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【電験・技術士】変圧器の励磁突入電流

原理

 励磁突入電流は電源投入時に鉄心内部に生じる磁束の急激な変化に起因するものである。その大きさは電源投入時の位相によって大きく左右され、電源投入時の電圧がちょうど零の位相で投入されたときに、磁束変化は定常時のほぼ2 倍になる。(残留磁束によってはさらに大きくなる。)これにより、鉄心の磁束が完全に飽和すると変圧器のインピーダンスが小さくなり、非常に大きな励磁電流が流れる。電圧が最大の位相で投入されたときには、磁束変化は定常時と変わらず大きな励磁突入電流は生じない。

障害

①過電流継電器の誤動作

 一時的に大電流が流れるため、過電流継電器が動作して停電が発生する恐れがある。受電点での動作の場合は、需要家設備の停電となるが、配電用変電所で動作した場合は、供給エリア一帯の停電となる。

②瞬時電圧低下

 変圧器の投入時に変電所から受電点へ大電流が流れる。このとき発生する電圧降下により、周辺の需要家への供給電圧が低下する。機器によっては、電圧低下により誤動作・停止する恐れがある。

対策

①限流抵抗を使用した負荷開閉器

 抵抗接点を先に投入し、変圧器の励磁突入電流を抑制した後に主接点を投入する。抵抗接点により、変圧器にかかる電圧を低減することで変圧器の鉄心を飽和を防ぐ効果がある。

②変圧器の順次投入

 変圧器を同時に投入すると、励磁突入電流は合計され大きくなる。時間差をつけて順次投入していくことで、複数の変圧器の励磁突入電流が同時に流れることを防ぐ。

③CVCFの導入

 瞬低の対策として、CVCFを導入する。電圧低下を補償することで、機器の誤動作や故障を防ぐ。


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