夏の日記

4人で海に行くことなって、トウヤが車出してたんけど、ユウゴがまだ来てなくて、車に乗って待ってることにした。セイジがマック行きたいて言いだして、まだユウゴ来てないやん、揃ってから行くとき寄ったらいいじゃない、ってなんでお母さんみたいなこと言わんといかんのよ?と思った。トウヤは全然寝てないとか言って知らん!おまえ運転しろよ、寝てないとかしらん、事故ったら殺すからねって目を見て言ったら笑われた。寝てないわけないやん!笑えるわーって、いや知らん!お前が寝てないって言うとき本当はたいてい寝てるみたいな、そんなルール知らん!死んでくれと言って助手席に座ってポケーとしてたら、ユウゴからすんません!遅れそうです!ってLINEと一緒に駅の電光掲示板の写真が送られてきて、遅れ50分とか書いてあって、まじかよ?この場合、誰が悪いん?ユウゴって悪くないん?JRが悪いん?セイジは電車の乗り方すら知らないからアレで、トウヤは電車遅れてるなら仕方ないねえって言ってて、でもめっちゃイライラするのをどうしたらいいのか?アクセル全開でぶつかれる壁とか無いん?と聞いたらアクセル全開でぶつかれる車がない、と言われ確かに、と思った。ユウゴへ。気を付けて来てね。待ってるからね。猫のスタンプをひとつ、マクドナルドへ行きますか、と後ろを見たらセイジは寝ていた。ウフフ、自由なんだから、と余裕を見せ何となくユウゴから送られてきた駅の写真を見てたら、写ってる人たちが全員こちらを向いているのに気づいてギャーーーと叫んでしまった。セイジはまだスヤスヤ寝てたけど、トウヤは心臓を押さえてはあはあ言ってた。びっくりした~あんな大きい声出るん、びっくりした~、餅つきの時やん、と言われて、餅つきの時やんって何…?と思ったけど抑えて、例の写真を見せた。トウヤは、うわ〜これユウゴ死神に目つけられたんじゃない、死ぬよこれ、電話してあげよ、死ぬ死ぬ、と言い始めてユウゴに電話をかけた。結局出なくて、セイジを起こして、ちょ、ユウゴ死ぬかもしらん、あいつの最寄りて何駅やっけ、て聞いたら、もより?わははとだけ言ってまた寝てしまった。ユウゴ迎えにいこ、トウヤに運転を促したら、いや、ユウゴと合流したら危ないぞと言い始めた。何が?どういうこと?トウヤは何も言わずにサイドブレーキをおろして発車させて、おい無言の発車やめろ、説明しなさいと言うと、トウヤは神妙な面持ちで、ユウゴが死ぬ運命なら同じ車に乗る俺たちも巻き込まれてしまうかもしれん、と言いながら右折した。何それたしかに…

トウヤは商店街の手前に車を止めて、セイジを起こした。海のグッズあるよ、海のグッズ売ってるとこあるよ、海のグッズ見よや、みんなで写真も撮ろや、と言って手なずけててかっこよかった。私はもうトウヤが何を考えてるか大体わかって一緒についてって、人通りの多い場所を探し、誰にシャッターを押してもらおうかしら?キョロキョロしてたら、濡れおかき屋さんのおばさんが登場し、みんなで食べなさい、と濡れおかきを3本くれた。ありがとうついでにシャッターもお願いして、みんなで濡れおかきを持った写真を撮った。セイジが濡れおかきを触って濡れてるというよりやわらかくしてあるなーと言って動かなかったので、ほらお礼言いなさい!と手を引っ張ったら、おばさんはもうどっか行ってた。

3人の濡れおかき写真を確認してみたけど、こちらを見てる人はほとんどいなくて、特に気になるところもないし、写真に死の予兆を残してくれるような優しい死神なんてどうかとも思うけども、私たちはとりあえず大丈夫みたいね、トウヤも安心したみたいで顔をふにゃふにゃさせてたけどまたキリッとさせて、じゃあユウゴ救えるかもしれん、死の運命を変えてやらな、いい奴だなこいつ…私ユウゴ別にどうでもいい…とりあえず当初の待ち合わせ場所に戻ろう、ユウゴ来るかもしれんし、ブーンと車を走らせているとめちゃくちゃでかい蛾が歩道にいてまた叫んでしまった。蛾のちんぽってあんな感じなん…というセイジの声が聞こえたのと同時に、驚きすぎたトウヤが制御を失って車はそのまま壁に激突、トウヤとセイジは死んでしまった。めちゃくちゃかわいそうだけど私ももうダメっぽくてなんとか助手席の窓を開けたら、でっかい蛾がプリントされたTシャツを着たユウゴが立ってた。Tシャツだったのね…そりゃ駅の人たちみんな見るわ…。ユウゴはすぐ助けを呼びに行ったけどもう死ぬなこれ、あーそうかそうか、最悪、あーあ、しかし、蛾のちんぽって、濡れおかきにそっくりなのね…



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