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【技術士二次】第5期科学技術基本計画とは

Society5.0を整理する上で、それが初めて提唱された本計画について読んでみます。
※あくまでSociety5.0が提唱された背景を理解する目的で、Society5.0が関わる部分のみ


位置づけ

「科学技術基本計画」は科学技術基本法に基づき政府が策定する、10年先を見通した5年間の科学技術の振興に関する総合的な計画
政府、学界、産業界、国民が共に実行する計画として位置づけ
日本を「世界で最もイノベーションに適した国」へと導くことが目的

基本的考え方

(1)現状認識

ICTの進化等により、社会・経済の構造が大きく変化する時代が到来した。
・既存の枠組みにとらわれない市場・ビジネス等の登場
・「もの」から「コト」へ価値観の多様化
・知識・価値の創造プロセス変化

国内外の課題が増大・複雑化(エネルギー制約、少子高齢化、地域の疲弊、自然災害)が進む中、化学技術イノベーションの推進が必要となる

(2)科学技術基本計画の20年間の実績と課題

我が国の研究開発環境は整備され、研究者数や論文数が増加してきた。
しかし、近年
・論文の質・量の国際的地位低下
・国際研究ネットワーク構築の遅れ
等により、基盤的な力が弱体化している。

(3)目指すべき国の姿

①持続的な成長と地域社会の自立的発展
②国及び国民の安全・安心の確保とかで質の高い生活の実現
③地球規模課題への対応と世界の発展への貢献
④知の資産の持続的創出

(4)基本方針

①計画の4本柱
計画の柱は以下の4つになります。
ⅰ)未来の産業創造と社会変革
ⅱ)経済・社会的な課題への対応
ⅲ)基盤的な力の強化
ⅳ)人材、知、資金の好循環システムの構築

②科学技術基本計画の推進にあたっての重要事項
ⅰ)科学技術イノベーションと社会の関係深化
ⅱ)科学技術イノベーションの推進機能の強化

未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組

(1)未来に果敢に挑戦する研究開発と人材の強化

アイデアの斬新さと経済・社会的インパクトを重視した研究開発への挑戦を促すとともに、より創造的なアイデアと、それを実装する行動力を持つ人材にアイデア試行機会を提供する。
(各府省の研究開発プロジェクトにおけるチャレンジングな研究開発の推進に適した手法の普及拡大)

(2)世界に先駆けた「超スマート社会」の実現(Society5.0)

ものづくりだけでなく様々な分野にネットワークやIoTの活用を拡大し、経済成長や健康長寿社会の形成、社会変革につなげていく。
サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」を未来の姿として共有し、その実現に向けた一連の取組を「Society5.0」とし、深化させつつ強力に推進する。

基盤技術の戦略的強化

ⅰ)超スマート社会サービスプラットフォームの構築に必要となる基盤技術
超スマート社会を形成し、ビッグデータ等から付加価値を生み出すために不可欠な技術である。
このため、国は以下の基盤技術について速やかな強化を図る。

  • 設計から廃棄までのライフサイクルが長いといったIoTの特徴を踏まえた安全な情報通信を支える「サイバーセキュリティ技術」

  • ハードウェアとソフトウェアのコンポーネント化や大規模システムの構築・運用等を実現する「IoTシステム構築技術」

  • 非構造データを含む多種多様で大規模なデータから知識・価値を導出する「ビッグデータ解析技術」

  • IoTやビッグデータ解析、高度なコミュニケーションを支える「AI技術」

  • 大規模データの高速・リアルタイム処理を低消費電力で実現するための「デバイス技術」

  • 大規模化するデータを大容量・高速で流通するための「ネットワーク技術」

  • IoTの高度化に必要となる現場システムでのリアルタイム処理の高速化や多様化を実現する「エッジコンピューティング」

  • これらの技術を支える横断的な科学技術

ⅱ)新たな価値創出のコアとなる強みを有する基盤技術

我が国が強みを有する技術を生かしたコンポーネントを各システムの要素に組み込むことで、国内外の経済・社会の多様なニーズに対応する新たな価値を生み出すことが可能となる。
そのための技術として、国は以下の基盤技術について強化を図る。

  • コミュニケーション、福祉・作業支援、ものづくり等様々な分野での活用が期待できる「ロボット技術」

  • 人やあらゆる「もの」から情報を収集する「センサ技術」

  • サイバー空間における情報処理・分析の結果を現実世界に作用させるための機構・駆動・制御に関する「アクチュエータ技術」

  • センサ技術やアクチュエータ技術に変革をもたらす「バイオテクノロジー」

  • 拡張現実や感性工学、脳科学等を活用した「ヒューマンインターフェース技術」

  • 革新的な構造材料や新機能材料など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「素材・ナノテクノロジー」

  • 革新的な計測技術、情報・エネルギー伝達技術、加工技術など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「光・量子技術」

(ⅰ),(ⅱ)に掲げた基盤技術の強化にあたっては、10年程度先を見据えた中長期的視野から、各技術において高い達成目標を設定し、その実現に向け取り組む。


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