これが100ガリオンだったことでゲーム内通貨の価値が大幅に下がり、課金する人は大幅に減ったはずです。

これに加えて、イベント時にだけ購入可能な有料バンドルが、なかなか購入意欲のわかないものでした。各イベントの解説記事にいつも書いていましたが、「自分のほしいものだけ、普段から売っているものを買うほうがマシ」で、イベント限定の有料バンドルに買う価値のあるものがなかったのです。例えばボスイベントなら「食べられる闇の印10個セットが1800ガリオン」とか、1920年代のイベントなら「銀の鍵20本セットが1200ガリオン」、光り輝くイベントなら「痕跡検知ドリンク5本セットが240ガリオン」のように、そのイベントで売れそうなアイテムだけを普段より大きな数量単位で普段より割り引いて売れば、買う人も多かったのではないかと思います。

4. さいごに

魔法同盟の「ここがよくなかったのではないか」という点を、3つ書きました。読んでいて嫌な気持ちになった方がおられたら申し訳ありません。

ネガティブなことばかり書きましたが、魔法同盟にもいい点がたくさんあったと思います。Ingressのような陣営間の確執がないので、コミュニティで知り合ったプレイヤーが仲良くなりやすかったですし、魔法使いチャレンジの仕組みが上手く考えられていたので、ポケモンGOのような「ルールに反して複数アカウントを持っている人が得をする」要素がほぼありませんでした。騎士バスの砦が導入されてからは、遠く離れた人とボイスチャットで話しながら共闘することでコミュニティの結束が強まる様子が、日本だけでなく世界中で見られました。

私はこのゲームが本当に好きでした。サービス終了まで、イベントの解説記事は書き続けますし、自分もあと3ヶ月弱楽しみたいと思います。サービス終了時点で、こんなにネガティブではない感想文的なnoteを投稿したいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?